ひっそりと群生

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【ナツイロセールトリムSail1】感想

【女性主人公全年齢】



2018年08月17日発売
少年舎』様 ※リンク先公式HP
ナツイロセールトリムSail1】(PC) ※リンク先BOOTH
以下感想です。








「青春」の為なら向かい風なんてなんのその!
全身全霊をかけられる!!



『《高校生活最後の夏に出会ったのは、カナヅチのセーリングガールでした。》

 飯島みなとは「夏×海×青春」というベタベタなワードが大好きな、湘南の街に暮らす女子高校生。
 高校生を最高の青春にすべく、水泳に捧げてきたが、大会での失敗で、あえなく廃部となってしまう。

 そんな中、生徒会長の常葉ずしおは、母校からのスポーツ選手輩出を画策。
 江ノ島が会場として利用されている競技「セーリング」に挑戦するため、旧友である田波瑠璃(タバルリ)を
 招聘し、志願者を募る。

 かくして、少女たちは、8月の地元対抗ヨットレースを目指す。
 青春という風をつかむため、セーリングガールたちのひと夏の物語がはじまろうとしていた。』
(公式より引用)



プレイ時間は約1時間45分くらい。
分岐無し。


セーリング」。
ヨットに二人が乗り速さを競う競技。
この競技が「セーリング」という名を持つ事を本作で初めて知りました。
競技自体は見た事があり、短いコースを競う競技から世界一周を競う競技まで。
スポーツをあまり見ない自分でも夏にニュースなどで見かける事がありました。


夏の空の下、海の上を小さめの小舟で鍛え上げた選手達が全力で戦う。
あぁ、間違いなく、どんな世代でもその輝く姿は「青春」です。


主人公のみなとはセーリング選手であった瑠璃と出会う事でひょんな事からセーリングの魅力に魅せられ瑠璃とコンビを組みセーリングを行う事に。
みなとは「青春」の為ならどんな事でも出来る!と言えるほどに「青春」をしたがる少女。
そんな彼女を魅了させたセーリング
今作はChapter1と2が収録されており、瑠璃との出会いと江ノ島でのセーリング大会での戦いが描かれていました。


元水泳部であり運動神経は良く、動きを掴むのが得意なみなと。
けれど、セーリングはそんな彼女をあざ笑うかのように全ての体力と筋力を要求し。
海の上で腕、足、体全ての筋肉を使うセーリング
果たしてみなとは無事にセーリングの大会で勝ち抜く事が出来るのか?


セーリングは戦いだ、けれど、スポーツは危険を犯してはならない。
スポーツマンシップに乗っ取り、安全に、けれど全力で海の上を駆け抜け戦う少女達。
「夏×海×青春」、みなとが求めた物を掴もうとする姿が全力で描かれていました。



『システム、演出』
ティラノ製。
基本操作有り。
とにかく本作は動きが良かったです。
UIの使いやすさにコンフィグ画面での背景で羅針盤が動いたりする見た目の良さ。
セーリング競技の物語らしくヨットが海の上を行き交う描写がありますが、それが視覚的に表現されていて。
ヨットの動きがとても綺麗でスイスイ動く上、カットインでキャラクターの顔や動きが入るので見ていて非常に楽しく。
物に乗って戦うタイプのスポ根物として演出面がとても良かったです。


『音楽』
海の波音が良く、そしてオシャレな曲が多かったです。
舞台は江ノ島らしいのですが、江ノ島のオシャレさが音楽でも全面に溢れていて。
セーリング自体もヨットを使う為非常に豪勢なスポーツという印象もあり、そういう豪華さがありました。
豪華で、優雅で、でもその中に戦い抜く闘志もあり。
日常のオシャレな曲と対戦時の風を読み駆け引きを行うような心理戦を感じる選曲がとても合っていました。


