ひっそりと群生

ひっそりと持ってるCDの情報やゲームの感想上げたり。購入物の記録など。気ままに。飽きっぽいので途中で止まったらご愛嬌。

【恋ノ橋】感想

【男性向け18禁】



2007年12月31日販売
ののの通信』様 ※リンク先公式HP(18禁)
【恋ノ橋】(PC)(18禁)
以下感想です。








美希を愛し、美希に捧ぐ、美希ゲー。



『『想恋橋』
 不思議な橋があります。
 ここで想いを伝えると、恋が叶うという不思議な橋。

 古くから「恋愛の神様が住んでいる」と言われ
 町の人からは恋ノ橋と呼ばれています。

 また男の子と女の子が、この場所にやってきました。
 恋を得る橋『想恋橋』に・・・・』
(公式より引用)



プレイ時間は約3時間45分くらい。
実質一本道。
知り合いの方にオススメをして頂きプレイ。


中学の同級生だった詩音と再会し好きになった主人公。
幼馴染の美希の助けもあり詩音とデートを重ねる事で彼女との距離が近付いて行く。
…という恋愛を成就させる恋愛ゲームの見た目をしていますが、進んでいくと一種のミステリー物に近い構成になっていました。


詩音との中学時代、美希との想い出、美希がバイトをする喫茶店の店長の過去。
主人公を含め4人の過去や出来事が交差しながら進むにつれて謎が解けていく作りは一つのミステリー。
開示される情報が増える度に、今までのぎこちなさや違和感の理由が分かり「なるほど…」となりました。



『システム、演出』
基本性能有り、操作に不便は無し。
ただ、既読スキップがありながらも後半の最終章にあたるルートはほぼ今まで通った道と同じ出来事がある中で新規文章で未読扱いだったので、後半以降はあまりスキップの意味が無かった気がします。
主人公の名前変更が可能ですが、変更可能というよりも0から自分で付けないといけないのは困りました。
デフォルトネームは欲しかったです。


『音楽』
オリジナル曲。
最初に流れる和風の曲から主題歌の歌詞まで世界観を表わしていてオリジナル音楽の強さがありました。
物語の流れもあってどこか切なく恋に苦しむような曲が多めでした。
ののの通信さんのゲームは初プレイですが当時の同人サークルでは大御所でお名前をお聞きしていた所があり、主題歌に片霧烈火さんと霜月はるかさんと同人音楽界の歌姫のお二人がいらっしゃった所などにも大御所らしさを感じました。
ボイスは全員お上手で、2007年の同人ゲームとしては大満足。
詩音役の本多さんも良いのですが、美希役の計名さんがちょっと一歩上手かったと思います。
美希の近過ぎず遠すぎず、気遣いに溢れた声色が好きでした。
詩音は真実を知ると納得しますが、ちょっと淡々とし過ぎていて。
あと一部台詞で台本を捲る時の音が入っていて、同人なので仕方無さもありますが、色々全体的に出来が良いので気になりました。
店長の永倉さんも上手く、同人の男性ボイスは手抜き感がある時もあるので男性キャラにも妥協が無く良かったです。
全員プロの方を配役されていて安定感がありました。


『絵』
立ち絵は正面絵は良いのですが横を向くとちょっと違和感が。
あと、エロシーンでの体位のバランスは気になりましたが、同人と考えると許容範囲内。
背景にかなり気合が入っていて、メインになる橋や喫茶店がとても美しかったです。
一部背景は未プレイですが過去作のキャラ居るっぽく、遊び心も好きでした。


『物語』
選択肢はありますが実質一本道。
周回前提の作りになっており、一つのルートをクリアする度に謎が解けていく作りは上手く。
情報開示の仕方が丁寧でした。
ヒロインのバランスに思う所はありますが、謎が徐々に明らかになるタイプのミステリー物として楽しめました。
ただ、昔話の語りを古語で語るのですが、あまり世界観に合わず。
古語で語った後に軽く現代語で語る説明があった方がもう少し物語に入り込みやすくなったのにとは思いました。


『好みのポイント』
幼馴染の美希が本当に最高過ぎます。
主人公が詩音に惚れる物語ですが、今作はプレイヤーが美希に惚れる物語だと思っています。
幼馴染好きにはたまらないようなヒロインで。
個人的に彼女のルートこそがベストEDだと思っています。





