ひっそりと群生

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【お泊まり恋人ロリータ】感想

【男性向け18禁】



2016年12月31日発売
夜のひつじ』様 ※リンク先公式HP(18禁)
お泊まり恋人ロリータ】(PC)(18禁) ※リンク先DLsite.com(18禁)
以下感想です。








半分辛いから一番辛くて、半分嬉しいから一番嬉しくて。
半分を全て君に奪われた――。



『小さな女の子は好きですか。

 髪を梳けば心が通う。
 手をつなげば温もりが伝わる。
 少女の瞳と肌と粘膜は潤っている。
 だからやさしくなりたい。
 幸せになる方法だけを考えて
 だめな、理想の恋をする。

 恋愛中出しロリユートピアノベル』
(公式より引用)



夜のひつじさん作品18作品目プレイ。
こちらは再プレイになります。
プレイ時間はゆっくり読んで約3時間15分くらい。
前編約1時間40分、後編約1時間30分、エピローグ7分くらい。
分岐無し。


大地主の不義の子であり居場所が無い少女と出会い恋をする。
家の中では疎まれ、表向きには「生きている」事を許されていない少女。
そんな少女との交流は庇護欲を掻き立てられ。
庇護欲や同情から始まった関係ではありますが、徐々に主人公が少女の美しさに惹かれていくのが魅力的で。
「全部よりも半分が一番心に残る」。
「半分」という言葉をキーワードに二人が関係を深めて行く姿が見ていてジンワリと暖かくなりました。


相思相愛ロリータ』『ゆびきり婚約ロリイタ』(※リンク先感想)と続きロリータシリーズは三作目。
一度プレイ済みで当時プレイした時には前作2つよりは自分の中の琴線に触れる事が少ないと思っていましたが、今回再プレイでかなり印象が変わりました。
当時はサクッと終わった印象でしたが、今の自分で再プレイをすると色々な所でグッと来たり。
過去のシリーズ作との相違点などを考える事が出来、新しい発見がありました。



『システム、演出』
吉里吉里製。
使いやすさ満点、言うことはもう無いくらい。
再プレイは本作で終わりなので、今後この項目はシステムが変わらない限り「過去作と同様」にしておこうと思います。


『音楽』
madetakeさんとwaniwaveさん。
今作はロリータシリーズとしてサントラCDが出ています。
勿論購入済み。
「メタビュシカ」「そうだよ」「後宮の姫」「better half」が好きです。
特に「better half」はラスト、いつもの音楽切り替わり演出の際に流れるので印象深く。
最後にハッと気付く感じがたまらないです。
声は今作で初めてお耳にかかりました砂糖さん。
儚げで境遇から自信が無く何度も言葉を反芻する心もとない声色が最高。
清楚だけれど自信の無さが台詞の随所から現れていました。
エロでも過度に高い声を上げないのが小妙の大和撫子のような見た目にピッタリで非常にそそられました。
今作から同人で活躍され、他の夜のひつじ作品にも出演されていらっしゃるみたいなので他作での演技も楽しみです。


『絵』
ロリータシリーズに欠かす事が出来ないぴよ寺さん。
プニップニ柔らかそうでお腹が少しポッコリ出ている二次性徴途中の少女の身体がたまらないです。
色彩もフワリと柔らかく。
洋服もちゃんと購入した洋服の差分があり、文章通りお姫様やお人形さんのように可愛らしく。
体位もお上手で、なにより成人男性と少女(幼女?)の体格差を描かれた時が最高。
個人的に横になった主人公の上に乗っかった時の絵と体操服で後ろから突くエロ体位が好きでした。
体操服シーンは体格差で小妙の足が地面に付かない所がそそります。
乗っかり絵はその流れでエロに行きますが、エロじゃなくただ乗っかってる時の絵が好きで。
エロの流れも好きですが、成人男性の上に小さな女の子がポテッと乗っかってる絵面などが好きなので見ててほっこりしました。


『物語』
読ませる文章に関しては他の追随を許さない夜のひつじさん。
今作も最高でございました。
今作では「半分」がキーワードになっていて。
何事も「半分」だから辛く、「半分」だから嬉しく。
じゃあ「全部」が手に入る事はあるのか?
じゃあ「半分」を切り分けていった先には何があるのか?
かなり難しい所に突っ込み、一言では簡単に語れない物がありましたが、作品の中で主人公と小妙の二人の関係にある「半分」を見事に描いて行き。
最後には「半分」と「半分」で一つにする、という流れが…エロゲならではの表現でありながらも上手く。
絶対に性を切り離さず、性を蔑ろにしない描き方は流石でした。
夜のひつじさんの18禁からはエロや性に対する矜持を感じて好きです。
あと地味に今作はマニアックプレイが多かった気がします。
「相思相愛」がノーマル「ゆびきり婚約」がS寄りなら「お泊まり婚約」はマニアックな感じ。
小妙の容姿に似合うタイツから来るタイツ破りプレイや体操服や…主人公の性癖も作品毎に垣間見えて大変好きです。
でも、どの作品でも幼女に母性を感じているのがロリゲーとして優秀だなと思います。


