ひっそりと群生

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【偏狂変人恋愛論】感想

【BL全年齢】



2018年12月31日配信
『アト』様
偏狂変人恋愛論】(PC) ※リンク先ふりーむ!
偏狂変人恋愛論】(ブラウザ) ※リンク先ふりーむ!
以下感想です。








愛に気付き、好きを貫き、君と一緒にどんな世界ででも生きていく恋愛論
パッションでパンクでイノセントなラブストーリー。



『柊 美夜斗(ひいらぎ みやと)、高校2年生。
 過去の所業が災いし、今にいたるまで友達は1人しかおらず
 楽しくない渇いた日々を送っている。

 誕生日が近付いて来たある日
 唯一の友達が馬鹿なコトを言い出した。
 「今年の誕生日は彼女を贈る」 …と。』
(公式より引用)



プレイ時間は約5時間30分くらい。
分岐は有り、EDは8つ。


女の子3人の中から一人を選び攻略するギャルゲー。
に見えて、星幸を中心とした星幸に捧ぐ星幸の為の物語でした。
公式ジャンル表記がBLとあって女性攻略なので最初は?でしたが、BL表記なのも納得です、これはまさに美夜斗と星幸の物語。
最初の登場から美夜斗へとても熱い感情を寄せる星幸ですが、まさかここまでとは、感服致しました。
貴方が間違いなく本作のヒーロー(ヒロイン)です。


女性陣のお話も間違いなく面白い、面白いのですが。
星幸の背負っているものと星幸の美夜斗への愛を見るとどうしても「こりゃ敵わんわ…」になってしまい。
彼女たちの「恋愛論」も我が強く面白いのですが、星幸とそして星幸に向ける美夜斗の「恋愛論」が凄まじ過ぎました。


彼女や彼が執着しているものは、とても重い。
偏狂:一つの事に異常に執着し、病的な態度を示す人。

変人:一風変わった性格の人。変わり者。

恋愛論
どの攻略キャラも揺るぎない「恋愛論」を持っていて。
絵柄や各キャラの想いからパンクとパッションを感じるタイトルにいつわりの無い作品でした。



『システム、演出』
ティラノ製。
メッセージ速度変更と既読スキップ無し、履歴はマウスロール非対応、LOGボタンでのみ開けます。
文字表示が遅め固定なのでそこは若干疲れたのと、スキップは未読既読関わらず吹っ飛ぶので大変でした。
最終ルートは最初からのみでしか行けませんが、最初の女子3人の攻略は女子選択画面でのセーブ推奨。
場面転換の所々で入るアイキャッチが可愛らしく、後半の過去回想の際、時計の針が逆周りに進む演出が好きでした。


『音楽』
ジャズ曲が多くとにかくお洒落。
絵も合わさり、どこかミッ◯ョンイン◯ッシブル的な、お洒落な危険さが香っていました。
実際に色々と危険…というかダークな箇所が有り、お洒落ダークで合っていました。


『絵』
とにかく目を惹かれます。
凄く、ビジュアル系です…
キャラクター達の見た目に最初は驚きました。
進めて行くとこの見た目になった過去などもしっかりとあり、凄く納得して。
表情も豊富で所々で入るCGも重要なシーンで重要な絵が表示されて印象深くとても良かったです。
背景も素材でありながらも暗めのパッションピンクを基調とした加工が他で見かける使い方と一線を画していて。
前半攻略3キャラのギャグ、後半のシリアス、どちらに振り切っても温度差が出ないような独自の世界観が作られていました。


『物語』
文章は読みやすく。
攻略キャラ達の奇行に美夜斗が入れるツッコミが面白かったり。
美夜斗が自分の無自覚の想いに気付いていったりする姿が大変見ていてニヤニヤしました。
うぜー、めんどくせーと言いながらも作中の誰よりも心優しく、心優し過ぎて様々な物を背負ってしまう美夜斗が見ていてとても良い人でありながらも生き辛さも感じました。


『好みのポイント』
星幸の美夜斗への想い、これに尽きます。
星幸の愛は決して歪む事は無く、どのEDでも最後の最後まで美夜斗を中心にどんな時でも大事にし続けたその想いにただひたすら美しさを感じました。





以下ネタバレ含めての感想です





最初のver1.0では女子ルートしかなく、2年後のver2.0で星幸ルートが追加されたとあり「嘘でしょ!?」と恐れ慄きました。
女子ルートだけの時点でもどう考えても星幸ゲーだったじゃないですか!!?
開始早々から美夜斗への愛を隠さない星幸を見ていて「どう見ても星幸がメインヒロイン」としか見えない関係で。
全クリした後だと星幸ルートの圧倒的密度に前半の物語を若干忘れかけそうになりました。


