ひっそりと群生

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【空の果てからこんにちは】感想

【男性主人公全年齢】



2020年08月20日配信
『ハルノサクラ』様
空の果てからこんにちは】(PC&ブラウザ) ※リンク先ノベルゲームコレクション
以下感想です。








こんにちは、私です――
空に、恋に、君に、落ちていく――



『リンゴ農家の一人息子ヒロサキは、幼馴染のリコとともに平穏な生活を送っていた。
 人里離れた山奥で自然と戯れるヒロサキたち。
 漠然とした将来への不安を抱きつつも、彼らは変わらない日々を過ごす。
 そんなある日、ヒロサキは倉庫で奇妙な音を耳にする――
 「誰だお前」「私です!」「だから誰だよ」
 空駆ける恋愛ADV――もう一度、こんにちはを言うために。』
(公式より引用)



プレイ時間は約2時間くらい。
分岐有り。
EDは3つでリコ寄りが1つメイラ寄りが2つ、全ED後にエピローグが1つ。


空から落ちて来た少女、メイラとの出会い――。
という物語では昔からある手法を取りながらもリンゴと重力を絡めた物理学の要素を組み込み独特な作風に仕上がっていました。
田舎でちょっとハイテンションな、世界の不思議と物理と恋愛でギャルゲで…ほんのりエロゲ!!?
人や恋など様々なものが落ちていくのを楽しむお話でした。



『システム、演出』
ティラノ製。
コンフィグが無く、文字表示速度が変えられないのと既読と未読の判定も無いのが不便でした。
メイラルートはリンゴの方に目を向けつつ欲望に忠実に生きつつメイラに気持ちを寄せていると後半で分岐がもう一つ出現します。


『音楽』
ほのぼのとした選曲が作風に合っていました。
コミカルな感じが女の子とのキャッキャウフフな日々とギャルゲー感がありました。


『絵』
リコとメイラのみ。
表情がコロコロと変わったり、?マークやエフェクトが良かったです。
あと、メイラの立ち絵の出し方が独特だったのが面白かったり。
OPが本当にセンスが良く、これから始まる物語のワクワクがありました。


『物語』
文章は読みやすいのですが、途中で一人称の視点が変更になる箇所があり、その部分で少し混乱しました。
急に視点が変わるのでその切替が少し大変でした。
あと、若干性的要素が強いのと会話でメタ的な要素が多いので、その部分が気になる方は気になるかも。
「空から落ちてきた少女」という某超有名アニメ映画から…いや、もしかしたらそれ以前から人々が物語の中で使ってきた要素でここまで物理と絡めるのが中々に面白く。
「空から落ちてきた少女」「世界の不思議」「重力」などなど。
所々で入る物理学的な小話は読んでいて大変興味深かったです。
物理学とか全く分からないのですが、現実にある物でありながら重力に凄く…ロマンを感じました。


『好みのポイント』
メイラも確かに可愛いのですが、リコ!
リコが本当に健気で可愛く…
確かに「空から落ちてきた少女」であるメイラは間違いなくメインヒロインではありますが…
でも、長年主人公を想い続けて来たリコは本当に本当に可愛く。
真っ直ぐ主人公にアプローチして好き好きしてくるヒロイン可愛くないですか?可愛いよ!!
ピンチの時に颯爽と助けてくれますし…ヒロインでヒーローとか最高ですか?
エピローグなどを見るとメイラのお話では確かにありますが、正妻はリコだと思っています!
主人公の第一夫人として、主人公のヒーローとして主人公を是非支えて行って欲しいです。





以下ネタバレ含めての感想です





公式のあらすじや公式のスクショなのでずっと隠されていたようなので、ネタバレ項目に。
本作は空の上にももう一つの世界があり、もう一つ世界から来てもう一つの世界の重力に引っ張られる少女のお話でした。
常に逆さまで空に引っ張られる少女。
空の上の世界とは何なのか、自分達の居る世界は何なのか。
メイラの出現を機に数々の謎が解かれていきます。


ギャルゲー+物理と大変面白い要素もある作品だったのですが、数箇所個人的に気になった所もあり。
1つ目は初回プレイだとファンタジックな田舎の雰囲気でありながらもテンションが現代学園物ギャルゲーのノリなので、雰囲気と文章のノリが違っていてその温度差が気になり。
これに関してはメイラの居た世界からの分かたれた世界が主人公の居る島なので、現代のノリがあるのにも最後には納得しました。
ただ、最初はファンタジックな世界だと思っていたので少々戸惑いました。


2つ目はこの世界の宇宙に関して不思議に思っている事。
メイラの世界では星があるという事は宇宙はある…のかな?
主人公の世界の上空はメイラの世界なので宇宙は無い。
主人公の世界は大地と宇宙の間にあって、徐々に宇宙側に落ちて行っている、という事で良いのでしょうか?
宇宙に関しては触れられなかったのでそこが気になりました。
という事は最終的に主人公の世界は宇宙に行って皆死に絶えてしまう、と。
もしくは大気圏で燃え尽きてしまう、と。
…エピローグで戻って来れて良かったです。