『好みのポイント』
「相思相愛」が同じ深さの寂しさや想いで繋がる、「ゆびきり婚約」が傷を癒やし合い家族として繋がるという二人を描いていたのなら、「お泊まり恋人」は生きる意味を見出し恋人として繋がるという意味が強かった作風だと思いました。
他作のヒロインとの関係よりもタイトル通り「恋人」色が強く。
「相思相愛」や「ゆびきり婚約」が主人公とヒロインの想いの深さが一緒だとしたら「お泊まり恋人」では主人公の方がヒロインに惚れ込んでおり。
かなり作中で小妙の美に関する表現が多かった気がします。
小妙の境遇への同情もですが、小妙の持つ容姿の美に対しても主人公が惚れ込んでいるのも感じて。
主人公がヒロインに惚れ込む描写が大好きなので、読みながら主人公の惚れ込み具合に悶ていました。
同じ想いも好きですが、こう、惚れた想いが強い主人公もまた最高でした。





以下ネタバレ含めての感想です





主人公、本当に小妙の境遇とか見た目とか雰囲気に惚れ込んでいて読んでいて主人公の惚れ描写大好き党としてはニッコリ。
他ロリータシリーズではお互いの想いは結構同じくらいの重さや深さだったのに、主人公が何度も容姿の美しさや雰囲気の美しさに言及しており、そういう意味でも「恋人」や「恋」の部分として他作の関係との差別化が出来ていたと思います。
(おそらく「相思相愛」「ゆびきり婚約」「お泊まり恋人」のヒロインの中で小妙が客観的に見て一番美人なのかもとも思ったり。)
他作が家族的な想いが強いなら今作は「恋人」。
他作主人公はわりと冷静に居そうですが、今作主人公は小妙に妙な虫が付こうものなら嫉妬にかられまくるだろうなと見ててニヤニヤしました。


そういう二人の関係性は最高で。
そして、不義の子という立ち位置から来る小妙の性格や深層心理は柔らかく描かれながらも辛いものがあり。
自信なさげな小妙の所作が今までの境遇を如実に表わしていて。
「生きていて良いのか?」常に疑問な小妙に居場所を与えていく姿が小動物を保護していくような、「彼女には自分しか居ない」という優越感のような、そういう気持ちを味わえたりもしました。
エロの流れも「ゆびきり婚約」に近く、「貴方の大事な物を奪っていくから、私の大事な物を奪ってほしい」という居場所を求める系。
こういう流れ大変好きですが、2作連続でこういう感じでエロが来ると「ロリとの関係を築くのも理由が必要なんだなぁ…」と少し思ったり。
ロリっ子との関係の難しさを感じました。
それでも一度小妙を受け入れると主人公が小妙を「恋人」として扱い出したのは大変グッド。
肉体関係のみにならず小妙に惚れ込み「恋人」として接していく姿に主人公の誠意を感じました。


今作は「半分」という言葉が多々出てきますが、これが個人的に結構難しく。
「辛い事が半分なのは全部よりも辛い」「嬉しい事が半分なのは全部よりも嬉しい」。
この部分は分かりますが、「半分を切り詰めて行く」というのが解釈が難しく。
結局「半分」で辛くなったり嬉しくなっても根底には生まれて来た際の境遇があって。
その境遇に引っ張られ「半分」は形を変えて行く。
境遇に引っ張られ無いように自分の本当の「半分」を知る為に「半分」を切り分けて行っても、先に待つのはそれを構築する為の原子で、結局は「生まれ」であって。
本当に自分の気持ちを知る為には「今」の「生きている」気持ちを大切にするしかない。
今の「楽しい」という気持ちを大切にするしかない。
こんな感じでしょうか?
感情は過去の経験から来る事が多いので、その経験や境遇が不遇だった場合、根底にはその不遇が付き纏う。
付き纏う度に「自分は生きていても良いのか?」と思うけれど、そう思うと辛さの方が増してしまう。
だから「今」の「楽しさ」を信じて未来に感情を向けて生きていく。
…合ってるのかなぁ…?
かなり難しい表現でしたが、一つ分かったのは今まで「生」すらも否定されて来た否定してきた小妙が主人公との境遇で生きていられるようになったという事。


