ひっそりと群生

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【Sessions!! ~少女を監禁する事情~】感想

【男性向け18禁】



2014年03月12日配信
Loser/s』様 リンク先公式HP(18禁)
Sessions!! ~少女を監禁する事情~】(PC)(18禁) ※リンク先FANZA(18禁)
以下感想です。








個性的なキャラが織りなすオムニバス3作。



『今作は、三つの物語からなる短編オムニパス集となっております。

 ――――――あなたは、愛を踏みにじることが出来ますか?

 これは、あなたにそれを尋ねる物語。』
(公式より引用)



プレイ時間は約7時間45分くらい。
分岐は無し。
本編は無料ですが、FANZAのみで販売の『Sessions!!~少女を監禁する事情~』には「強盗、娼婦のヒモになる↑↓」のフルセットと「Sessions!! ―――――真実嫌いの探偵は、」が付いて販売されているので、サークル追いを考えていらっしゃる方はFANZAの方をご購入が良いと思います。
本作は同サークル様の過去作からバンバン過去キャラが登場するので「強盗、娼婦のヒモになる↑↓」「Sessions!! ―――――真実嫌いの探偵は、」はほぼプレイ必須になります。
プレイしていないと確実に置いていかれるかと…
上記のFANZA販売の作品を購入すると全て揃うので販売順にプレイを推奨します。


現代日本のように見える、けれど現代日本とは全く違う歴史や科学技術、自然界の法則を持った独自の世界での時代の違う3つの物語。
別れさせ屋アイロニー』『1999年、ボストン冬』『少女を監禁する事情』で繰り広げられる独特で個性的な人間達の邂逅とそれにより引き起こされる物語や運命。
かなり個性的な設定と文章やノリなので個人的には追い付けない箇所が多々ありましたが、この個性が好きな人にはたまらない作品なのではないかな?と思いました。
あと、こっちの方が無料で「探偵」の方が有料なのは長さ的に逆なんじゃないかな?とも思いました。



『システム、演出』
ADV+++製。
必要なシステムは完備。
話によってキャラの表示方法が異なり拘りを感じました。


『音楽』
お洒落な素材曲が多かったです。
ただ、3つ物語があるのですが使用される曲が一緒なのは少し残念でした。
使う曲で差分化を図って欲しかったです。


『絵』
絵はどんどんお上手になられている印象。
男性キャラが凄く上達されていらっしゃいました。
塗りは元々好きなのですが、『少女を監禁する事情』の際のポップでありながら若干和を感じる色彩の使い方が凄く好きでした。


『物語』
文章は元々かなり個性的なノリの作品でしたが、その個性に磨きがかかっていました。
好きな人にはたまらない進化だと思います。
ただ、個人的には元々のノリと会話での独特な下ネタが合わなかった事もあり前作よりも非常に読んでいて疲労を感じてしまいました。
読んでいてパワーを使う文章だと思います。


『好みのポイント』
『1999年、ボストン冬』のジンが好きでした。
彼の人生やラストの展開が地味に好きです。





以下ネタバレ含めての感想です





オムニバスの話が3つありますが、好みの話と合わない話で別れた印象。
別れさせ屋アイロニー』が凄まじく合わなくて、『1999年、ボストン冬』が好き、『少女を監禁する事情』は…ごめんなさいよく設定が分かりませんでした。
前作のようなアンチテーゼやメタ要素で楽しいと思える部分も無く、全体的に自分の中では普通の下で終わったように感じました。



