ひっそりと群生

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【クロウカシス 七憑キノ贄】感想

【男性向け18禁】



MANYOさんの担当されたゲームをクリアしていく企画51弾。



2009年12月11日発売
Innocent Grey』※リンク先公式HP(18禁)
クロウカシス 七憑キノ贄】(PC)(18禁) ※リンク先wiki
以下ネタバレ含めての感想です。








プレイ時間は約6時間30分くらい。
7でもインストール、起動可。
ディスレス起動可。
公式にある『修正ファイル』(※リンク先公式)により認証解除可。
自PCではロードすると音がバチバチ飛んだのですが、再ロードすると治りました。


Innocent Grey作品は「殻ノ少女」がシリーズ物だった為、一旦除き、4作品目。
安定のイラスト、安定の音楽、安定のボイス。
そして安定の……シナリオ。
いや、別に、そこまで悪いという訳では無く。
少なくとも「PP -ピアニッシモ-」よりは見るに耐える話をしてはいました。
そして、個人的には「カルタグラ」よりは好きです。


ただ、あまりにも、あまりにも「普通のミステリー」過ぎたと言うか。
館の謎も、人物関係も、数々のミステリー物でよく見るタイプで、そんなにミステリー物に触れて来たという自覚が無い自分ですら「館モノのミステリーのセオリー通りだなぁ」と強く感じた程。
方向性としては金◯一◯年と金◯一◯助を足して2で割った感じ。
男女が遭難と好奇心から館に入り込み、一族の因縁が絡み合う事件に巻き込まれる。
身内ですら容赦なく死亡フラグが立つ所は少年の方に近いかも。
トリックなどに関してもとてもシンプルなトリック。
「このトリックで犯行が行われた!」「おお!!」という流れも無く淡々と進みます。
良くも悪くも灰色寄りの白で覆われた雪のような世界観そのものだったと言うか。
スノードロップが似合う静寂の世界観を貫いていたので、事件を解いていく時に熱量よりもどこまでも静かな寒冷を感じていた所がありました。
なので最初から最後まで感情の上下がなく真っ直ぐ進み、そのまま終わったような、そんな印象。
真相もある程度のEDを迎えていくと、「実はこうなのでは?」と予想出来、それが当たってしまい。
ミステリーでの予想が苦手な自分ですら当たったので、感の良い人は速攻で気付き、「やっぱりな」で始終終わってしまうかもしれません。


主人公も、「カルタグラ」や「PP -ピアニッシモ-」のように鼻に付く感じや、「コイツ事件解決してないじゃん…」というような他人任せな推理では無く、しっかり推理してくれるので、そこは大変良かったのですが、「主人公ならでは」の強力な立ち位置や、ヒロインが主人公に向ける強い感情は一切無く。
エロゲーなので所々でエロは当然入るのですが、「なんで??」というような場面で入ったり、「何で主人公を求めた?」「コイツのどこに惹かれた?」となる箇所の方が多くエロシーンに置いていかれた所がありました。
「コイツのどこに惹かれた?」は「カルタグラ」や「PP -ピアニッシモ-」の主人公のように、ダメな所が多すぎての疑問では無く、特に良い所が見つからない上で湧き上がった疑問と言うか…
「コイツにエロを求める程、コイツ特に強い行動起こしてないやろ…」というような印象の薄さに対しての疑問で、だからこそ、各エロシーンがエロゲでのノルマ達成の為のエロに感じてしまい、物語進行上で浮いていた感じがありました。
むしろ主人公が関わらない三人称になった時の館の関係者同士のエロの方が物語進行上で必要なエロだったので、主人公のエロ無くても良かったのでは?と(まぁエロゲなのでノルマ的には仕方ないと思いつつ)。
主人公と一緒にやって来た想子先輩は元々親しいので分かりますが、館の人間は「どこで恋愛フラグ立った?」となるくらいに急加速でいきなり恋愛フラグが立ち告白シーンやエロシーンに入るので、恋愛の部分はかなり置いてけぼりをくらいます。
まぁ、イノグレは恋愛よりも意地でもミステリーをやりたいメーカーなので、そこを重要視して無さそうな所は一周回って矜持とか信念があるとは思いますが…でも、館の住人との恋愛EDは基本どれも「いつの間にフラグが立った?」と感じるドウシテコウナッタ感を味わう事が出来ました。