『そうすればまだ生きていられるよ。』


「恋」は人の生死の価値観をも変える。
そういう意味でも「恋人」というタイトルが入る事に強く納得しました。


ただ、超個人的な好みですが、やっぱり自分の最好きは「ゆびきり婚約」だったなぁと。
当時プレイした時に「ゆびきり婚約」ほどのヒットを期待した自分にピンと来なくて普通くらいの印象で受け取っていた理由が分かりました。
私は、傷の舐め合いが、好きだ。
お互いに辛い過去があって、それを癒やし合うのが好きだ。
そういう意味では「ゆびきり婚約」の二人はドヒットで。
「相思相愛」は主人公の家庭もなんとなく察するけれど描写が少なく、「お泊まり恋人」は主人公自身は「生きている」感覚が薄くても家庭環境は普通の家庭だった事が察せて。
そういう意味では「ゆびきり婚約」の主人公の失った過去の恋人の描写がとても丁度良く、その傷を癒やし合うのがたまらなかったです。
あとは二人の関係が過去編から始まったのも、「過去に何か接点があった二人」みたいなのが好きなのでそこもたまらず。
ほら、あの、幼馴染とか大好きなので、そこはもう仕方ない。
「相思相愛」と「お泊まり恋人」は初めて今の年齢で出会った所スタートなので、「運命の二人」っぽくはありますが、「年数を跨ぎ関係を築く」が好きな自分としてはあと一歩に感じてしまいました。
「これは好み、性癖」としか言えない部分なので、勿論作品としての出来は素晴らしかったです。


それと、後半のエピローグ部分にも少し思う所があって。
今作は小妙の家がかなり複雑な家で、その家の子というのが下地にあるのに家庭に介入するシーンは無くEDからエピローグの流れがちょっと急にも感じました。
「相思相愛」でまこには保護者に先生が居て先生は二人の関係を祝福してくれて、「ゆびきり婚約」では二人は親戚で一応は祖母と話すシーンがあり保護者が主人公になって二人で暮らし関係を築いて行くのに問題ない外堀が埋まったのに対し、「お泊まり恋人」はそういうシーンが無く感情移入度が下がったなーと。
「この二人は一緒に暮らしていてももう誰も介入しない、問題無い」という安心感があまり「お泊まり恋人」のエピローグで感じないというか。
まぁ多分、このシリーズなので実家を説得し主人公が小妙の保護者にはなったんだろうなーとは思いますが、そういう所がカットなので「小妙の実家は大丈夫なの?」となってしまう所があった部分はありました。
不義の子なので扱いをあぐねていて保護者が主人公に移る事をサクッと了承する、みたいなシーンが一つでも入っていたらエピローグでの妊娠プレイにもっと感情移入出来たなーと。
そういうシーンを描かないのもストレスフリーにはなるので、まぁ難しい所だとは思っています。


どのシーンのどの文章も好きですが、


『部屋でぼんやりと過ごしているときに突然、はっとする瞬間がある。何かあったわけでもないのにはっとして、驚いてしまう。
 そんなとき、僕を驚かせた何かとは他ならぬ僕自身なのだ。まるで今は生きていることを訴えかけてくるように。まだ死んでいないことを匂わせてくるように。』


『「半分くらい悲しいのが一番悲しい。全部悲しければ、ただ悲しんでいいからね」』


『すべては――いつも半分だ。
 気の持ちようで変わる。
 半分悲しいことは一番悲しい。けれどもう半分に楽しいを無理やりあてはめてしまえば、気の持ちようによっては楽しくなってくる。
 悲しいことも楽しくできる。』


『半分で、気分だ。そんなものに左右される。
 まず半分が在る。まず半分が在るのに、それをどうにかする気分がもっと前に在る。それより前に、やっぱりまず半分が在る。なのにまた気分がもっと前にあって――何にしろたどり着くことなんて出来ない。
 いずれかの瞬間で切って変えてしまうしかない。』


『まだ死んでいないことに驚くだろう。
 どこから現れたのかもしれない気分と半分を引きずって、どうして生きているのかを問われるだろう。』


『生きていていいのかな。
 初めからきっとそういう問いかけだった。
「いいんだよ」
 いいんだよ。
 誰にも咎められるいわれはない。
 もう僕達は在ってしまった。それ以前にたどり着けたものはどこにも居ない。神さまだってまず在らせることしかできなかった。』


「半分」を語っている時、難しくはありましたが好きでした。
生まれてから疎まれた生でも、存在してしまったのだから在っても良いという肯定があり、ある種の生命讃歌を感じました。


夜のひつじ作品再プレイは今作で全部終わりになります。
今作以降も沢山制作されていらっしゃるので全て触れて行きますが、今後は色々と新しい気持ちで触れて行くことになります。
今後地味にロリータシリーズはヒロイン二人になりハーレム化するのですが、ヒロインは一人を愛でる方が好みの自分がどう感じるのか、新しい要素が楽しみです。