3つ目は主人公の行動が…
ギャルゲ的なお話なので仕方ないのですが、リコに対して唐突に胸を揉んだりキスを迫ったり、いきなりメイラを抱いたり。
唐突に性的下ネタ行動を取るので!!?となっていました。
これに関しては作品自体のスピードがかなりスピーディーなので仕方ないのですが、もう少しゆっくり段階を踏んで進む所を見たかったなーと。
エピローグに繋がるメイラとの一件も、抱いておいて「責任を取る」と言っておいて空に送り返すのが「それはどうなの?」という気持ちに。
全然責任を取ってなくて…そりゃBADになりますよね、分かる、でした。
エピローグがBADから続いていて、世界を元の世界に引き寄せて救済する為にはBADを通らないといけない…という構図は面白かったです。
ただ、BADでは主人公がメイラへの責任の意味が空回りしていて責任を果たしていないので、どうしてもBADを通った上でのエピローグでの主人公を受け付けませんでした。
BAD→エピローグでメイラが主人公に抱きつくよりも主人公の顔面に平手打ち一発でもかまして欲しかったです!
抱いて中出しした上でメイラを一人にするとはどういう事なの!!
しかもメイラ孕んでて子供居て…子供を一人で一生懸命育ててるとか…主人公の責任!!
メイラを空に捨てた両親と同じ事をしてるのでは?
と、メイラが健気で可愛いく主人公よりも寄り添ってしまったが故の憤りを感じてしまい。
世界自体の救済や主人公とメイラの子供が物理での架け橋になる部分は面白いのですが、どうしてもそこが個人的に気になった要素です。


なので、個人的にメイラGOODとリコEDが好きだったりします。
特にリコ、リコ良いですね!
ずっと主人公を想い続けている想いを隠さない少女。
好きを隠さないヒロイン大好きです!
メイラを抱いてメイラを送り出してメイラをずっと想い続けている主人公に対しても絶対に想いを諦める事無く妻になってたり…
メイラも友人として好きでありながらも主人公を諦める気はないそのしたたかさ、好き。
彼女の真相も、主人公は記憶を失っていたけれど実はメイラと同じく空から落ちてきた少女で、こちらの世界の物を食べてこちらの人間に帰化した…という所が、作中でサブヒロインみたいに言われますが、個人的には裏ヒロインやメイラと対になるヒロインだと思っていて。
全然サブでは無かった所が最高でした。
サブというより立ち位置的に完全にダブルヒロインだと思っています。
本当は空から落ちてきた少女で、主人公の事がずっと好きな幼馴染とか…色々とプレイヤーから見た勝ち組要素が強いヒロインかと。
メイラのGOODやリコEDでは世界自体の救済にはならず、世界は落ちて行き宇宙や大気圏には行きそうですが…「責任」という部分で主人公の生き方が好きなのはコチラでした。


ニュートンが重力を発見した時のリンゴ、主人公がリンゴ農家でメイラがリンゴを持ってきてたなど、リンゴがキーアイテムになりそうに見えながらもあまりキーアイテムになってなかったので、もう少しキーアイテムとして見たかった部分はあります。
主人公の居る世界が元の世界に引き寄せられる理由が主人公とメイラの子供にある…だけでなく、メイラが持ってきたリンゴの種で木を育ててメイラのリンゴの木によって大地が引き寄せられる…の要素もあって、リンゴがもう少し活躍して欲しかったなとも思ったり。
いや、そういう描写が無いだけで実はそういう部分もあったのかな?
読み込み不足かも…でも、リンゴの活躍をもう少し見たかったです。
あと、メイラを捨てた両親も気になりますが…でも彼等はメイラを捨てた側なので描写が無くても良いかなと、うん。


所々で出てくる物理学のお話は本当に面白く、ワクワクしていたので、世界はまだまだ身近にロマンが溢れているなと思いました。
そもそも重力も…重力は何故あるのか?これに関しては確か確実な証明が出来ていなかったと思います。
「世界がそうあるからそうある」そういうレベルで重力は存在している物。
まさに「世界の法則」。
そんな重力を反重力に出来たら面白いだろうなーというロマンと、そしてこんな風に世界が分かたれたら怖いなーという恐怖と。
…そういうロマンと恐怖が共にあり、人の技術は進化しているのだなとも感じました。


重力に従い「世界」「人」「恋」全てが落ちていく――。
分かたれた世界で、別々の世界の住人が運命的に出会い、また分かれ、そして二人により世界は再び一つに戻る。
一度分かたれた君と、再び「こんにちは」を言う為に世界を一つにする…
世界全体で見ると大スペクタクル物でした。