ひっそりと群生

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【ヴァージン・ロード】感想

【男性向け18禁】



2012年11月10日発売
雨傘日傘事務所』様 ※リンク先公式HP(18禁)
ヴァージン・ロード】(PC)(18禁) ※リンク先DLsite.com(18禁)
以下感想です。








愉快な愉快なメロヴィ城砦内物語。



『ハイランド帝国領における初夜権謙譲の慣習について

 古くは大陸全土に慣習としてあった初夜権謙譲の慣習
 大陸全土に現在の国ほど大きな規模のまとまった集団がなく
 各地域の領主が自らの富と力で土地と民を守っていた頃の慣習で、
 現在では、領内に隣国と接した隔壁を擁する
 国境領においてのみ、領令義務として課せられている

 領下に婚儀を迎える家の新郎が
 自らの新婦を領主に一晩さしだす、というものだ

 加えて、現在のハイランドにおいては
 新婦をの初夜を献上した新郎の元に
 一夜の慰みとして領主の寵姫を贈る事も
 取り決めとして定められている

 一夜限り、
 城砦主に自らの『初夜』を謙譲される可憐な花嫁たちと、
 その代償として花嫁を謙譲した夫の元に贈られる不遇な寵姫の艶姿
 あますところなく描きました。
 初夜権譲渡の一夜の後も
 城砦主『キメラ候』を取り巻く彼女らの日常と合わせて、
 クロユリ・スノウフレーク・ルヴィナス・キバナ、
 4人のヒロイン達の顛末を楽しく読んでいただけましたら幸いです。』
(公式より引用)



雨傘日傘事務所作品のノベルゲーム15作目である「ヴァージン・ロード」をプレイ。
プレイ時間は約3時間くらい。
分岐は無し。


今作は雨傘日傘事務所さんから出されてはいますが、「西ニフルヘイム工房」という少し別の名義として出された作品になります。
そういう名義もあり、今までの雨傘日傘さん作品と世界観は繋がりつつも、単語や設定などで過去作の言葉が出てくる事は少なく、本作単品でプレイでき、設定で置いて行かれるという事は無い作品になっていました。


今作は領主に結婚前夜に自分の花嫁を差し出す「初夜権」をモチーフにしたお話。
実際に現実の歴史でも中世のヨーロッパ辺りにあった文化で、何かの拍子にこの言葉を知り調べた事があります。
実際にあった文化ですがエロいですね、まさに事実は小説より奇なり。
今作はその設定が下地にある事もありとてもエロの方面に全振りした作風になっていました。
今までの作品もエロは確実に強かったのですが、それ以上に戦闘や歴史を動かすほどの大きな物語がラストに用意されていたのに対し、今作はその辺りは殆ど無く。
初夜権」をメインに繰り広げられる領主、キメラ候と娘達とのエロ、エロ、エロというストーリーラインに。
プレイ自体はハードですが陵辱は薄めなので、「無理矢理苦手だけど責めまくるハードプレイは好き」という人にはとっつきやすいかもしれません。


初夜権」が前提にある事と、「初夜権」で妻を差し出した夫にはキメラ候の寵姫であるクロユリが慰みとして妻を差し出している間に差し出されるという本作の設定から、キメラ候の寝取り物であり、キメラ候の寝取られ物…ジャンルとしてはスワッピング系のエロの形態になっていました。
寝取り物、寝取られ物は基本鬱で暗く闇が入る作風が多いのですが、その辺りは流石の雨傘日傘さんの采配。
キメラ候もクロユリも、そして関わる娘達も「初夜権」という文化がある上での価値観なので全く自分のパートナーに対しての罪悪感が無い為に暗くならず、明るく楽しく濃いエロを満喫するので悲壮感0のスワッピングを楽しむ事が出来ました。


特に今回は笑いの箇所がとても多く。
日常会話もですが、エロだからこそ出来る下品だったりエロの際の特有の下ネタでバンバン笑わせて来るのが本当にズルい。
エロシーンでいつものネットリドログチャエロが繰り広げられながらも会話は痛快なテンポで。
人を選びそうですが、自分はエロシーンでエロだから出来る笑いで大笑いさせてくるタイプが大好きなので、どのエロも始終笑っていました。
そういえば今回、ヒロインの一人、スノーフレーク関係で大スカが出ます。
ガッツリ絵としても大スカ描写が入るのは「白夜十六」以来かも?
絵として入るのは一箇所だけですが入るので苦手な方は注意です。
ただ、ネタとしてはバリバリ笑わせて来るので、大スカネタはかなりあります。