ヒロインの感情の波と言うか矢印も、基本、主人公に全く向いておらず。
館の住人同士…敷いては彼女達が抱える過去の関係図によってヒロイン同士でデカい矢印が向き合っている為、主人公完全に蚊帳の外なんですよね…
「え、何か、主人公全く関係無い上空でヒロイン達のデカい矢印が飛び交ってる」というような状態。
ヒロイン同士の百合エロがあったのですが、そっちの方がまだエロとして強い感情を感じ取れた為、そういう意味でも主人公が完全に竿役になっており、「安定のイノグレ主人公」の竿約男子を味わう事が出来ました。
これが単純に事件モノだけだったら金◯一◯助のように訪れた探偵が事件を解いて登場人物達の人生には深く関わらず颯爽と立ち去る、というミステリー物のセオリーでも良かったのですが、何分エロゲでヒロインとフラグを立てヒロインと最終的に結ばれるEDが多いので「人生預ける程、ヒロイン達に関わってないやろ…」となってしまい。
今作の主人公が部外者で一般人で事件を解決する作風とエロゲという媒体があんまり噛み合ってないように感じました。


面白さを感じたのは、時間によって移動したり、移動先で場所をクリックして調査したりするモードですが…
おそらく時間帯によってキャラクターが各場所に移動するタイプで、自分は攻略を見たからなんとかクリア出来ましたが、攻略無いと地獄を見るタイプだろうなと。
一昔前の移動調査系で、確かにそういうのが好きな人にはたまらないと思いますが、昨今だとちょっと好まれないタイプ。
せめて一度「◯時に◯◯に行ったら◯◯さんが居た」という情報は、一度その場所に行ったら地図などで記録されてそれを引き継げないと難易度が厳しいなと感じました。
攻略があれば一瞬で分かるのですが…ただ、同じ選択を何度もさせられるのと、一度見た会話でも時間帯が違えばスキップ不可というのはかなりストレスではありました。


そんなこんなで物語に思う所はありつつも、ボイスは流石の采配。
毎回煩く無く、大人しく艶やかな声色の方々を集める事に定評のあるイノグレでした。
想子役の葉村さんは初聞き、出演作はNTR系が多いらしいのですが、お姉さんの声質が大変合っていました。
紅緒役のあじさんは最初のお嬢様声と途中からの少年のような声の切り替えが凄くて…
殻ノ少女」のオーディションで射止めた方だと記憶していますが、三作目で既に素晴らしい演技で流石でした。
詩音役の優稀さんは確か今作のオーディションで声優になられてたような…電撃姫でオーディションを見てた記憶があります。
イノグレ関係以外ではお見かけしてない方ですが、涼やかな声が良かったです。
藍役の秋城さんは発狂した百合少女の執着というか狂気がとても良く。
摩夜役の柚木さんもまた別ベクトルでの狂気…他者では無く自己中心的な狂気がラストにとても出ていました。
あかね役の高井戸さんは個人的には「屋上の百合霊さん」の時の大人っぽい演技の方が好みではありますが、はわわ系もまた別の良さが有り。
なるみ役のかわしまさんはもう、ハスキーボイスが素晴らしい、素晴らしい。
こういうちょっと皮肉めいたというか捻くれているというか、そういうお姉さんをされると右に出る方は居ないなとつくづく思いました。
男性陣も色っぽい方ばっかりだったのですが、個人的に辻村役の馬並さんの演技がかなり好みでした。
おどおどしつつ、品はあって、でも裏ではやることやってる(色んな意味で)みたいな男性演技が良かったです。


絵はもう言う事無し。
杉菜さんの絵が美しいのは当然として、背景、一枚絵、UIデザインどれも群を抜いてます。
特に館の造形はOPでも見られますが、おそらくCGで建物の図面を作っていると思います。
館モノのミステリー作品だけあって、しっかりと館の図が作られているのはとてもこだわりを感じで好きです。



