ひっそりと群生

ひっそりと持ってるCDの情報やゲームの感想上げたり。購入物の記録など。気ままに。飽きっぽいので途中で止まったらご愛嬌。

【ヴィザルの日記】感想

【男性向け18禁】



2009年12月25日発売
雨傘日傘事務所』様 ※リンク先公式HP(18禁)
ヴィザルの日記】(PC)(18禁) ※リンク先DLsite.com(18禁)
以下感想です。








一人の木偶人形が見た街の日常と記憶。



『大陸南端の港街 セントサウス自治区
 西側区画の通りには昼夜を問わず露店が軒を連ね
 路地を入っても酒場や安宿からの喧騒が聴こえてくる

 いつしか住み慣れた街の耳に慣れた騒がしさ
 裏通りの片隅に事務所を構えるヴィザルのいつもの風景
 変哲なく 平穏で安穏

 そして ある日事務所に届けられた大きな木箱
 中に入っていた大きな木彫りの人形
 人形はヴィザルに語りかける

 「これ、なにをしとるか」

 今作も『エリュズニールの騎士』の世界観を踏襲し、
 前作『紅湖の皇子』で滅ぼされる側にあったセントサウスの街を主軸に
 新しくお話を構成しなおしました。
 主人公は記憶を動力源にして動く軟木製のゴーレム「コルク」と、
 裏通りの事務所に居を構える彼の主人「ヴィザル」。
 凸凹な二人のゆるやかな日常風景を
 楽しく読んでもらえましたら幸いです。』
(公式より引用)



10作に一個は名作と呼ばれている作品を挟んでプレイしないと心が死ぬと学びました。
というわけで、この感想がいつ投稿されるかは分かりませんが、2021年の40作目、そして雨傘日傘事務所作品のノベルゲーム12作目である「ヴィザルの日記」をプレイ。
…と言っても、40作目を「ヴィザルの日記 ~補記~」予定なので実質39作目。
プレイ時間は約10時間30分くらい。
分岐は無し。


数々の人達が名作と挙げている今作「ヴィザルの日記」。
雨傘日傘さんを知った時に一番最初に名前を聞いた作品でした。
一番最初に名前を聞いた時から大分時間が経ちましたが、ようやく本作に触れる事が出来ました。


もう、初っ端から「自分を買い上げ自由を手に入れた元娼婦」という超強い属性を持つヴィザルに惹かれに惹かれました!
元娼婦や現在娼婦をしている女性キャラがとにかく大好きな上、「自分を買い上げて自由を手に入れる」とか強い女性キャラ大好きな身としては、こんなん好きに決まってるじゃないですか!
好き、ヴィザル好き。


商才逞しく事務所を経営していたヴィザル。
そんな彼女の元へ知人から人形を預かって欲しいと頼まれ木偶人形「コルク」を預かった所から物語は始まります。
「コルク」はただの木偶人形ではなくゴーレムであり、意思を持ち、ヴィザルを主とし、彼女一人で生活していた事務所はコルクがやって来た事で大変賑やかに。
コルクを預けた娼館の主、娼館の主の秘書、娼館の主と行動を共にしとある人物を探していた獣の傭兵、いつも捕まっている街娼婦。
個性的な面々が個性的な行動を起こし個性的に繰り広げられる会話劇につまらないシーンが全くありませんでした。
日常会話がひたすらに面白く、ずっとこの街でヴィザルとコルクの生活を見守って居たいと思ったほど。
しかし、物語は、時は確実に進みます。
傭兵が探している人物達が物語に絡まり、娼館の主が捉えてきた探し人の母の居場所が探し人に知れた時、平穏な物語は大きく動き出します。


本作はノベルゲームでは前々作にあたる『紅湖の皇子』(※リンク先感想)と対になる物語になっています。
傭兵の探し人と、娼館の主が捉えた女性は「紅湖の皇子」での主人公達になっており、今作では敵側に回る彼等の事情を知る為には「紅湖の皇子」プレイが必要です。
というより雨傘日傘さんの作品は全体的に繋がっている為、設定や物語を100%の状態で楽しむなら過去のノベルゲーム作品がプレイ必須にはなります。
今作だけでも元娼婦の逞しい女性ヴィザルと木偶人形で古風な言葉遣いなのにとても可愛らしいコルク、変わった街の人々という要素で楽しむ事が出来ますが、今までの作品に触れた人と触れてない人では「知っているからこその楽しさ」という点で大きく変わるかと思われます。
今作の様々な設定や事情は過去作を知っていたからこそ理解出来た所や感情が大きく揺さぶられた所も多々有り、その点で連続で発表順に雨傘日傘事務所さん作品に触れて来て良かったと本当に思いました。