別れさせ屋アイロニー
なんというか、大前提として今まで連続で触れてきましたがLoser/sさんの描かれる男主人公、男キャラがバチバチに合わなかったです。
自分は誠実だったり一途だったりもしくは強い信念がある男性キャラが好きなのですが、そういうキャラが一切居なくて。
登場男性キャラもクズ…というよりもそこまで振り切れてなくて単に性格が悪いだけで終わってるように見えるキャラばかり。
特に主人公核の獅童の合わなさと言ったらもう…
別にクズな男キャラ嫌いじゃないんですよ、クズな職業に付いているキャラ好きですし、「女を抱きたい!」だけを信条にして生きている男キャラも好きです。
でもそういう、例えばクズな職業をしているキャラ…ウシ◯マくんとかでもですが、そういうキャラは自分の職にある程度の信念や揺るぎないルールを持っているからこそ魅力的に感じて。
獅童全くそういう事無いんですよね、何も信念が無くただクズな職に着いているだけ。
「女を抱きたい」のような性癖中心の生き方をしているキャラみたいな潔さも無く無駄にグダグダ悩んでるし。
自分からそういう境遇を選んでおきながら「クズはクズなりに辛い部分もあるんだわ~」みたいなムーブをかますからただ見ていて不快で。
枯草は逃れられない才能、ジンや宗吾は生まれながらの境遇故にそういう辛い状況になっていてまだ「それは仕方ないよね…」という要素があったのですが、獅童だけは完全に自業自得なので「何言ってんだコイツ」という状況。
その上、人の関係を壊す職業、これは職業的に仕方ないので良いのですが、「人の関係は脆い、少しつついただけで壊れる」というような流れを組んでおきながら自分達の周りの関係は絶対に揺るがなくて「俺達の"キズナ"は"ホンモノ"!!」みたいな雰囲気になるのが、まぁ見ていて不快で仕方なかったです。
こんなん陰キャのグループはぶち壊しておきながら、その壊した物で自分達のキズナ()を再確認する陽キャのムーブじゃないですか。
これをサブキャラとかでやるのではなく、主人公核でやっておきながら爽快な風に見せるの、無理ありません?
どことなく流れる爽快にさせようとする空気が全く合いませんでした、見せようとしている意図と見える物が真逆過ぎて無理でした。
こういう陽キャに搾取されてきた身としては私怨ですが不快感が凄かったです。
所々で挿入される女性を落とすテクも全部が無理で、こんなんやったら裏目に出るのでは?
心理学の応用で~みたいに描かれますが、こういう近寄り方したら十中八九女性は警戒するかと。
目が悪いという設定であの動きをやられたら女性は警戒しか抱きません。
「試してみればいい」みたいなの書かれてもこんなんで引っかかるとは思えず、ちょっと舐めすぎてませんか?
それと同じ事なのですが、作中の女性の扱いも悪い。
「浮気は男の甲斐性」「女性は男の後ろを着いて来い」みたいな空気が常に流れてて。
「男は他の女を抱くよ、仕方ないね。でも好きな女は着いて来るよ、女が男にベタぼれだからね」というような関係が前作の「探偵」からも感じていましたが今作からも溢れ出ていて。
男性向けのエロゲなのでそういう要素があったり一部のカプがそういう雰囲気なのは良いのですが、複数カプで全カプからそういう要素を漂わせられても。
今までの作品全てで男の軽率さは大目に見る女ばかりが登場して、地味に全体的な男女感が合わず辛かったです。
兎子のサイコかもしれないような雰囲気は好きですが、サイコの部分が描かれる事は本作では無いのと、我が強い女性が好きな為、性格面ではそんなにという。
これが作り手の性癖!と言われたらそれまでですが、だとしたらその性癖は全然合わなかったなぁと。
「探偵」と「別れさせ屋」の話は見ていて合わない男女カプしか居らず、ギリギリ「強盗娼婦」の二人が好き、くらいかな?
そういう風に軽率でありながらも「いや、でもコイツも一途なんだよ」みたいな描かれ方しているから常に「ハァ?」となり。
単に駄目な男を女性がヨシヨシしているだけの描かれ方に「一途」の説得力が無いというか、個人的に全く納得出来ませんでした。
話としてもターゲットの優士と美代子の紙よりも軽い関係を切るだけのお仕事だったというくらいな印象。
「探偵」の時の様にアンチテーゼ的だったりメタ的だったりする要素で楽しめるか?と思いましたがそういう要素は無く。
ただひたすらに性格悪い人間が性格悪く動き自業自得の事で悩むというだけの話を爽やかに書いているように見せておきながら、全く爽やかに感じられなかったので話の空気と読んでいる時の空気で齟齬が生じ非常に違和感を感じた話でした。
一言で言うなら趣味に合うキャラやカプが全く居ない話でした。
正義さんくらいかな、好きなキャラ。
個人的に全く刺さるカプがおらず非常にカプ厨として辛かったです。


