ひっそりと群生

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【Scarlett ~スカーレット~】感想

【男性向け18禁】



MANYOさんの担当されたゲームをクリアしていく企画第32弾。



2006年05月26日発売
ねこねこソフト』※リンク先公式HP(18禁)
Scarlett ~スカーレット~】(PC)(18禁) ※リンク先wiki
以下ネタバレ含めての感想です。








ねこねこソフトのプレイは5作目。
プレイ時間は約10時間くらい。
7でもインストール、起動可。
ディスクレス起動は不可に、これも時代の波か…残念。


話…というか文章の読みやすさは流石。
驚くくらいスルスルと入り、読みにくさは全く感じませんでした。
雰囲気も良く、地球上を駆け巡り世界の夏を全て纏うかのように様々な国に行くのはとても見てて楽しかったです。
ただ…メイン主人公核として居る明人の性格や状況が受け入れられず、別当家無双の展開がどうしても合わなかったです。


まず、明人なのですが、ビックリする程に浅慮過ぎて。
「「非日常」側に行きたい」と言う割には覚悟が足りなさ過ぎるというか…
「日常」と「非日常」の境界を描きたい」という作風なので、「日常」サイドで「非日常」に憧れるキャラが居てもそれはそれで良いのですが、だとしても「非日常」側のルールを分かって無さ過ぎて。
憧れるなら憧れるでちゃんと憧れる物をしっかり理解していようよ…と。
見つかってマズイ人間を撃つ度胸は無いわ…これはまだ良いとしても、「非日常」側にしっかりと来ておいて撃っちゃいけいない「高級諜報家」は撃つわ…各言動が学は有るけど頭が良くは見えないタイプで。
その上で特別扱いされて「非日常」側に入れるし都合よく島から脱出して生きてるし…なんでこの浅慮な彼を「非日常」側に入れようと思えたのかが分からず…
九郎の「「日常」と「非日常」を越えようとする姿に惹かれた」というのも分からなくも無いですが、こんだけ浅慮だと自分の元に置くのがリスクがあると思いますし、同時に明人がしずかに惚れたのは分かりますが、どうしてしずかの方が明人に惚れたのかも理解できず。
始終主人公補正が掛かっているように見えてどうしても明人が受け入れられませんでした。
あと、個人的に好みの方向性として自分の持っている「日常」「日常」での大事な人を一生懸命大切にして生きているキャラが好きなので、「非日常」に憧れるのは良いとしても覚悟もなく今までの当たり前をサクッと捨てるキャラに気持ちを寄せる事が出来ず。
「日常」を捨てようとしたのにその「日常」を貫くのが本当は難しく、「日常」こそが特別な物でそれがどれだけ大事な物だったのかに気付く」みたいな流れが好きな自分としては明人にそういう描写があまり見えなかったも好みになりきれなかった部分ではありました。
4章は島に流されてしずかと遊んでるだけで…九郎しか頑張ってない…
最終的には別当の籍を外れたしずかと結婚するし…なんだかなぁ…


あとは別当家の「高級諜報家」の設定がどうしても肌に合わず。
「自分が撃つのは良いけど打たれる事は絶対に無い存在」ってなんだその勝ち確な存在。
別に良いんですよ主人公が無双しても、ジェー◯ズ・ボ◯ドが無双してもター◯ネー◯ーが無双しても、主人公なんですから、最後には勝って欲しい。
でも、戦いの中である程度のリスクを背負うから面白いというか。
相手も撃って来て、「もしかしたら負けるかも!?」な展開があるから惹かれるというか…主人公無双しても無双の中である程度のリスクがあるからドキドキするのに、そういうリスクが殆ど無く。
別当家が右と言えば右、左と言えば左に動くようになってて、撃たれる事も無く勝ち確定していて。
世界の為に動いているという設定ですが、どう見ても別当家が世界を振り回せる立ち位置でリスクも無く世界を振り回しているように見えて。
世界の為と言うよりも、別当一族が世界を手中に収めたワガママ放題の話に見えて。
明人や美月もですが、生まれながらに恵まれた人間しか登場せず生まれで全てが決まる…要するに上級国民のお話。
…自分はそういう生まれながらに恵まれている人間の恵まれた上で世界を引っ掻き回すお話が合わなくて。
成り上がり物語というか…一生懸命上を目指したり下から這い上がったり世界に歯向かうお話が好きで…そりゃ好みに合わないなぁと思いました。


そういう好みの合わなさがあり、どうしてもノリ切れなかったのですが、主人公を九郎と置くと結構好みの部分があったり。
「自分の生きてきた世界しか知らない」「その世界の中で懸命に生きる」という人物で…メイン主人公、九郎の方が絶対に良かったよなぁとは思います。
明人を採用した事以外は聡明で行動力も有り、生き方はハードボイルドしてて格好良い方。
まぁ、別当の性を捨てる捨てないになった時に「この世界しか知らないから~」と結局は特権を捨てられない部分は若干格好悪かったですが、そんなに簡単に特権とか捨てられないのが人間なのでそこは仕方ないか。
でも、美月と一緒になる為に捨ててたら個人的に更に格好良く感じたとは思います(そして別当の性を捨てなくても明人を救えた部分は若干都合が良いなとも感じました)。
美月と結婚は出来ないだろうけど、ずっと共に居るのは分かって…そういう結婚はしないけど絶対に永遠に一緒に居続けるだろう二人大好きなので二人の関係が最高でした。