プレイ順は
あかね犯人→詩音BAD→詩音逮捕→事件解決 詩音→事件解決 なるみ→事件解決 藍→事件解決 紅緒→事件解決 あかね→殺害BAD→摩夜逮捕→紅緒→TRUE失敗→TRUE 詩音→TRUE 想子→六曜→摩夜逮捕 復讐成功
の順で攻略、最終ルートは固定。
以下、各ヒロイン印象、GOOD EDを辿った順。



『水守なるみ』
正直一番主人公の助手してたの彼女だと。
想子よりも後半一緒に居ます。
開かない部屋の鍵を開けてもらったり、一緒に遺産関係を調べたり。
一番一緒に居て楽しそうなのは彼女だろうなぁと思ってます。


『七月藍』
何故にフラグが立ったのか…
彼女もまた流されやすかったのですが、詩音と結ばれる方が自然な気も…
作中何度も殺される不憫な人という印象。
彼女の死を何度も阻止しますが、下手したら死にます。
生きてるEDの方が少ないよなーと…やっぱり不憫な方です。


『燈山あかね』
メイドさん可愛いよ、メイドさん
姉の真相を探る為に来ており、ルートによっては行方不明になった上で死体を焼かれ、全ての罪を押し付けられるという…
悲惨も悲惨ですがイノグレっぽいと言えばイノグレっぽい。
彼女は序盤から六曜に調教されてるっぽいですし、それを癒やす名目で主人公に抱かれる為、わりと分かりやすく恋愛があります(簡単に流されやすいとも言う)。
姉の件を解決して吹っ切れたように階段で笑う彼女の一枚絵はかなり好きでした。


『七月紅緒』
サブパートナー?
でも、場合によっては彼女も死ぬので途中退場しまくってたような…
声優さんの少年のような演技がとにかく好きでした。
ラストの白帽子に白ワンピース姿は反則だと思います。


『七月詩音』
うーん…パッケージにも居るしメインだと思いますが、想子や紅緒、果てはなるみよりも印象が薄め。
ずっと塔に居て主人公達が居る館に来ない為、あまり交流が無かったのが薄い原因かと。
彼女の真相も可愛そうではありますが…でも、亡くなった先代当主の恒星の手記でのみ彼女の件が語られ、彼女自信からはさほど過去が語られないので、「彼女がとても辛かった!」みたいな描写をさほど感じず。
ビジュアルでメインを掻っ攫ってたな~くらいで終わったのが残念でした。


『切原想子』
彼女が実は七月家と…というのはなんとなく察しては居ました。
序盤では予想の一部として、途中からは完全に推測として。
ミステリーでの予測が苦手な自分でも大当たりしたので、まぁ分かりやすい方かと。
全体を通すと彼女の為にあったお話だったと思いますし、彼女の救済のお話だと思います。
EDでは彼女の釈放を待つEDが一番好きです


『他ED』
面白かったのはTRUE後に辿ると六曜が生き残るEDが見れた事。
ただ、六曜がゲス野郎を発揮するのとヒロインの詩音が無理矢理に犯されるので、婚約者とは言えある種のNTRルートな気がします。
事件は起こりませんが、六曜は最悪なのでお亡くなりになった方が世のため人のためだと思いました。
復讐に成功するEDはどこか虚しさがあり、想子は悲願を達成しますが、これから主人公に若干の弱みを握られていくんだろうなーと思うとちょっとゾクゾクします。
主人公はそれで何かをするとは思わないのですが…こういう常に首に刃物を突き付け合ってるような男女が好きなので、このEDもかなり好みでした。



世界観、絵、音楽、声、どれも最高なのに、物語がなぁ…というのがやっぱり今の所のイノグレの印象です。
ただ、「殻ノ少女」で化けるっぽいので、完結したシリーズに手を付ける事を本当に楽しみにしています。
殻ノ少女」シリーズ、「FLOWERS」シリーズ、この為にラストに取って置きました!
期待通りの物が返ってくると信じて、そのままMANYOさん追いで続けて行こうと思います!!



※ゲームの攻略で検索される方がいらっしゃるみたいなので参考にさせて頂いた攻略サイト様を失礼します。
参考攻略サイト様:愚者の館(アーカイブ) 様
http://sagaoz.net/foolmaker/
 クロウカシス 七憑キノ贄 ページ
http://sagaoz.net/foolmaker/game/k/caucasus.html