ひっそりと群生

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【まい、ルーム】感想

【女性主人公15禁】



2017年01月04日配信
へもへも』様 ※リンク先公式HP
まい、ルーム】(PC&ブラウザ)(15禁) ※リンク先ノベルゲームコレクション
以下感想です。








閉じ篭った妹と、妹を大事な兄と。



『マイとメルは仲の良い双子。
 最近体調が悪く、部屋に篭りきりのマイのために今日もメルは部屋を訪れる。』
(公式より引用)


プレイ時間は約50分くらい。
分岐有り、ED5つ。
公式に攻略有り。
ED3まで見た後に最初からスタートすると展開が変化します。


妹の事が大好きな兄が妹を甲斐甲斐しく世話をするお話。
妹は病弱な為外に出る事が出来ず、兄に色々な話を聞きます。
兄の好感度が高いとTRUE、低いとBADに分岐。
妹は何故病弱なのか、兄は何を隠しているのか。
進むに連れて真相が開示され、人間の傲慢さを覗かせて行く作りにドキドキしました。



『システム、演出』
ティラノ製。
基本性能有り。
オマケの前日譚の後半で止まるので、馬車に乗った辺りでセーブを推奨します。


『音楽』
優雅な曲が多かったです。
その優雅さも彼らの境遇が分かるととても納得しました。
ED4、5の歌唱曲が切ない曲で余韻が凄かったです。


『絵』
重要人物に立ち絵有り。
いくつかスチルがありますが、重要な箇所で表示され、印象深かったです。
血なまぐさいスチルも多く、所々でヒエッとなりました。
兄がナイフを持つ方のEDで兄弟の過去が流れていくのが辛かったです。


『物語』
人間のエゴや醜さが凝縮されていました。
皆、それぞれに業があって。
EDは唸る所がありますが、嫌な人にも業が跳ね返っているので納得はしました。


『好みのポイント』
1、2、3のEDでは兄に恐ろしさを感じますが、全体を通すと一番辛かったのは兄だなぁと。
ED3以降の展開で序盤の印象が覆る作りが非常に面白かったです。





以下ネタバレ含めての感想です





今作はED3以降の最初からスタートが本番ですね。
序盤は妹視点で「病弱で外に出れない妹を世話をする兄」が描かれ、BADの方では火を放たれ殺されるので兄に対して恐怖を抱いていましたが、全EDクリアするとBADが一番の救いにも感じます。
というか今作の一番の邪悪は妹の婚約者のライアンでしょう。
人魚といい妹といい、命を弄び過ぎていて。
「身勝手なキャラが多いです。」と注意書きにあるので身構えてましたが、作中の身勝手度の7割くらいライアンでした。
全部終わると序盤で怖く感じた兄が一番マシという。
妹も妹で兄しか見ておらずライアンには興味無かった事がライアン視点で明かされ、結構良い性格で好きになりました。
無垢な少女も好きですが、こう、一番大事な人以外に興味無い、他の存在は芋のように扱う…みたいな人間、好きです。
公式の説明にも無い為、兄と妹が国の王子と姫であるという事もネタバレになると思い伏せましたが、体裁があるとはいえ国王も酷いですし。
やっぱり兄しかマトモな人が居ない!!!


序盤でED1以後の展開としてED4、5の流れに行きますが、おそらくライアン視点からED5が正史かと思われ。
確かにね、兄と妹で部屋を抜け出し逃避行し、でも父の命令で殺され一緒に死を遂げるというのは美しさとしては一番綺麗だとは思います。
でも、この場合ライアン特にお咎め無く生き残るんだよなぁ。
最後に海で黄昏れますが、「お前、自業自得だろ」としか思えず。
なので個人的にはED4が好きです。
是非狂人と化した兄に復讐されて不老不死にされて下さい。
ライアンが本当にクソ野郎だったので、良い感じに痛い目に合って欲しいと思いました。


でも、妹の魂を正しい方法で天に返すという意味では好感度低くBADになりますがED2が命や死としての一種の正しさはあるなと。
最初このEDに到達した時に「何で?」と思いましたが、全部終わると兄は正しく妹を天に返していて。
ライアンはお咎め無いけど、兄は死ぬ事は無く、正しく元の鞘に収まった流れだとは思います。
妹との好感度が高ければ高いほど悲劇的な方向に行くのが凄い皮肉ですね、そういう所も好きですが。


公式説明が序盤の序盤の事しか無く、本作の重要な位置を締めるのが中盤以降登場のライアンなので中々にネタバレ無しで語るのが難しかったです。
兄は妹が好きで、妹も兄が好きで、でも、結ばれる事は出来なくて。
だから一緒に美しく死ぬ。
中世的な世界観もあり、そして人魚の要素もあり、一種の古典要素を詰め込んだ美しい兄妹愛の一作でした。