ひっそりと群生

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【Sessions!! ―――――真実嫌いの探偵は、】感想

【男性向け18禁】



2013年08月24日発売
Loser/s』様 リンク先公式HP(18禁)
Sessions!! ―――――真実嫌いの探偵は、】(PC)(18禁) ※リンク先DLsite(18禁)
以下感想です。








「探偵」の運命からは、逃れられない――



『これは『探偵』の物語。けれど決して、『ミステリー』を含まない。
 埃の堆積した地面を歩く、きっと平坦なその歩み。
 探偵の癖に真実嫌いの、お笑い草な男の話。

「真実が、一つで堪るか」

 探偵や別れさせ屋、結婚詐欺師やヤクザに弁護士。教祖や神様の取り巻く、不思議などこか現実的で、やっぱり有り得なくて、結局ちぐはぐな世界の物語。
 是非是非、ご賞味あれ』
(公式より引用)



プレイ時間は約4時間45分くらい。
分岐は無し。
リンク先はDLsiteを貼りましたが、FANZAのみで販売の『Sessions!!~少女を監禁する事情~』には「強盗、娼婦のヒモになる↑↓」のフルセットと「Sessions!! ―――――真実嫌いの探偵は、」が付いて販売されているので、FANZAの方をご購入が良いと思います。


主人公の養老枯草は人探しなどの興信所的探偵を営んでいた。
ある日、枯草はひょんな事から家出しているらしい少女を拾い自分の相棒に付ける。
幼馴染、腐れ縁の知人、馬が合わない隣人、依頼人の弁護士コンビ、謎の大衆食堂店員、愛人などの個性的な人々と交流をしながら人探しや近辺調査の日々仕事を過ごす枯草。
フィクションの「探偵」には程遠い地味で現実的な職務をこなす枯草、しかし、彼は過去に「天才」と呼ばれるほどに殺人事件を幾度も解決してきた本物のフィクションの主人公である「探偵」であった。


前半は「探偵」ではあるものの、どこか自堕落で厭世的に見え、女癖が悪いという、どこか世を斜めから見ているような枯草が周りの個性的な人々と交流するという探偵物でも無いミステリー物でも無い「主人公と周りの人間関係」を描くという作品で方向性が掴めずに困惑していましたが、後半から一気にSFというか、ミステリー物のアンチテーゼになり方向性が掴めてから面白さがどんどん見えて来ました。


「じっちゃんの名にかける」のような「真実はいつも一つ」のようなそういう作品に対する現実的な方向からのアンチテーゼ。
「探偵」と呼ばれ様々な事件を解決する、しかし、自分が行った先では必ず人が死ぬという事実。
自分が居たせいで何人もの人間が巻き込まれ自分に近い人からは良く思われていない現実。
そういう巻き込まれる「探偵」という物が一つの「異才」であり、ある種の呪いのような物で。
その「異才」をどうにか無くしてもらい「探偵」を廃業しているという設定で後半は進んで行きました。
異能物というか、SFというか、「純ミステリー」では無いのですが、フィクション物の「探偵」という存在に上手く現実的な視点から切り込んで行っていたと思います。


今作はキャラクターの相関図が見えた所と最後に大きな物事の幕開けが見えた所でフェードアウトするという序盤に位置するらしい作品なのですが、かなり個性的な設定だったと思います。
今後がどうなっていくのか、枯草は自分の才能の「探偵」と向き合って行けるのか、続きが気になります。



『システム、演出』
ADV+++製。
前作と同ツール、基本性能は全部有り。
履歴は前作よりは見やすくなっていましたが、時たま履歴で下の文章が削れる時がありました。


『音楽』
「探偵」らしくお洒落な曲が多かったです。
ハードボイルドというか、大人というか、作風に合っていました。


『絵』
大分絵柄のバランスが良くなっていました。
今作から女性キャラのポースが増えて大変嬉しいです。
表情もかなり豊富に。
前作の主人公の立ち絵が見れたのとヒロインの新規絵が見れたのが良かったです。
ただ、洋服が1パターンなのが気になりました。
制服とあるのに制服じゃ無かったり、CGの洋服と立ち絵の洋服が違ったり。
もっと洋服のパターンが欲しいなとも思いました。