以下ネタバレ含めての感想です





上記で語りましたがあまりにも、あまりにもヒロインの魅力のバランスに差ありすぎです!!
美希が10なら詩音は0。
いや、本当に、冗談抜きでコレくらい違います。
プレイしていて詩音に良い所が全く無くビックリしました。


今作の流れや真相は、
・主人公と美希は幼少期からの幼馴染。
・詩音は橋に居る恋の神様。
・詩音の「縁結び」の能力は相手の恋心や恋心に付属する想い出を他人の想い出にすり替える事が出来る。
・3年前、詩音はこの世界で自我を持ち縁結びをしていく中で恋について悩んでいた所、中学生の主人公に出会う。
・主人公に「恋を教えて欲しい」という約束をするがその日、別れた後に会わなくなる。
・美希とは交流を重ね、色々な出来事を共に過ごす。
・年月が過ぎ、高校生になった主人公は美希の事を好きになり橋の上で告白。
・それを見た詩音は主人公と美希の告白の記憶を消し、美希の想い出を自分との想い出にすり替え、自分に恋心を向けるように仕向ける。
・そして本編スタート。
という流れになります。
まぁ見て分かる通り、詩音、かなり自分勝手というか、最低なんですよね。
自分の恋の成就の為に主人公の恋心と美希の恋心を踏み躙ってる訳で。
そういう「自分の願いを叶える為に誰かの大事な物を踏み躙った上で自分の物にする」とか、どこの悪役だ?レベルの事をしています。


そんなヒロインが好かれる訳も無い上、作中で「ごめんなさい」とか言いつつ美希と真っ向から恋愛で戦うみたいな姿勢は見せず。
途中で悪かったと思うなら全ての記憶を返した上で美希と対等の立場に立って、主人公に好かれようと頑張るのが誠実さだと思うのですが、記憶を返した後に「恋を諦めます」モードに入るので、被害者面だけしているのが単純にムカつきます。
人の恋心や記憶弄っておいて、なに被害者面して去って行ってんだテメェ…状態。
作中で美希に「真正面から向き合って」と言われますが、本当にソレなんですよ。
人を凌駕する特殊な能力を持って、それで優位に立って、ただ勝ち逃げして行こうとする姿がとにかく卑怯…何のRPGの敵キャラだよ…


しかも記憶を返し謝るのはラストルートのみで、序盤のルートでは美希の作ったお菓子を自作と称し主人公に渡し、美希には「彼はコレを美希さんが作った物だとは絶対に思いません」とか言い張るのでヘイトが溜まる溜まる。
序盤のルートではしっかりと主人公が美希の作ったお菓子だと気付いたのでザマァwwwでしたが、「絶対に記憶を思い出しません」とか自信満々に言える神経が分かりません。
店長は「主人公には選択肢が無かった」と言っていて、実際主人公は傀儡のような状態なのでどうしようも無いのですが、傀儡化させた詩音には責任というか邪悪さというか悪意があるでしょう。
その諸悪の根源の詩音にお咎め無しで最後くっつくのがラストEDなのが納得出来ません。
消えるとか恋が叶わないとかそういうのでは無く、単純に痛い目を見て欲しいと思ってしまいました。