ですが決して他ヒロインが薄いという訳では無く。
星幸ルートは他ヒロインの6つのEDクリア後に開放なのですが、その3ヒロインがまたクセが強く。
花恋に琉卯に声那に。
それぞれ「恋愛論」を持っていますが誰一人現実を見ていなくて笑いました。
花恋は少女漫画脳、琉卯はBL脳、声那は厨二脳。
皆それぞれ濃い、濃すぎるよ!!
最後の日の「恋愛論」を語るシーンで全員が全員漫画脳こじらせてて「こいつぁ現実での恋愛は無理だ…」となる所が凄まじい。
一応全クリの為に了承した選択肢を選びましたが、後日談の漫画を見る限り美夜斗がめちゃくちゃ苦労してて笑いました。
誰一人マトモな女子が居なくて、結局一番マシ…というか美夜斗を美夜斗として見ているのは星幸しか居らず。
女子ルートしか無い場合は「やっぱりお前がNo.1だわ」みたいなEDを向かえる事で星幸が最も美夜斗に近い存在として描かれている。
という意味でジャンルがBLだったのだと思います。


…が、星幸ルートが追加された事で仄かにBLが示唆されるとかでは無く、完全に「星幸の物語」に本作が変貌しているのが面白いなと。
星幸ルートで明かされる星幸と美夜斗の過去がそれはもう重くて重くて重くて重くて(以下エンドレス)。
小学生時代から美夜斗は星幸に支えられ、星幸は美夜斗に支えられ生きてきた事が明らかになり、どちらかが欠けていたらもう片方の人生は途中でフェードアウトしていたのが分かるくらいの過去を持っていて。
もうね、こんな二人の過去を見せつけられたら他のヒロイン立つ瀬が無いです、負けです、勝てる訳がない。
星幸ルートが無い時でもヒロイン3人当馬ヒロインだったのに、星幸ルートが追加された事で完全に当馬越えて負けヒロインになっていました。
絶対無理、二人の間には割り込めません。
声那ルートで二人が死亡後に星幸が後追いしたのも分かります、この男は後を追う。
後日談の異世界でも再び美夜斗に惚れるのも分かる、もう絶対に離れられない。
星幸が最終ルート固定なの分かります、星幸途中で攻略したら他ヒロイン見れなくなります。
シナリオロックがかかってるのに凄まじく納得しました。
美夜斗も星幸も家庭が本当に地獄、学校での周りの関係も地獄、ここは地獄の3丁目か?ってくらいに地獄しかありません。


正直、序盤でヒロインルートプレイしてる時、各々のヒロイン達、後日談の花恋の地味な嫌がらせや琉卯が分が悪い際に「私は違うけどねー」と自分だけ回避する姿などで性格的には「悪い性格」だな、と思ってましたが、過去回想を見ると彼女達の「悪い性格」なんて可愛い物でした。
本当にマジで美夜斗と星幸の家の人間や周りの人間の性格が酷過ぎて。
人間として本当に駄目過ぎてドン引きでした。
彼女達の性格の悪さは周りの学生の性格の悪さより何倍もマシだった事に驚愕。
そんな過酷な状況で二人助け合い時にすれ違い。
もうこんなの運命の二人じゃないですか。
琉卯の言う「運命」なんか割り込む隙が無いです。
二人がお互いを大事にするあまりに美夜斗は自分の想いを自覚しないようにしていたり、星幸は愛を伝えながらも美夜斗の為に他の女子を探したり。
お互いがお互いを大事にし過ぎてすれ違っていく姿がニヤニヤしつつも歯痒くて。
何度「もう二人は運命なんだから仮とかじゃなく付き合っちゃえよ!!」と思ったか。
でも、美夜斗はどうにかクソ家族から逃れられても、星幸の方は逃れられず。
クズな家庭でありながらも地位と権力はあるから逆らえず、でも、美夜斗が大好きで。
途中分岐しますが「誕生日プレゼント」ルートは本当に、悲劇としか…というか父親もぶった斬れば良かったのに!!(本音)


恋愛論」を貫き通したのが「籠の中」ルートだと思うので、個人的には「籠の中」がメインルートなのかな?と思っていますが。
星幸ルートには「振り出し?」エンドは無い為、どちらのEDが正しいかはプレイヤーに委ねられているのでしょう、多分。
羽柳木がヤバそうに見えたのでその後が気になっていましたが、周りのどの人間よりも良い人そうで安心しました。
というか星幸の家族よりは絶対にマシな人格してます。
ショートストーリーの後日談でも仲良く喫茶店経営していて。
どんな世界でも美夜斗と星幸が共に生きていけるならそこが天国になる、と強く思いました。
ただ、後半で羽柳木が結構唐突に出てきたので、出来れば登場しているキャラクターで解決する姿を見たかったり。
今まで攻略してきた3ヒロインが助けてくれる!などの熱い展開があれば嬉しかったのですが、3ヒロインはあくまでもヲタ女子で終わった所が少し残念でした。
とても良いキャラをしてたので後半ルートでも活躍が見たかったです。


一つの事に異常に執着し、病的な態度を示す。
少女漫画にBLに厨二にそして美夜斗本人に。
そんな偏狂で変人が自分の「恋愛論」を貫く話であり、美夜斗が星幸への想いに気付き自分の「恋愛論」を貫く物語でした。
攻略キャラが3人居るように見せかけて、「君が居なければ世界は地獄、君が居ればどんな場所でも天国」まさに二人の世界で絶対に誰も割り込めない美夜斗と星幸の熱いBL固定カプゲーでした。