『物語』
前作同様瞬間瞬間でスッと入ってくる読みやすい文章なのは凄いです。
ですが、やっぱりテンポとノリがとにかく独特。
特に下ネタがかなりの頻度で挿入されるのですが、どうもノリが合わず。
合わない下ネタだったなぁと思います。
前作の様に主人公とヒロインの掛け合いが好き、みたいな事も無かったので前半はかなりノリ切れませんでした。
ただ、後半の「探偵」という「異能」と「ミステリー物へのアンチテーゼ」が垣間見えてからが個人的に面白く。
最後の方にはなってしまいましたが、作品の方向性が分かってから面白さを感じました。
ラストあの引きからの今後が楽しみです。


『好みのポイント』
この「ミステリー物へのアンチテーゼ」をどう料理して来るのか。
後編にかなり主題や面白そうな要素などがかかって来そうなので今作だけでは判断し辛いのですが、今後の展開次第では凄い物や凄い流れが見れそうだなと思いました。
アンチテーゼ系好きなので後編、気になります。





以下ネタバレ含めての感想です





アンチテーゼ物としては好きなのですが、主人公の性格的にノリ切れ無かったのは正直な感想でした。
そもそも「よくあるミステリー系」の探偵と助手のコンビとかカプが好きなので、探偵の方に愛人が居るのがあまり合わず。
あれですよ、ハ◯メちゃんとかコ◯ン君に愛人が居る感覚、お前ら幼馴染が居るだろ!!みたいなそういう。
でもそこも含めてのアンチテーゼかなとは後半で納得はしました。
幼馴染の相棒、コンビが居るけれどその女の子とはくっついておらず愛人が居るという設定、コレそのものがアンチテーゼだなぁと。
そこを理解した上で、祈のキャラが好きだったので「この相棒幼馴染そっちのけで愛人作ってんじゃね―よ!!」とはどうしても思ったり、これは性癖でカプ厨の性なので仕方ない、許して欲しい。


そういう過去の事件からの流れである意味の人助けで愛人を作ってたり、どこか諦めているようなやる気が無さそうな雰囲気があったり。
「探偵」の才能を捨てはしたけど、本来持っている気質を無理矢理にでも捨てるとどこかで歪が出来て本人の陽の気質をも捻じ曲げてしまう、そんなどうしようも無さを感じたり。
そういう部分は弟、朝顔の「これがあったから出会えた人も居る、だから捨てない」という才能への向き合い方が一番健全な向き合い方なのかな?とも思いました。


とは言いつつも、自分の周りでポンポン人が死んで「死神」扱いをされたら、まぁ普通の人間は耐えられないので枯草は普通の精神をしているなとは思います。
普通の精神を持つ人間が「異能」を持ってしまう悲劇にも見えたり。
ハ◯メちゃんとやコ◯ン君も自分の「死神」に悩む事はあるのでしょうか?
きっと、そんなのはメッタメタなので彼等の精神は孤高でまさに「主人公」で「探偵」をしているとは思いますが。


枯草の人間らしく、ある意味で物語の「主人公」らしくない精神は果たしてラストの舞い戻る「殺人事件」を耐える事が出来るのか?
あらすじ通り「ミステリー」は含まないのでしょう。
きっとトリックも何もかもが荒唐無稽なのでしょう。
けれど、フィクションの「探偵」を背負ってしまう普通の人間という点では何かしらの才能への苦悩と向き合いと解決か、それとも逃亡か…何かしらの結末を見せてくれるとは思っています。


前編という位置なので予想しか出来ませんが、よくよく考えたら凄まじい重荷になる「フィクションの探偵」という存在に思いを馳せる事が出来て、後半から一気に楽しめました。
続きを楽しみに待っています。