ひっそりと群生

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【幼馴染との絶対的な恋の物語】感想

【男性主人公全年齢】



2021年08月10日配信
『銀次郎』様
幼馴染との絶対的な恋の物語】(PC&ブラウザ) ※リンク先ノベルゲームコレクション
以下感想です。








彼は彼だから、なれこを愛し続ける。
揺るぎなく、確実に、絶対的に。



『朝目覚めたら記憶を失っていた主人公。覚えていることは、幼馴染の女の子である『大和なれこ』のことが好きだということだけ。
 とりあえず何もわからない主人公は、目の前に現れた彼女と付き合おうとするが……?

 ラブコメありギャグありサービスシーンちょっとあり、そして本筋は結構暗い恋物語です。』
(公式より引用)



プレイ時間は約40分くらい。
分岐有り、ED4つ。


記憶を失い幼馴染のなれこの事が大好き!という感情だけを覚えている主人公。
なれことの日々を過ごしながら町にある様々な場所を巡り、なれことの記憶を思い出して行きます。
果たして大好きななれことの記憶を完璧に思い出す事は出来るのか?
ハートフルでチャーミングで…でも、どこかペインフルな大好きを貫くストーリーでした。



『システム、演出』
ティラノ製。
コンフィグがありますが、既読スキップを選んでも未読もスキップしてしまいました。
未読部分で止まらずスキップが続くので、スキップはCtrlスキップを推奨。


『音楽』
通常のBGMも違和感ない素材を使われているのですが、特に盛り上がる時の音楽の使い方が上手かったです。
TRUEルート後半の色々と気持ちを掻き立てられる場面での音楽での盛り上がり方は本当に良く。
主人公の愛する気持ちもなれこのやるせない気持ちも一緒に伝わりながらグッと切ない気持ちが盛り上がりました。


『絵』
立ち絵、一枚絵、ともになれこのみ。
なれこしか絵で登場しない所に「絶対的」な部分を感じます。
なれこさえ居ればそれで良い、そんな世界で作品に合っていました。
モブがピクトグラムな所にもなれこ以外のどうでも良さを感じて笑いました。


『物語』
移動先で重要な移動先以外でも主人公が色々と面白い行動を見せてくれて、飽きがありませんでした。
本筋は重要箇所に行って記憶を取り戻していくストーリーですが、ラストの選択肢でエンディングが分岐します。
なれこと教室で黄昏れたり、なれこと海に行って青春したり、もう、とにかく、なれこ。
なれこを中心に語られるストーリーにブレが無く、大変良かったです。


『好みのポイント』
自分はヒロインに対して「好き」を隠さず貫き通しグイグイ行く主人公が好きなので、なれこに好き好きアピールしまくる主人公の描写にとてもニヤニヤしました。
真相を知ると「あぁ…」と思うポイントではありますが、主人公がなれこを好きな想いは本物だと、信じてます。





以下ネタバレ含めての感想です





最初はテンション高めのギャルゲーで始まり、中盤でなれこの事情をしりしんみりし、ラストのTRUEはSFで畳み掛ける。
3つのターニングポイントのキレが良く、ノンストップで読むことが出来ました。
序盤が主人公高いテンションやアホみたいなノリに笑い、中盤でなれこの家庭事情や過去のアイドル活動の事を知り切なくなっていたのですが、ですが…
TRUEで一気に覆されました、「しんみりした気持ちを返せ」とまでは言いませんが、「何もかもが作り物って…そんなぁ…」という辛さがあり。
所々でノイズが入る描写があるので、「死後の世界説」か「仮想世界説」を考えていましたが…後者でしたね。
一応予想は当たっていましたが、序盤で主人公が本当になれこの事が大好きな気持ちが地の文で伝わって来るので「貴方の気持ちも何もかもが作り物」という真実は胸が苦しくなりました。


真実はなれこが幼馴染の少年と事故に合い、事故で幼馴染を失うのと同時に少年の記憶を全て失ってしまう。
その少年をなんとかAIででも作れないか?という仮想実験を行われていた世界での出来事というお話。
少年は確かに蘇らなかった、死んだ人間は生き返らない。
だから主人公はなれこの幼馴染の少年にはなれない。
でも、なれこを想う気持ちは例えプログラムされていても本物だと…思いたいです。
プログラムされた想いは本物なのか?
SFではよく上がる題材ですが、主人公の視点で主人公の想いで愛が語られているのなら、それは本物だと思います。
序盤のなれこを大好きだと思っていた地の文がとても良く、「なれこの事が大好きなんだなぁ」と伝わって来ていたからこそ、自分はAIのプログラムでも主人公の想いを信じたいです。
そして、その想いになれこもまた、失った少年の穴は満たせないけれど、別の心の部分が救われたと、そう信じたいです。


TRUEのSF的なエンディングも良かったですし、TRUEを見ると他のEDの意味に気付き、なるほどとなる構成も上手く。
テンション高く始まりながら、ラストはジワリと胸が暖かくなるように締める作りと話の流れや進み方が絶妙で、とてもサクサクと進める事が出来ました。
絶対的になれこを愛する、「ヒロイン好き好き主人公」が好みの自分に大変刺さった作品でした、有難うございます。