ひっそりと群生

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【ハルカの国 明治決別編】感想

【女性主人公全年齢】



2019年08月21日配信
スタジオ・おま~じゅ』様 ※リンク先公式HP
ハルカの国 明治決別編】(PC) ※リンク先BOOTH
以下感想です。








出会いと別れ。
呪いと向き合い、生きる理由を欲する。



『越冬を終え、里へと下りたハルカとユキカゼ。
 二人を待っていたのは、政府再編による大混乱。
 官が化けを捨てたことで、二人は行き場を失う。

 そこへ五木を名乗る官士が現れ、ユキカゼを言葉巧みに化け物退治へと誘う。

 「私は私を取り戻す」
 ハルカに挑むため、剣の奪還を目指し、ユキカゼは強大な相手に挑む。』
(公式より引用)



プレイ時間は約4時間くらい。
選択肢は無し。
ハルカの国 明治越冬編』(※リンク先感想)プレイ後推奨。


国シリーズは4作目。
「ハルカの国」の第二話になります。
前作「越冬編」後の物語。


生きる、自分を貫く、義を貫くとはこういう事だ!と言わんばかりに登場人物達の自分を裏切らない生き様がこれでもかと伝わって来ました。
最初の出会いは全く良いものではなく、自分の命の為、自分が納得をする為、自分の為だけに利害の一致で行動を共にする事になった三人が、時を重ね様々な困難を共にする事で互いを知り、お互いの大切さが加わり、自分の為とそして相手の為、義を貫き突き進む姿がとても印象的でした。
生きる意味とはなんなのだろう?
何か生に意味が欲しい。
絶対に揺るがない意味が欲しい。
正しいものは間違いなく正しい、でもそうじゃない、納得の出来るものが欲しい。
そんな人の心のままならなさ。
合理的な道は他にある、それでも例え非合理的でもここしか無い!と心に従った自分の道を貫く事の勇ましさ。
時代が揺れ動く荒波の中で、国に反していても「自分の信じた国」を貫く姿に心を打たれる一作でした。



『システム、演出』などは「越冬編」とほぼ同じなので割愛。


『音楽』
今回は戦闘が多いのですが、後半の戦闘で流れるピアノ曲が凄く印象に残っています。
場面も相まって格好良い…本当に格好良いです。


『絵』
前回同様の書き込みに加わり、今回は戦闘シーンの演出が印象深かったです。
猪の戦闘で紙芝居のように連なった絵が一枚ずつ消え、猪が遠ざかる魅せ方はノベルゲームならではでありながらも他であまり見た事が無く「こんな魅せ方もあるのか!!?」と驚きました。


『物語』
今回はかなり政府関係の話が出てくるのですが、伝え方が本当にお上手でした。
「雪子の国」でもでしたが、なるべく難しい言葉を使わずに進めるのが本当に凄く。
替えの効かない言葉などは確かに難しい言葉が出ますが、それでも今がどういう状況なのかを分かるように説明が入り。
…というかユキカゼがどちらかと言えば分かってない側で。
ハルカとの会話の後に五木が分かりやすく説明してくれ、ユキカゼが更に分かりやすく噛み砕いて話してくれて。
自分の地頭でも分かりやすく情勢が分かり非常に有り難かったです。
他作で出てきた「天狗の国」との戦争の話にも繋がり「あの話で出てきた…」など所々で思い出す箇所がありました。


『好みのポイント』
裏打ちされた郷土学があるからこそ納得しか出来ない生きている者の狡さ。
生きていることに理由を付ける生き物の狡さ…命を取る事の問答など、細やかな所で響く言葉ばかりでした。
畑での女性達との会話も、「親を捨てるなんて~」という言葉は「越冬編」を知っているとカサネを思い出し。
そうする事でしか生きられない土地もある、場所によってこんなに価値観が違うのか…とたった少しの場所の違いで真逆の考え方が見えたり。
ハルカ様とユキカゼの関係も前回から続き大変良く、そして、今回登場した五木の人生や生き様が…
後半で明らかになる彼の人生に堪えられませんでした。
ユキカゼの猪との対峙シーンも、そしてそこで自己と見つめ合う所もグッと来て。
どの場面からも人物達の想いが溢れて来る所が最高でした。





以下ネタバレ含めての感想です





ハルカ様の正しさも分かる、ユキカゼの猪突猛進さも分かる、五木の自分の命に対しての行動も分かる。
全員の心理と行動が真っ直ぐに分かってしまう、分かってしまうからこそ皆の意見が分かれる度に「分かる、分かるけど、それを貫くには…他の人の信念を曲げる事にもなって…」という歯がゆさ、ままならなさを常に感じていました。
「越冬編」でもでしたが、そういう分かってしまうからこその相容れなさというのの描き方が素晴らしい。
度々出てくる「心」というものはそういうもので、そういうものと折り合いを付けて生きているけれど、絶対に譲れないものも必ずあって。