理解力は低い方なので「全部分かった!」とは言えないのですが、過去作が絡まる事で得られるカタルシスは味わい尽くす事が出来たんじゃないかな?と思います。
「ヴィザルの日記」の街の人々と「紅湖の皇子」の主人公核だった彼等、それぞれが持つ境遇と気持ち。
両方をプレイするからこそどちらの言い分も分かってしまうジレンマ。
そういう「どちらも悪ではなく各々の正義を貫く」という姿を両作から見せ付けられました。
「ヴィザルの日記」と「紅湖の皇子」は二つで一つの作品だったと思います。
どちらの生き様も伝わる、非常に良い作品でした。



『システム、演出』
吉里吉里製。
読む際に必要なシステムは全部揃っています。
今作から文章スピードを設定出来るコンフィグ有り。
その上、立ち絵の動きと戦闘シーンの動きに関してはもう何も言えないほど凄まじくなっていました。
この演出力に関しては「プレイして下さい」としか言えません。
もしくは動画でも上がってるので一度それを見て下さいとしか。
言葉で説明出来ないほど動きます、もう一種の映像作品、常に動き回る映画を見ているのと同じ感覚でした。
プレイする度に進化されてるのが恐ろしいです。


『音楽』
コルクの動く時のSEがディアブロが首を動かす時のSEと同じで、「ひょっとしてディアブロと関係してるのか!!?」と構えたりしましたが、そんな事はありませんでした。
今回オリジナル曲は5曲。
「記憶 -Memento Mori-」が流れるシーンは最早ズルいです。
この曲が流れるシーンではどうしてもジワッと来てしまい、この街が生きているようにも感じました。
クリア後に「記憶」というタイトルを知って更にやられたので二重にズルいです。
戦闘面では「緋色の刻 -ver.BGM-」が流れる戦闘が好きです。
あの「違うベクトルの強い女」の戦いは滾ります、罵り合う舌戦も含めて大好きです。
雨傘日傘さんは「霊刀キザクラ」辺りから完全に雨傘日傘さんの曲といえば片霧烈火さん!と言える程に共鳴していると思います。
声は上手い人と普通な人に分かれててそこは同人的だったなーという印象。
ヴィザルとコルク役の高梨さんと一さんが本当にお上手。
メインの二人が上手かったので全体的に安定しては聞けました。
メイコさんの演技が好きだったのですが「霊刀キザクラ」でベルザンドス役の夕凪さんで凄く納得。
確か「霊刀キザクラ」の感想で一番演技が好きだと言っていたはず。
フラウロスは声が変わっていましたが夕凪さんが後任されて良かったです。
「紅湖の皇子」の主要メンバーはフラウロス以外は同じ方達だったのも安心できました。
大和さんは雨傘日傘さん作品で巻き込まれ系真面目の役が本当に合っているなぁと。
クリノラスもラベンダードラゴンも好きです。
サブナック役のsinsayさんはネットリした感じが凄く合うのと前作から演技がかなり上達されているように感じました。
セイルとリアン役の山里さんとたちばなさんは安定。
日常的な会話では「普通のお母さんと少年」を感じて良いですね。
(…本当は「普通」なんてそんなもんじゃない二人が好きですが。)
音質に差があったのも同人的な感じ。
それでも2009年の同人ゲームとしては声関係は頑張っていると感じました。
雨傘日傘さん作品は同人ゲームの音声の歴史も辿れて面白いです。