美希との会話でも、美希は常に主人公の気持ちを優先して考え、詩音の事も気遣い、彼女が記憶を消した事を知っても尚、対等に戦わない事を怒りはするけれど恨む事は無く、主人公の気持ちが詩音に本当に向いているなら主人公を助け応援するという健気さを持っているのに対し、詩音は常に自分の恋を叶える事しか考えて居らず。
美希が純粋に詩音に助言する時も詩音視点では「なんなんですか?」とか「何でそんな事を言うんですか?」とか「裏があるんじゃ」みたいな事しか考えて居ないというクソっぷり。
神様だから自己中心的で人の気持ちに疎いとか言われればそれまでですが、そういうの抜きにしてヒロインとしての人格あまりにもダメ過ぎてビックリしました。
序盤は美希の視点が挟まるので「まぁ美希の方に肩入れするように出来てるよね、後半で詩音視点が入った時に彼女にも肩入れ出来てトントンになるかも」とか思っていましたが詩音視点で自己中心思考繰り返すのでただただヘイト溜まる一方。
結局、肩入れの「か」の字もありませんでした。
最初に「恋愛」での約束を交わしたのは詩音なのでその部分では若干同情しますが、それ以降に全く会わず、会わない中で美希との交流が深まり一度しか会ってない詩音の事を忘れ美希に惚れるのもそれは仕方ないかと。
というか美希との交流…相合い傘やお菓子の件を知ると、そりゃあ徐々に好きにもなって行くよなぁとも思うので、そもそも幼少期から繋がりがある美希とは地盤があまりにも違い過ぎたとは思います。
今作は恋愛で見ると、完璧に出来上がってる男女カプの間に割り込む女の話になっていたので、分が悪過ぎました。
それでも詩音ルートが最終ルートでEDが流れ正史EDのような扱いなのでプレイヤーから見ると???になるというか。
正直美希EDがラストで良かったのでは?と思います。
作り的に情報開示の順番で詩音がラストの構成になるのは分かりますが、これだけキャラの魅力に差があると詩音の謎は中盤で解明し、謎を全部明らかにして美希ルートでも全然良かったなーと。
あまりにも詩音に魅力が無さ過ぎて最終の詩音ルートは「残っている謎をただ回収する」だけのルートになりキャラ萌えや恋愛でのワクワクを一切感じず淡々とプレイしました。
ぶっちゃけ詩音の真相も美希ルートラストとサイドストーリーで分かるので詩音ルートは「過去の真相や今までの意味深なシーンの謎の回収フェイズ」にしかなっていないという。
サイドストーリーラストの詩音エロも何の感慨も無く無心でクリックしました。


というか、「自分の気持ちを押し殺してでも主人公の気持ちを優先して助けてくれるヒロイン」と「自分の気持ちしか考えず他人の気持ちを踏み躙り周りを巻き込むヒロイン」どっちが魅力的ってそんなの普通に考えて前者としか言いようが無いでしょう。
勿論、我儘キャラには我儘キャラの魅力があるので、絶対とは言えませんが、我儘キャラの魅力って「我儘だけど、絶対にブレない矜持はある」みたいな部分だと思うんですよ。
「コイツの我儘になら振り回されても良い」みたいなカリスマを持っていたり、「人の純粋な気持ちは絶対に踏み躙らない」みたいなポリシーを持っていたり。
詩音そういうのが無いままで我儘キャラをしているので、単に「性格が悪い女」で終わっていた印象。
ダブルヒロインの体制を取るなら「どちらを選べば良いんだろう…」と悩ませる事が大事なのに、ほぼ全員が美希派になるような魅力の差を作っていた時点でミステリー物としては面白くても、ダブルヒロイン物としてはどうかな?と思います。
制作スタッフも分かっているのか、ラストルートは詩音ですが詩音にはエロ1回で美希は2回、しかも詩音とのエロは初体験シーンはぶっ飛ばす所にも少し笑ってしまいました。
ラストルートが詩音で、その作りに不満はありますが、美希とのエロを最初に見れたり、詩音ルートでも選択肢では美希と結ばれるEDがあるのは個人的に良かったです。


片方のヒロインにヘイトが向かう作りがあまり好きではないので、詩音もまた不憫だとは思いつつ。
でも、その不憫な部分…詩音の性格が物語の重要部分では無い為、もう少し魅力の分配をして欲しかったなと。
あまりにも美希の性格の良さと幼馴染としての過去の出来事が一つ一つ良すぎて。
今作は完全に美希に捧ぐ、美希ゲーでございました。


あと、喫茶店の店長がかなり謎解きフェイズで話かけて来て、核心を付いて行くので名探偵店長のお話だったと思います。
主人公はミステリー方面においては店長の謎解きを聞いてるだけになるので、中心に居つつもモブ状態になっていて。
記憶消されているので仕方ないですが、もう少し自力で美希との記憶を手繰り寄せる展開も見たかったです。
序盤でのお菓子を食べて美希のお菓子と気付く所は好きだったのと、気付かない程の鈍感さが無いのは安心しました。


徐々に明らかになる真相の作り、構成や全体的な出来は当時の同人の中でもかなり上位だと思います。
美希が最高の幼馴染だったので美希に出会えた事に感謝します。
今回オススメ頂き、美希というヒロインに出会える事が出来良かったです、有難うございました!!



※ゲームの攻略で検索される方がいらっしゃるみたいなので参考にさせて頂いた攻略サイト様を失礼します。
参考攻略サイト様:おきらくGameWeb 様
https://gameweb.sakura.ne.jp/
 恋ノ橋 ページ
https://gameweb.sakura.ne.jp/w_18kin/koicap.htm