『1999年、ボストン冬』
3つの話の中ではかなり好きです。
「探偵」の才能の設定もですが「天使」が登場する事により本作が完全にSFというか不思議な世界観だというのが分かりました。
ジンのどうしようもない生き様が好きです。
一人の女性の為に人生全てをかけて生きてる所が好きでした。
故に、登場した獅童がジンよりも上手という設定でイキリ散らかした時には「は?」という気持ちに。
ぶっちゃけ獅童のキャラが合わなかったので、好みじゃないキャラが説教みたいなのを始めた展開はどうしても合わず。
獅童の「唯一殺した人間」がジンなのだろうなと思いますが、ジンが人を殺した事について責め立てるのはそれってどうなのよ?と。
ぶっちゃけ「別れさせ屋」の仕事でも仕事柄、自分が手を下さなくても間接的に人を殺している可能性があるわけで。
そんな獅童が殺す事は悪みたいに説教するのがどうしても見ていて納得出来ませんでした。
ジンを説教出来るのは綺麗に生きてきた人間だけだと思うんだよなぁ。
最後は、うん、ジュリアの真相を知った時点でこうなるとは思っていましたが…
一人の女性の為にここまで生を掛ける男性キャラが好きなのでジンの人生はかなり好きでした。
「天使」の設定はキッチリ最後まで明かされる事は無かったのですが、今後どう関わってくるのか。


『少女を監禁する事情』
ごめんなさい、設定がよく分からなかった話でした。
現実の日本とは全く違う歴史を歩んだ日本で、科学技術が発達していてSF的な設定や異能のような設定がある事だけは察するのですが、設定をきちんと説明する事なくどんどん登場人物が増えて、人間関係が説明されずよく分からない中でバトルを初めていつの間にか和解して、気が付いたらラストに辿り着いていて、特殊設定物としてもバトル物としても正直自分の頭では付いて行けませんでした。
特殊な設定があるのは分かるのですが、もう少し説明が欲しかったです。
登場人物達の異能や死なない理由なども分からずじまい。
説明ありましたっけ?見逃したのかな?
特殊な設定がクセの強いノリの文章で描かれるので頭に入り辛かったです。
龍平と羊子の男女カプは好きなのですが、ちょっと出てくる名前が多すぎました、こぢんまりした世界が好きで人数が多すぎると困惑する自分としてはこの短い話で人物関係を把握するのは難しかったです。



なんというか、『1999年、ボストン冬』以外はそんなに…というのが正直な気持ち。
好みじゃない獅童が「特別な人間」みたいなポジで毎回出てくるのもなんかこう、合わず。
クズで性格悪い、けれども魅力的みたいなキャラの良さが個人的に獅童からはあまり感じず、ただのクズに感じたのが問題だった気がします。
このシリーズに発表順に触れて来ましたが、右肩下がりな気が。
この世界自体の特殊な設定が解明されていく事や「探偵」の続編になる枯草が対峙する「事件」などは気になりますが、『少女を監禁する事情』のようなノリで設定を描かないままキャラを沢山お出しされるのが続いたら読んでいて辛いなぁとは思いました。
プレイ時間はそんなにかかっていませんが、プレイ日数がモチベ的に日を跨ぎまくりました。
今後の展開が気になりつつ、独特なノリに付いて行けないかも…という気持ちです。
ただ、文章は個性的な中で、その個性的な文章とノリで描かれる「桃太郎」は面白かったです。