『絵』
一体何枚書いているのか…
中身を見たらとんでもない枚数になってると思います。
必要な時に必要以上に魅せてくる絵ばかりで視覚面での満足度はS級かと。
クリック毎に変化当たり前、クリックしなくても動く動く。
雨傘日傘さんの絵での表現を見たら他作品が物足りなくなるのも分かります。
雨傘日傘さん作品に最初に触れてこの演出に成れてしまうのはある意味では悲劇。
特に絵関連で凄いと思うのは、同じ絵を何度も使っているのに同じ絵に見えない所。
同じポーズと表情の絵を使っていても配置の箇所や絵の周りにかけるエフェクトを変える事で同じ絵でも全く違う戦闘に仕上がっていました。
自分は何枚も新規の絵が沢山あるのも好きですが、同じ絵を工夫をこらして違う見せ方にするという手法が大変好きなので雨傘日傘さんの戦闘演出には毎回目を見張るものがあります。
正直商業でも未だに追い付いていない領域にいらっしゃるので恐ろしさが凄いです。
今作は後半で街が非常に大変な事になるのですが、その爆破エフェクトも見ていて恐ろしくも爽快で。
特撮の実際の爆破シーンを見ているような爽快感がありました。
CGや手書きではあまり味わえない現実で爆破をするからこその爽快感。
それを二次元で味わえる事があまり無いので、この表現力は稀有ですし、もっと沢山爆破シーンを見たい!と思いました。
(ただ、爆破される場所はたまったもんじゃないとは思いますが…)
あとヴィザルの青い瞳が本当に綺麗なのと、メイコさんが常にほぼ裸でコスプレ絶対に出来ない系の格好はエロゲでしか表現出来ない立ち絵で、裸の立ち絵スキーとしては見ていて楽しかったです。
さり気にフラウロスのエロシーンCGが今作で初めて入って個人的には喜びました。
「紅湖の皇子」ではサブナックとのエロが文章で少しだったので。
ただ、男性向けなのを考えると「何であるんだよ!!?」と不評にもなりそうなので、個人的には嬉しいですが他ではどうなんでしょう?
男の娘が浸透した今の世なら受け入れられそうな気もします。


『物語』
今回は本筋ではエロは絡まず。
「日記」「手紙」「エロ」と分かれたTIPSにより様々な点を補完する作りが上手かったです。
確かに本作は本筋でエロが入るとちょっと興を削がれる所があるというか、コルクがメインなのでコルク視点でエロを見るというのは中々に難しい事になるというか(子供が濃いエロを見るみたいな特殊な方向の空気に行くと思われるので)。
なので、エロはTIPSとして別枠であったのは非常に良い作りでした。
特にヴィザルのエロ関係は本当に別枠で良かったです。
本編開始時に自分を買い戻しているヴィザルはかなりの「強さ」を持つ女性で。
本編で「彼女を組み伏せる事が出来る男が居るのか?」と思うほどに強く逞しい女性なので、本編でヴィザルのエロが入るのは大分解釈違いになるというか。
なので過去の娼館時代の風景としてTIPSでエロが入ったのは満点の作りでした。
いやぁ、ヴィザルを組み伏せる男性は本編中には居ないでしょう、居ないな。
「日記」「手紙」の部分も本編で入るには日常過ぎたり説明が多すぎたりして蛇足になる部分を別枠で補完していて非常に纏まりがある作品に仕上がっていました。


『好みのポイント』
ヴィザル好きです、コルク好きです、この街の人々が好きです。
「ヴィザルの日記」を終えると街に息づく人々が本当に好きになります。
皆生活している、皆生きている。
色んな人々が日常を過ごしている。
誰一人、無駄な人は居なかった。
クリア後に最初の方の日常シーンを見るとこみ上げてくるものがあります。