あと、3章は凄まじく好きです。
レオン編こそ、「日常」を懸命に追い求める…というお話で。
「普通」の難しさと「普通」の大切さを知っている主人公でとても好感が持てましたし、なによりも幼馴染の少女の子供を預かり最後にはその子供と結ばれるというのがこう…性癖にぶっ刺さりました。
光源氏計画…でも、自分が幼少期に大切だと思っていた人の娘と結ばれるとかやっぱりロマンがあります、というかエロい。
レオンとイリカのエロシーンは本作のエロ3回という少なさの中で屈指のエロだと思います…プレイがエロいというよりも関係性がエロい、ズルい。


正直、1、2、4章はそんなに…でしたが3章が個人的に好みにヒットしたのと、明人はそんなに…でしたが、しずかの出生とレオン、九郎の生き様は好みだったのでそこは良かったです…もう少し明人がどうにか好みだったらなぁと思いました。
確認を取ると、1、2、4章が片岡さん、3章が木緒さんだったので、今回は片岡さんの方に展開的な好みが無かったなと。
文章はどちらも読みやすかったので文章を読む分でのストレスは全く無かったのでそれは良かったです。
歴史に関しては…うん、一部はなんとなく分かりましたが、正直大きな部分は分かってない所があります。
世界史をもっと知っている人が楽しめるんだろうなーと思う箇所が多々有り。
でも、様々な情勢と問題を絡めて描かれていた所は流石だと思いました…物語的に見るとやっぱりちょっと別当一族無双だとは思いますが。


絵は、かなり小さな所までCGがあったので凄く良かったです。
明人がフェンスを乗り越えるCG、きっとあれが「日常」と「非日常」の境界線だとは思うのですが、そういう部分にもCGが有り、男キャラでCGが多数用意されていて見ていて楽しく、飽きる事は無かったです。


音楽はコチラも流石。
「Rainy weather」は『冬のポラリス』(※リンク先感想)でずっと流れていたので流れた瞬間に「このゲームの曲だったんだ!!」となりました。
静かでどこか切なくて…良い曲です。
MANYOさんの曲では「feeling of strain」が好きです、今作で一番好きかも。
「Secret information」もハードボイルドで良いですね…いつもですが、今回も良い仕事をされていらっしゃいます。
そういえばOP、流れなかったのですが…すっ飛ばしたかな?
声は藤野さんにまきさんに青山さんに…凄く、いつものねこねこです…安定感有ります。
今作、初回では男性にボイスが無いのですが、パッチで導入出来るようになっていて。
導入はエロゲでの男性ボイスが嫌い!とかじゃなければ絶対にした方が良いです!
八郎が一言で分かる某氏で迫力あるお声を堪能出来ます!
…というか八郎のカリスマはあのお声あって成り立ってた所があるので…絶対必須でしょうコレ。
九郎もなんとなくどなたか察する事の出来る渋いお声で(…というかコンシューマ版のキャスティングでまる分かりなのですが)。
明人は若干合わなかったかな…ナヨナヨしいのは合ってますが…悪くは無いけど合ってない感じ。
脇役の女性陣もですが脇役の男性陣も兼ね役が多く、八郎役の方は速攻で分かったので少し笑ってしまいました。
あと、好みは絶対に分かれるとは思いますが男性向けエロゲでエロシーンでも男性の声が入るエロゲは最高だなと思ってる派なのでそこは凄く評価してます。


ねこねこが「日常」と「非日常」を目指していた姿勢は伝わりましたが、個人的にねこねこの「日常」が好きだったんだなーと強く感じた一作でした。
朱 -Aka-』(※リンク先感想)もでしたが、「日常」から外れると好みから外れるなと思ったり(「赤色」ですし、何か意味はあるのでしょう…とりあえず初回同梱の設定資料集見てみます)。
「おまけ」は非常に充実していて、「サナララ」の番外編が見れたり「ラムネ」のH話を読めたのが面白かったです。
…でも鈴夏は大人しいverが好きなので、明るいverのエロだったのが少し残念。
佐倉さんにエロがあったのに驚きだったのですが、PC版のみだと攻略出来ない&攻略出来ないエピローグが好きだったので少し複雑な心境になりました。
PS2版の追加ルートを見てこその番外編だったんだろうなとは思います。
「みずいろ」関係のおまけが多いのですが、コチラも「みずいろ」未プレイなので省いたりしました…いつか、いつかプレイします。
緊急回避では久しぶりに夕奈さん…ヤバいねーちんに会えて…相変わらずの恐ろしさでございました。
「おまけ」で「ラムネ」での七海ルートの目覚めた後すぐの後日談が見れたので、「ラムネ」の七海ルート至高派の自分としては大感激しました。
最高だなぁ七海ルート…最高です…


色々と個人的な好みで思う所は確かにありますが、「おまけ」含めてねこねこらしく、総合的な完成度は高い一作だったと思います。
ねこねこは本作で解散予定だったらしく、色々とさようならボイスなど聞けましたが…再び始動されていて嬉しいです。
ねこねこの作風はねこねこでしか貫けないと思うので。
この後にMANYOさんが関わられたのは「サナララR」くらいなのですが、いつか色々と追いかけているものが落ち着いたら最近の作品含めてねこねこの好みに合いそうで面白そうなお話全体に触れていきたいと思います。



※ゲームの攻略で検索される方がいらっしゃるみたいなので参考にさせて頂いた攻略サイト様を失礼します。
参考攻略サイト様:愚者の館(アーカイブ) 様
http://sagaoz.net/foolmaker/
 Scarlett ~スカーレット~ ページ
http://sagaoz.net/foolmaker/game/s/scarlett.html