ひっそりと群生

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【戦骸少女アクアヴィッテ】感想

【乙女全年齢】



2019年08月12日配信
FUZZY PYTHON』様 ※リンク先公式HP
戦骸少女アクアヴィッテ】(PC) ※リンクBOOTH
以下感想です。








失った家族の為、復讐の為に何度でも立ち上がる!
破蕾、アクアヴィッテ!!



『「君よ、選べ。全てを諦めてここで死ぬか。滾る憎しみを糧に生まれ変わるか」

 楽しかった家族旅行が、暗転した。炎を上げる車。
 煙と血だまりの向こうに、家族が「散らばっていた」。
 惨劇の中、少女は謎の怪物を眼にする。
 ―――殺してやる。私から日常を奪ったやつを、必ず!
 瀕死の彼女を甦らせたのは狂気の男と機械の従僕。
 目覚めた少女の全身に流し込まれた闇の血が吼え猛り、戦いの運命を招きよせる。
 変貌してゆく肉体、加速する死闘、そして少女をまだ「人」に繋ぎとめる淡い想い。
 陰謀と謎に満ちた、理不尽な世界。少女の願いの果てに待っているものは何か。』
(公式より引用)



巌アヤメは改造人間である―――という言葉から始まりそうな程、某日曜の朝放送の仮面の特撮物の世界観を思い出す作品でした。
主人公の少女、巌アヤメはある日、家族と旅行に行った帰りに謎の黒マスクの男に攻撃され家族を惨殺される。
瀕死の状態のアヤメはある科学者に拾われアクアヴィッテという種を植え付けられ人ではない存在、クルースニクになる。
アヤメは家族を殺した謎の黒マスクの男への復讐の為、町に蔓延る怪人…クドラクと戦っていき。
そして次第に事故の真相やアヤメ自身の秘密が明かされて行く…
というのが本作のストーリー。
主人公が変身するようになった最初の動機からかなり血生臭く、平成や令和の特撮というよりも昭和の特撮の仄暗さや土臭さを彷彿とする世界観でした。
アヤメも「正義の為」などは決して口にする事はなく、常に「復讐の為」と良い敵を倒していくので、その姿がさらに陰鬱さを加速させつつも、「正義」など決して綺麗事は言わない所がある意味では見ていて爽快で。
どんなに傷付いても倒れても、体に風穴が開こうとも何度でも立ち上がる主人公の姿が痛々しくも執念を感じ格好良かったです。
そんな昭和の特撮の雰囲気を出しつつも、ルート分岐するキャラは男性で、彼らとの恋愛模様もあり。
昭和の特撮+乙女ゲーというジャンルに偽り無しのとても独特な作風が確立していました。


まだ完成版ではなく、現在は2人のキャラのみルートが開放されていますが、まだ謎は多く…
今後、回収されていない謎がどう関わってくるのかが凄く楽しみです。



『システム、演出』
ティラノ製品。
基本性能は有り。
スキップが若干遅めなのと、履歴が少なかったのは残念でした。
演出は画面の切り替わりで必ず装入される家族を失った時の夕日が印象深く。
アヤメの復讐心の深さを常に感じました。


『音楽』
音楽は少なめな印象。
かなり暗めな世界観なのですが、どれも合っていたと思います。
音楽鑑賞モードは無し。


『絵』
立ち絵も表情も豊富で良かったです。
特に一枚絵はどれも格好良く。
基本、ノベルゲームはCGが出るとCGと一緒に文章も表示される事が多いのですが、今作ではCGは切り替わりでしか表示されず、その一瞬を象徴するかのように一瞬出ては消えるという事が多かったです。
とても良いCGを一瞬しか見れないのが残念に思いつつ、けれどそれが効果的にも見えて。
彼らの瞬間瞬間の生き様がとても良いイラストで描かれていました。
本当に、どれも良いイラストで…出来ればCG鑑賞モードなどが欲しかったです。


『物語』
物語や世界観、設定はとても好みなのですが、文章がちょっと独特というか…ほぼ会話文のみで構成されています。
主人公の考え…地の文は()で表記なのですが、()表記はかなり少ないかも。
故に、戦闘シーンなどがエフェクトのみに頼っている部分があり、イマイチ何が起こっているのか分からない箇所がかなりありました。
会話で進む系大好き党の自分ですらもう少し地の文での説明が欲しいと思ったので、気になる方は気になると思います。
もう少し地の文があってほしかったのと、主人公が台詞を発した時にウィンドウメッセージで名前が出ないのでそこを地の文と勘違いしやすく…主人公が台詞を発した時も名前表記が欲しかったです。