以下ネタバレ含めての感想です





今作より前に「紅湖の皇子」があり、そのラストを知っているので、「ヴィザルの日記」が対になっている以上、どちらの勢力が優勢で終わるかはある程度分かっていたので、この結末に辿り着くのは分かっていた、分かっていたのですが。
どうしてもジワリと来ます。
「ヴィザルの日記」組の気持ちも分かる、「紅湖の皇子」組の気持ちも分かる。
だからこそどちらか片方は応援出来ないというジレンマ。
踏み躙られた街がある、けれどそのまえに踏み躙られた家族が居た。
コルク先生の後半戦闘での説教シーンは「ヴィザルの日記」の視点から見た側では正義なんですよね。
街の人も生きていた、関係のない街の人の命を奪った、その責任を背負え。
正しい、圧倒的に正しい。
でも「紅湖の皇子」の流れを知っているとどうしても「でも、それは…」となって。
「コルク先生、正しいよ、街側からしたら正しいし、命を奪うというのはそういう事だ、でも彼等は…」と反論せずにはいられない所があり。
あまりにも正しすぎる論を前にした弱者の方に加担してしまう心境に。
だからこそリアンが「自分達の基準を押し付けるなと言うのなら、僕達が最初に押し付けられた側だった!」と叫んだ時にはある種の爽快感というか「よく言った」「そうだよね」という気持ちでいっぱいになり。
コルク先生も彼の笑いが嘆きだと分かり納得したシーンを見て、「ただの正論の説教」に終わらなかった所が好きでした。
「紅湖の皇子」を見ていると最初に手を出したのは娼館側、街側で、リアンもセイルも最初は被害者で。
「復讐は何も生まない」なんて高尚な事が言える人間では無いので、リアンの行動もどうしても納得出来てしまいました。
そして最後には街が崩壊し、リアン側が優勢になる結末。
これは「紅湖の皇子」をプレイ済みの為分かっていたのですが、この街の事を深く知ってしまったが故にこの崩壊も「紅湖の皇子」ラストのような「リアンの復讐が果たされた」という気持ちにはなれず、やるせなさや切なさを感じたので、「一つの出来事が見る視点によって大きく変わる」そんな群像劇が好きな自分としては非常に好ましく印象深い物でした。


各設定も、過去作をやっているからこそ分かる物が多く。
コルク先生の戦闘能力や「大罪の故郷」に関しては「黒曜鏡の魔獣」「霊刀キザクラ」をプレイ済みだとあの機械的な戦闘も納得出来ます。
レヴィアルに関しても、自分は「紅湖の皇子」の感想では「レヴィアルの行動原理が分からない」と書いていましたが、こちらも「霊刀キザクラ」でようやく分かった事で。
「1000年の悪霊」の事が語られるのが「霊刀キザクラ」で、この設定の詳細によってレヴィアルの行動原理が掴めるので、「紅湖の皇子」では「よく分からない」で終わってしまったレヴィアルの深層心理が「1000年の悪霊」関係と本作のレヴィアルの過去が絡まる事でようやく納得する事が出来ました。
逆を言うなら「黒曜鏡の魔獣」と「霊刀キザクラ」未プレイだと「コルク先生が突然現代武装になった」や「レヴィアルの真意がよく分からない」になりがちなので、この二作での各説明を知る事は必要かと。
そして「黒曜鏡の魔獣」と「霊刀キザクラ」はディールやデュエル家関連で「エリュズニールの騎士」「隷妃双奏」を読まないとディールやデュエル家がよく分からない人&家になりますし、「大罪の故郷」は「雪神一雫」が関わって来るので…
やっぱり雨傘日傘事務所さん作品は最初から触れて下さい!としか言えなくなります。
(同人ゲームなのでサークル作全てに触れてる人が多いと思いますが)


日常会話、戦闘、どれをとっても面白く、始終面白いと言えるほどの作品でしたが、個人的に好みだったのはヴィザルとコルクが夜の街を一緒に歩くシーン、そしてメイコさんがコルクに対して「女心が分からないから貴方は男の子」と言うシーンが会話から溢れ出る空気感が好きでした。
戦闘ではヴィザルVSセイル戦が特に好みで。
セイルは「ラミエルパークのエルフ」「紅湖の皇子」では「連れて行かれる可愛そうなお母さん」でしたが、本作をプレイして一気に印象が変わったというか。
なんだかんだ彼女も「強い女」で滾りました。
調教され悲惨な目に合いますが、まさかのリアンの覚醒を願っていた人物で。
「この世界はクソで強くなって生きるしか無い」「自分の息子が誰よりも強くなって虐げられる側ではなく踏み潰す側に回ればこの世界で恐れるものは無くなる」という「リアンが強い側に回るのならば世界が、自分がどうなっても構わない」理論の持ち主で予想以上にしたたかで、そして「強い母」だったのが最高でした。
「強い女」「ヤバい女」大好きなので、セイルが両方備わっている「ヤバい強い母」で。
あの戦闘時のセイルのリアンに対しての思いを聞いてからセイルへの個人的に好感度が爆上がりでした。
ヴィザルもヴィザルで姉さん女房系の世話焼きお姉さんな所が元々あり、そこがとても女性キャラとして大好きな上でコルクと出会い母性が溢れ出るようになり。
ヴィザルVSセイルは母VS母の戦いで、そういう女の戦いが大好きなので見ていて非常にテンションが上がりました、最高でした。