『絵』
少年舎さんの作品に触れるのは初だったのですが、サークル様はコミケで何度もお見かけはしていて。
人物画の上手さと塗りがとてもお上手になられていて驚きました。
登場する少女達の鮮やかさ、可愛らしさ。
可愛い少女達がスポーツを全力で頑張るスポ根、もう、これだけで反則というか、強いです。
制服のセーラー服も最初は色は爽やかですが夏にしては暑そうに感じましたが、学校の校風が一応宗教系なのと女子校、そしてセーラー服が海と絡まり、進むにつれて違和感が無くなり。
背景もサークル様の特色らしく湘南や江ノ島が舞台らしいのですが、どの背景も綺麗に描かれた上でどの場所も本当に美しく。
正直、海があるだけで雰囲気は抜群なのでこういう所が地元なのは良いなと、羨ましくなりました。


『物語』
みなとの「青春」を追う熱い物語。
1つの事に熱中する事が「青春」なら、セーリングと瑠璃に出会えたのはきっと幸福で。
「青春」を追う為に全身全霊、全身全力で駆け抜けるみなとの姿がとても眩かったです。
サブキャラも良いキャラばかり。
相棒の瑠璃も、お嬢様のずしおも、友人のテレサも他校のライバル達も嫌な子が一人もおらず。
皆が自分の全力を出し切っている姿が輝いていました。
サークル様の前作キャラが居るらしく、前作を知らなくても楽しめましたが所々の会話で前作を知っていたらもっと楽しめるだろうな…と思った部分があり。
そういう所に同人らしさを感じて、前作もとても気になりました。


『好みのポイント』
セーリング、自分とは全く無縁の世界でテレビの向こうのスポーツだったので、かなり細かいルールや専門用語を知る事が出来、1つ知らない事を知る事が出来ました。
こういう作品に出会わなければ知る事は無かったと思うので、良かったです。
そして、自分もみなとの語る「夏×海×青春」、好きです。
大人が行うセーリングも全力である限り間違いなく「青春」ではあると思いますが、高校生活で1つの事に打ち込む「青春」というのは人生に一度切りだと思います。
後ろを振り返った時、「あの頃は楽しかったなぁ」と思えるほどに打ち込める事をしているというのはやっぱり人生の比重で大きく。
沢山の事をした、沢山の人に出会えた、沢山楽しかった。
そういう事を高校生活で出来る…というのを物語ででも追って行けるのが眩くも楽しく。
「Sail2」でみなとがセーリングと共にどのような「青春」を送るのか、楽しみです。





以下ネタバレ含めての感想です





さて、ネタバレになりますが、ラストでみなとが倒れ、不穏な形で幕を閉じたのが印象深かったです。
みなとが「青春」に必死になる姿。
自分の身体の事を考えず、無理をし、本当に「一度しか無い青春を謳歌する」かの如く突き進む姿が輝きつつもどこか痛々しさも有り。
大人達の言う「高校生活が終わっても人生は続いていく」という言葉を自分はその通りでその後にも「青春」を行う事は出来ると思っていたのですが、どうやら最後の文章を読む限りみなとは時間が限られているようにも見えて。
まだ「Sail2」前なので不安要素くらいで確定では無いのですが、みなとが健康的に「青春」を謳歌出来る事を願わずにはいられません。


物語としてはサクサクと進み、演出も良くストレスフリーな作品でした。
しかし、少しだけ大会に出るまでの彼女達の特訓の時期も見たかったなとも思ったり。
出会い→大会とトントン拍子に話が進むので、特訓の時に得た信頼と友情や、日常での何気ない会話で育まれる関係など、みなとと瑠璃の関係を構築して行った期間が見たかったので、そこがサクッとカットされた事が少し悲しく。
大会では既に一ヶ月経過し、それなりに信頼が構築されていたのでちょっと浦島太郎状態を味わいました。
トントン拍子に進む系好きですが、ゆっくり関係を構築して行く過程も好きなので、飛ばし飛ばしでも良いので一ヶ月を見たかったです。


ラストの一文で本当にみなとの事が心配で仕方ないのでこのまま「Sail2」に続けて行きますが、彼女は無事に大学に行けるのか、瑠璃と共に歩めるのか、セーリングを続けて行けるのか。
不安要素が大きいのですが、彼女達の「青春」を見届けたいと思います。