話は最後に「to be continued」と出る事や選択肢無しですがCG一覧で埋まってないっぽいCGがあり、二周プレイしましたが二周目でも埋まらないため、おそらく公式サイトにある「ジザンサスと月夜に踊る」へと続くと思われます。
今作ではまだ謎な部分や未完な所が多く、キメラ候とクロユリ、そして娘達のその後が気になるので「ジザンサスと月夜に踊る」がとても楽しみです。



『システム、演出』
吉里吉里製。
今作ではメッセージスピードを変えられなかった気がします、その点は読んでいて不便でした。
毎回画期的な動きを見せてくれますが、今回はエロシーンでの動きが特に凄かったです。
「ヴィザルの日記 補記」でアニメーションが活発になりましたが、今作ではアニメーションではありますが普通のアニメーションとはまた違った手法でぬるぬる動き。
「アニメ」では無く、「静止画」を動かしているという所にこだわりがありそうな雨傘日傘さんらしく、静止画がぬるぬる動きました。
えもふりでもE-moteでもこういう動きは中々に出来ないかと。
個人的には静止画をカクカク動かすのが好みなので、この動きが好みかと言われると微妙ではあるのですが、技術としては凄かったです。


『音楽』
いつもの素材曲のBGMがらしさを感じました。
ただ、「霊刀キザクラ」から参加されていらっしゃる片霧さんの曲が無く、少し物足りなさが。
「ジザンサスと月夜に踊る」では参加予定らしいので、次回での楽曲を心待ちにしています。
声が今回から商業でも活躍されていらっしゃる方々ばかりで聴き応えがありました。
勿論今までの方々の素朴な演技も嫌いではないのですが、やっぱり演技力の面で見ると段違いだとは思います。
キバナ役の椎那さんは同人でも商業でもお名前をお見かけします。
最近だと「いつまでも息子のままじゃいられない!」でメインヒロインの母親、夏海役でお聞きしましたが、嬌声が可愛らしくとても良かったです。
「夏のさざんか」でのヒロイン、つばきも良く、儚さを内包するキャラがお上手だと思いました。
エロシーンがあるキャラではクロユリスノーフレーク、ルヴィナス役の方々も聞いてて違和感無く。
スノーフレークのアホっぽさがあるある演技も、ルヴィナスの凛々しくもエロでは乱れる演技も、そして個人的にはクロユリの見た目が寵姫と言われるほどに清楚に見えながらも中身がモロに姐さん女房で江戸っ子のような話し方が聞いててどの演技も楽しく、台詞回しが良すぎて飛ばせませんでした。
男性声優さんも皆さん日常会話もエロの呻きも良く。
男性向けのエロシーンで男性の声が入るの大好きなのでどのシーンも聞いてて楽しかったです。
特にキメラ候は主人公なので台詞も多いのですが、キメラ候役の福田さんも全台詞上手く。
領主らしく黒い所もあり、罪人に拷問を行うほどの残酷さを秘め、「初夜権」で好みの女性を抱くのを楽しみにする領主としては正しくも人としてのゲスさがありながらも、「初夜権」で抱いた女性を放っておいては寝覚めが悪いと思うくらいには情があり、所々で常識外れで我が強い周りの女性陣に振り回され、女性陣に囲まれると常識人になり苦労人な所が見え隠れし。
そんな、憎めないキャラクターのキメラ候を絶妙に演じられていました。
山里さんは「紅湖の皇子」から出演されていらっしゃったり、懐かしさがあり。
新旧メンバーという感じで声の方面でも楽しませて頂きました。


『絵』
本当に、どんどん上手くなられる。
昔はムッチリの絵柄で体位に若干の違和感がありましたが、作品が進むにつれて画力の向上が手に取るように分かります。
女性の体位が違和感無く、男性の骨格もお上手になっていて、男女の絡みの画力が凄まじく高く。
それでもムッチリと汁気は変わらず。
好きこそ物の上手なれ、好きなもので画力が上がっていくのを時代を追うごとに感じます。
立ち絵とCGは変わらずの多さ。
今回戦闘がほぼ無しなので戦闘シーンは無かったのですが、日常会話での立ち絵の豊富さは間違いないです。


『物語』
濃い女性陣に振り回されるキメラ候が面白く。
滅ぼした場所で唯一生き残っていた謎が多く、けれど見た目とは裏腹にざっくばらんな寵姫のクロユリ
初夜権」により一度初夜の相手をした後、キメラ候とのハードプレイを忘れられず何度も夜這いに来る町娘のスノウフレーク。
従属貴族ロス家の次期当主ヨシュアの妻であり、実は諜報査察部隊で色々と裏を調べ尽くすルヴィナス。
実は幼少期にキメラ候と出会った事があり、幼馴染で城砦お抱えの人形師ブブとも知人の街の占い師キバナ。
美人に囲まれハーレム…に見えて実は濃く我が強い女性陣四人に囲まれタジタジという構図がキメラ候の苦労人さを引き立てていました。
初夜権」を使い楽しそうに領主をやっているけど、彼女達の巻き起こす珍道中で休む間も無く。
奇人変人愉快なヒロインが大好きなので、彼ら彼女らのドタバタ劇が楽しかったです。