どこもかしこも面白い作品でしたが、2点、気になった所も確かにあって。
一つはライエ、というかレライエ。
「紅湖の皇子」ではオッサンの賢者みたいな方だったじゃないですか!
いや、性別は確かに出てなかったのですが、声がオッサンだったのでオッサンだと…
今作でまさかの女の子で驚いたのと同時に少し悲しくて。
自分はオッサンの賢者大好きなので、「オッサンじゃ無くなった」という悲しさが。
いや、性別明らかになってないし、神獣だし、性別を変えられるかもで良いのですが、良いのですがー。
個人的な好みとして「なんでもかんでも美少女にするんじゃねー!!」という気持ちもあり、オッサンでは無くなった事に寂しさを感じていました。


あとは最終戦
「紅湖の皇子」の最終戦が「ここでフェードアウト!!?」となり、そのフェードアウト部分が今作で見れたので確かに満足はしましたが、最後はどうしても尻すぼみにも感じたというか。
最後、リアン側が圧勝した描写は「ヴィザルの日記」が街側の物語である以上、描かれないんですよね。
「紅湖の皇子」でリアン側が勝ち街が崩壊するのは分かっていたので、ヴィザル側がリアン達を倒す事は絶対に無く。
ある意味では「負けの物語」で。
やっぱり戦闘ではどうしても「敵を倒した!完全勝利!!」を見れた方が爽快感を得られる所はあるのでそういう場面が見れなかったのは少し残念です。
そういう意味では「霊刀キザクラ」の最後の爽快感は個人的に強かったなーと。
勿論、街が崩壊後のヴィザルとコルクの別れはしっとりとしていて爽快感とは真逆に切なく大好きですが。
戦闘物で自分が欲しい戦いのラストは見れなかったなーとは思っています。
ヴィザルとコルクの別離は好きです、大切な人との別離大好き人間なので、あのラストは胸が苦しくも切なくとても好きでした。


ヴィザルの過去が本編でもTIPSの「日記」でも「手紙」でも描かれずコルクが街の壁を見てなんとなく知る事が出来るという演出は凄まじく好きでした。
上記でも書きましたが「記憶」の曲と合わさりあの演出は最高で最高で。
コルクの「記憶を知る事が出来る」というのがヴィザルの「過去を嫌い自分では語らない」という事柄に合わさり、ヴィザルとコルクが足りない部分を埋め合っているかのようで最高のパートナーなのだと感じた瞬間でした。
コルク先生が人間ではなく性別不詳の木偶人形で良かったと心から思いました。
コルク先生が完全な人型で性別が分かるタイプだったらもっと人間に振り回されていたり、性やエロと絡まって駄目…というか嫌な方面に進んだと思います。
コルク先生は人間のそういう部分とは絶対に絡まらないから素敵なのだなと思いましたし、なにより、ヴィザルの心に入り寄り添う事が出来たのはコルク先生が木偶人形であの見た目だったからだと。
人ではないからヴィザルと寄り添えたのだなと思うと、コルク先生がコルク先生で良かったと心から思いました。


沢山の方々が「最高の作品」と言っているのが凄まじく分かる一作でした。
女性主人公物のエロゲで間違いなくトップの方に君臨します。
ヴィザルとコルクの主人公二人が素晴らしいのは当然として街の人々も、そして過去作の人々も皆素晴らしく、過去作を綺麗に補完した一作でした。


次回は「ヴィザルの日記 ~補記~」を予定。
おそらくヴィザルの娼館時代の事がもっと描かれるエロ的なFDになるのかな?とは思っていますが、日常会話を交えつつまたあの街の人々に会える事を楽しみにしています!