ユキカゼの「勝ちたい、勝たなければならない」という気持ちも分かる。
化けは一代しか存在できず、生まれた時から一人で家族も成せず。
常に不安定な自分の存在をどうにか繋ぎ止めていないと不安で仕方ない。
ユキカゼの場合、剣が強さだったけれど、自分よりも強くて賢い存在が目の前に現れてその存在意義が揺らぎ。
それこそが「越冬編」で語られていた「呪い」であり、ハルカ様は自分との冬籠りで少しは「呪い」が解けていたと思っていたけれど、解けた「呪い」もあれば同時にハルカ様が居るからこその「呪い」もあって。
弱い自分を突き付けられて、「強い者には分からない」という悲壮感。
猪の件も自分では不可能だと強い者に言われる事の残酷さ。
余計遠のいていく存在意義…そういうものに苛まれ「生きる理由が欲しい」と嘆く心。


けれど、ハルカ様の「ユキカゼに付いて行くしかない」という気持ちも分かる。
国の命により里を無理やり離れさせられ、里との別れの中でカサネの命も背負い。
里を降りてみれば国から見放され…もし里に残っていたらカサネはもう少しでも生き長らえたかもしれない事実。
死んだ者は生き返らない。
カサネの命を背負った以上、ハルカ様はもう二度と里に戻る事はかなわなくて。
そんな中で「絶対に勝つ!」と意気込み国と共に自分を連れ出したユキカゼだけが国に見捨てられた今、唯一の拠り所で。
ユキカゼに自分を連れ出した責任を負って欲しいという気持ちと、ハルカ様もどことなく寂しい人で…周りには見せないけれど一人は嫌だという気持ちもきっとあって。
だからこそユキカゼが死ぬような計画は避けたいし、なによりも理で生きているハルカ様にしてみれば他の生き残れる可能性がある道があるのにその道を選ばないというのはハルカ様の生き方に反する事で。


そういう譲れないものと向き合い、上手く折り合いを付けたり、それでも貫いていく姿からとても「心」を感じました。
ユキカゼの「その場では納得出来ても一人になると疑問が湧く」という姿も非常に分かります。
一人で考えた時に「いや…あれは違ったのでは?」となる事、凄くあります。
そういう一つ一つの描き方が細かく、複雑なはずの彼女達の心境が非常に分かりやすく描かれていました。


今回は猪登場からの場面がどれも印象的で。
自分の荷物の為に命を捨てる行動を起こした男の行動も…それしかもう無いという気持ちを考えれば間違いとは言えなくて。
例え命を失うと分かっていても捨てられないものもあって。
それもまた一つの生き方で…
ユキカゼも猪との戦闘で自分の生き方、生きる理由に向き合い。
猪との戦闘は音楽も合わさり最高の演出でした。


そして、五木。
複雑な立場の中にあって彼の自分の命を守りたい言動も分かって。
自分の命の為に最初は二人を利用し、裏切るような行動もしたけれど…
二人への義と情を捨てる事は出来ない、彼もまた自分の生き方を貫く人間で。
本当に不器用な男で。
最後に彼の過去が流れて、嫁と娘が流行病で無くなり墓も立てられなかった過去と、たった一匹の虫の為に立てられた墓、「名もなき墓があっても良いじゃないか」と2つの対比がとても印象的で。
最後には自分の命の為に利用した二人を今度は自分の命を掛けて守るという矛盾。
矛盾しながらもその生き様は美しく、まさに彼の生き方で。


時代に翻弄されながらも、自分の生きる意味を探し続け自分の生き方を貫き続けた人々は本当に輝いていて。
「ハルカの国」には時代の生き様にいつも唸らされ、溢れる想いを堪える事が出来ません、本当に素晴らしいです。
事の発端は国の…お上の放漫さでありながらも、この時代はこういうもので…
こうやって強き心を持った者達が国に弄ばれて来たのだろうな…と思うと悔しくてなりません。
五木は最後、反旗を翻し国に立ち向かいます。
けれど、彼の「国」は決して消える事は無かったとそう信じています。


生き物の「生き方」とそして、化けという存在の始まりと終わり。
「何故」「何故」と死んでいった猪。
「生きる理由」「生き方」「何故今の世に現れなければいけなかったのか」
今後もきっと、その事が化けという存在の「心」に残り続け、そしてその問いに自分なりの答えを見つけていくのかもしれません。


全六話のニ話目で今回も言葉が拙くなってしまいますが本当に染み渡りました。
今回も後半は画面が歪んで見えませんでした。
彼らの生きる理由を求める気持ち、生き方、どれも美しかったです。
次回は「大正星霜編」、時代は飛びます。
どんな新時代が待っているのか次も触れて行きたいと思います。