『好みのポイント』
特撮物+乙女ゲー…良いですね。
恋愛要素は甘く成りすぎず、かといって淡白な訳でも無く。
敵の目標は物語が進むにつれて変わっては行きますが、基本はアヤメの復讐物の下地はブレる事は無く。
その上で個性的な男性陣と距離が縮まっていく関係があり…恋愛のみ中心になるのが苦手な自分としては読んでいて大変好みでした。
主人公の家族を惨殺した秘密を握る謎の青年、主人公の世話をする優しい機械仕掛けの男、毒舌家の狂気の博士、紳士的な振る舞いで微笑む少年、謎多き怪人や主人公達を追う妄念の警部補。
かなり個性的な男性陣が物語を彩ります。
現在ルートは謎の青年と機械仕掛けの男のルートのみ解放ですが、ルート分岐のないキャラクターも物語には全員しっかりと関わっていて。
全員必要な上で物語が構成されていて捨てキャラは居らず、今の段階でもこの設定や世界観さえ合えば相当楽しめる内容になっています。
特撮と乙女ゲーの合わせ技がお好きな方、各EDで全員が綺麗に大団円を迎える訳ではない…けれども、納得した生き様や死に様を迎えるのが大好きな方には是非プレイして頂きたいです。
あと、作中、血液が重要になってくるのですが、吸血シーンなどがとてつもなくエロいです!全年齢のエロさをしっかりと噛み締めました!!





以下ネタバレ含めての感想です





今の所、風間ルリヲとガフルートのみ解禁。
風間ルリヲはED4つ、ガフはED1つみたいです。
ルリヲルート、最初にGOODに行けたのですが、BAD(?)の一つをどうしても見つける事が出来ずにかなり彷徨いました。
…が、分岐してみるとそんなに複雑な分岐ではなく…なぜ自分は分からなかったのか?というくらいでした。
一応、最後のビルの上でセーブを取ってビルの上での選択肢とその後のもう一つの選択肢の組み合わせだけで全てのEDの回収が出来ます。
…本当になぜ自分はあんなに苦労したのか…
ガフルートは中盤くらいのルリヲとガフを選ぶ選択肢でルート分岐します。


『風間ルリヲ ルート』
家族の仇…!!と思いきや…というルート。
真相はなんとなく予想はしていましたが、黒幕の先生がラスボスといい、かなり王道なルートだったと思います。
敵だと思っていた人物が敵ではなく、共闘していく…特撮系やバトル系のロマンですね!!
ルリヲの恋愛にウブだったり、赤面した顔は本当に最高で…
格好良い癖に可愛いなと思います。
EDはどれも良いですし、GOODが確かに良いのですが…個人的に(おそらく)アヤメを食べたEDが…好きです。
今までの流れで死んだら食べられる事を望んでいたので…おそらく…そういう事ですよね…
彼の血肉となって生き続けるのも良いなと思いました。
EDはルリヲが生きていても他のキャラが散っていき容赦がないEDを迎えますが、彼らが散っていく瞬間の背中のCGが大変格好良かったです!


『ガフ』
機械と人間の恋、そして、生きて成就はしなくても、それでも想いは有り続ける…そんなED。
ガフは正直最初から最後までかなり主人公に甘々で、甘やかせ系人外が好きな人にはたまらないキャラだと思います。
博士が塩対応な中、ガフはどこまでも優しく…
そんなガフに訪れる機械の限界と制限は見ていて切ない物がありました。
今作、とても良かったのは、「愛のパワー」とかで機械的な部分に奇跡が起こる…という事は無く。
機械には機械の限界がある所がしっかりと描かれていた所がとても好きでした。
勿論、奇跡の力で機械の限界を超える、なども好きですが、この少し陰鬱で暗めな世界観では現実主義の方が合っていたので、どこまでも現実的に機械のガフが描かれていて…そこがとても好印象でした。
最後も、大手を振ってハッピーエンド!とは言えないけれども…アヤメもガフも、肉体を捨てる事によって初めて人と機械ではなく同じ土台に立てたのかな?と思っています。
メリーバッドエンドっぽいというか…肉体的な死を迎えるけれども、二人は幸せだから良いじゃない!というEDで…個人的にこういうED好きなので良かったです。


まだまだ完成版ではなく3キャラルートが残っているのですが、この時点でかなりお腹いっぱいになれる作品でした。
今後、他のキャラのルートで謎がどう明かされて行くのか、他キャラとどう恋愛関係を築いて行くのかが、次回のルート解禁、楽しみに待っています!!