ひっそりと群生

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【点鬼簿行路】感想

【男性主人公全年齢】



2020年03月28日配信
丹綿樫』様 ※リンク先公式HP
点鬼簿行路】(PC&ブラウザ) ※リンク先ノベルゲームコレクション
以下感想です。








現実と演劇の境界線の先。



『こんばんは! 私は結島高校二年生の鏑木小夏です。お芝居が大好きで、演劇部に所属してるの。
 今度やる劇は「点鬼簿行路」。このお話は去年卒業した先輩が書いたんだって。部内オーディションで認めてもらえるように頑張らないと!
 お話に出て来るニュースサイトの記事を、貴方のTwitterのタイムラインに"シェア"することも出来るから、良かったら"拡散"してみてね。
 え? 何のニュースかって? ……』
(公式より引用)



演劇部が廃部になる事になった。
人形の首を折るのをライフワークにしている陰鬱な雰囲気を纏った最後の演劇部員の少年、淵上と、演劇一筋で明る気だけれども、どこか陰がある元演劇部の少女、小夏。
二人は学校近くの空き家で演劇部や自分達の思い出、そして最後に演じるはずだった劇、「点鬼簿行路」について語る。


プレイ時間は1時間くらい。
ジャンルは一応ホラー寄り…人によっては選択肢やCGで驚くと思います。
ホラーではあると思うのですが、淵上と小夏の近いようで遠いような独特の距離感、二人が人形の首や演劇を通してお互いに執着している所など、どこか淋し気で、ホラーというよりも個人的には鬱が漂うボーイミーツガール物だと感じました。


どこまでが現実でどこまでが演劇なのか…
その境界線を越えた先に居る二人は果たして幸福なのか…
二人がどう思っているのかは正直分かりません。
けれども、きっと二人だけが理解出来る世界があったのだと、そう思っています。



『システム、演出』
ティラノ製、PCでプレイ。
文字表示速度変更は出来ず、音量調節もPC便りでしたが1時間くらいの長さだったので気にはなりませんでした。
文字が漢字と平仮名で文字の太さが違ったのと履歴が見辛いのが若干気になったくらい。
選択肢が振ってきた時にはホラー耐性あっても一瞬ビックリしました。


『音楽』
開始直後、タイトル画面から音が外れる不穏な「ロンドン橋おちた」で出迎えられ不穏さが凄かったです。
作中の選曲もどこか淋しげだったり不気味だったり…そしてラストは切なげで…とても合った選曲だと思いました。
途中で挟まるボイスもどちらもお上手で、ボイスドラマを聞いているような気分になりました。
「Ending-A」のラストは完全に数分のボイスドラマなので、音量は大き目で聞くことをオススメします。
とても個人的な事なのですが、小夏役の乃花こよりさん、ゲーム制作者として存じ上げたので、ご自身の作品にも出演されていらっしゃいましたが、小夏の声もお上手で…かなり多彩な方でビックリしました。


『絵』
凄く…綺麗です。
美術的な美しさというか…色や雰囲気が美麗でした。
淵上の持っている紙芝居も細かく。
メッセージウィンドウの文字表記の終わりのアイコンが首吊になっていたり…見た目の細かいこだわりを感じました。


『物語』
短い中でもかなりパンチの効いた物語でした。
演劇部の人間関係自体がかなり分かりやすく傾いていたり、淵上と小夏の家庭環境がかなり悪かったり。
読み進むにつれてチラチラと顔を覗かせてくる地獄がたまりませんでした。


『好みのポイント』
明るい雰囲気はかなり見かけますが、この雰囲気のボーイミーツガール物をあまり見かけなかったのでとても好きでした。
二人がただひたすらに会話をするタイプが好きなので、非常に読んでて楽しかったです。
演劇に囚われた少女と、少女が囚われている事を知りながらも少女に惹かれ続けた少年の物語で…
陰鬱な二人の世界を堪能出来ました。





以下ネタバレ含めての感想です





正直最初の方の淵上の店から物をパクった系の表現に倫理的にドン引きしましたが、進むにつれて淵上と小夏の事が分かって来るとそういうレベルの倫理的の物語じゃないな…と思うようになって行きました。
でも、万引や器物破損、ダメ、絶対。


家庭に居場所は無く、役者の祖母を追い求め演劇に囚われる…
囚われた挙げ句、本当に役の通りの行動を起こしていく小夏。
薬に手を出し、おそらく身を売り…どこまでも深遠に沈んでいく小夏を救う事は出来なかったけれども小夏を想い続けた淵上。
良いですね…自分の領分では絶対に助けられない想い人、好きです。
助けられないけれども想いを諦める事はなく。
最後の最後まで役に徹し首を括った小夏は死後に首を切られ台本通りの人生を歩めた事で救われたのかな…?と思っています。
救いだったのかは分からないけれど満足はしてそうですね。


「折る」「折らない」の選択肢も。
「折る」を選ぶとボイスが流れるEDに行って「折らない」を選ぶと小夏から逃げ続ける淵上のEDに行くので…多分「折る」事で彼女は満足するのではないかなーと。
「折らない」方の花嫁の人形を折らずにいるというのもこう…大変気持が踊るのですが…
「Ending-B」は「舞台上の花嫁」…小夏が永遠に満足せず成仏などする事無く舞台上を彷徨う感じで、それはそれで大変彼女の人生らしいです。
でも「Ending-A」の「水底の挙式」がやっぱり正史…というか首を持ってどこまでも逃避行する感じ、良いですね…好きです。
というかどちらにしても小夏は「花嫁」なのがたまらないです。
点鬼簿行路」の役柄上、おそらく現実で身売りもしたんだろうなーと思う描写があったのですが、それでも淵上が小夏を想い続けているのが最高で…
「Ending-A」のラストの掛け合いは…きっと二人は鬱暗いけど純粋な関係だったのだろうと思うのでエロくはないはずなのにどこか仄かにエロいです…
二人の声がハモった瞬間、良すぎてウッとなりました。


1時間という短い時間の中でとても良い雰囲気で…そしてあまり自分が見かける事がない雰囲気のタイプのボーイミーツガール物で大変楽しかったです。
淵上と小夏の首と死と演劇だけで繋がる関係がとても良く最高でした。