『好みのポイント』
「ヴァージン・ロード」というタイトルなのに処女が一人しか居ない、凄い。
寵姫のクロユリは過去に謎が多く、過去の経験をネタにされるくらいに経験豊富で。
ルヴィナスもおそらく様々な任務で経験済み。
婚姻を控えていた町娘のスノウフレークですら旦那以外と経験しておりキメラ候にバレて処女を捧げた相手をキメラ候にして欲しいというタヌキっぷり。
全員腹に一物抱えており、一筋縄ではいかない女性キャラ好きとしては彼女達の挙動が楽しすぎました。
記憶から忘れていた幼馴染のキバナが唯一の処女で、フェラもキスも挿入も始めてという雨傘日傘さん作品の中では驚きの初っ子。
雨傘日傘さん作品で破瓜シーンを久しぶりに見た気がします、初々しくて非常に可愛かったです。
ですが、処女で乳首ピアスを実装している所は流石。
乳首ピアスが今作もあり、更には処女が始めから乳首ピアスを装備しているという部分に業の深さを感じました、好き。
そういう初々しさとイヤラシさが同居したキバナですが、「初夜権」以降もキメラ候に近付けると知ってから、キメラ候に近付く女性を片っ端から威嚇するという嫉妬深さ&地味なヤンデレさを発揮し、彼女もまた一筋縄ではいかず。
初夜権」というモチーフがありながらもこの非処女率に雨傘日傘さんの性癖を感じました。
非処女がお好きなのか、創作者としてこなれている娘の方がエロで動かしやすいのかは分かりませんが、クセが強い女性が好きなので全員見ていて楽しかったです。





以下ネタバレ含めての感想です





今作では戦闘シーンがほぼ無いんですよね…
ヨシュアとの模擬戦で一瞬くらい。
なので、雨傘日傘さんの戦闘シーンを期待している身としては消化不良な感じがしました。
我儘かもしれませんが、「黒曜鏡の魔獣」「霊刀キザクラ」「ヴィザルの日記」「嘘つきナレットの優しい暗殺者」レベルの圧倒的戦闘を見たい、見たいのです。
あの進化される戦闘演出を見たいが為に追っているので、その辺りの期待値で言うなら今作はちょっと下方気味でした。


まぁエロシーンで笑わせに来るのは大好きなので、その点では大笑いさせて頂きました。
個人的には後半でスノーフレークが大スカプレイを期待してお腹に溜めて来た所をキバナに邪魔され廊下で力尽き「スノーフレーーク!!」と毎回なるシーンや、ルヴィナスの子が自分の子では無いかとドキドキし、生まれた双子が金髪だった時、「育児用品買っちまったよ!」と叫びながらルヴィナスを調教するシーン、クロユリの「(前と後ろ)両方に入れて欲しい」「一本しかねーよ」の流れが好きです。
下品ネタ大好きなのでどのエロも大爆笑でした。


話としては、「白教会」や「ベルザンドス」辺りが過去作との関係性を彷彿とさせます。
それ以外はさほどの繋がりが無い為、今作一作だけでも全然余裕で理解可能だとは思われますが、今までのふとした所で過去作を知ってると察する大きな繋がりが好きだったので、そういう部分でもちょっと残念さはありました。
戦闘が無い事もあり、大陸の歴史を動かすほどの大きな物事も無く、コンパクトな作品だった印象。


ただ、「ジザンサスと月夜に踊る」の登場人物の一覧の中にベルザンドス本人が居たり、ノッキング・スワロウテイルが全盛期で居たり、過去作と大きく繋がって行くのは次回作からなのでは?と思っています。
そして何よりクロユリの過去。
途中、一瞬だけキメラ候が城に攻め入った際に邂逅したクロユリとのシーンが出ますが、クロユリは色々と秘密を持っていそうで。
「嘘つきナレットの優しい暗殺者」でも登場した「魔女」の関係だったり?この辺りも気になります。


何分今作だけでは評価がし辛い作品でしたが、面白い所はしっかりとあり、次回作が気になる作りと終わり方でした。
次回は「午前零時の讃美歌」の2という、まさかの11年越しの続編。
「午前零時の讃美歌 -彩無鏡の小妖精-」をプレイ予定。
2021年4月時点ではコチラが雨傘日傘さん作品のラストになり大変名残惜しいですが、再び小夜子さんに会える事や、演出や物語を全力で楽しませて頂こうと思います。