ひっそりと群生

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【午前零時の讃美歌 -彩無鏡の小妖精-】感想

【男性向け18禁】



2015年07月09日発売
雨傘日傘事務所』様 ※リンク先公式HP(18禁)
午前零時の讃美歌 -彩無鏡の小妖精-】(PC)(18禁) ※リンク先DLsite.com(18禁)
以下感想です。








妄想空想大暴走!11年経っても変わらない小夜子さんの妄想力。
そして新しい「CHANTS」の店員、彩無鏡子とのハイテンションな日常とちょっと不思議な出来事。



『~それは去年の話~

 中庭駅の駅ビルの地下2階への帰途、
 普段は通り過ぎるだけの地下駐車場のはずれに、
 アンティークショップを見つけた。
 時刻は既に夜の10時を過ぎていたが、
 扉の表にはまだ、営業中の小さな看板が掲げてある。

 鉄筋の打ちっぱなしコンクリート
 無理やり繰り抜いてはめ込んだようなその扉は、
 しかし、そこだけ見れば小洒落たゴシック風で、
 うちの同居人がいかにも好みそうな装丁だ。

 そして、ちょうど時節柄
 その同居人への贈物を探していた私は、
 少し躊躇して後、扉のノブに手をかけた。


 時節は年の瀬、
 クリスマス間近の中庭駅地下街を舞台に、
 カラオケ喫茶CHANTSの吸血鬼オーナー、磯貝小夜子と
 去年くらいからそこで働いてるバイト、彩無鏡子(かがみこ)との
 日々の交流をつらつらと描きました。
 吸血鬼で主人公の河原新太が送る
 好物は食べ物、趣味はプラモ作りのぽっちゃり内弁慶・小夜さんと、
 好物はアイス、趣味はプラモ作りのやぶにらみロリ巨乳・鏡子ちゃんとの
 なんでもない日常を、楽しんで頂けましたら幸いです。』
(公式より引用)


雨傘日傘事務所作品のノベルゲーム16作目である「午前零時の讃美歌 -彩無鏡の小妖精-」をプレイ。
プレイ時間は約3時間くらい。
分岐は無し。


午前零時の讃美歌』(※リンク先感想)からまさかの11年の時を経ての続編。
たしかに小夜子さんと新太さんと「CHANTS」があればいくらでも話を続けられるので続編があってもおかしくはないですが、再びあの二人に会えるとは驚きました。
発売後の後追いなので続編がある事は知っていても、実際過去作からプレイして行くと感慨深い物があります。


今回は「CHANTS」のコンビに新キャラのアルバイトである鏡子が加わり。
「CHANTS」の中に新設された家や地下街などを舞台にプロレス語りにMS語りにBMI語りに。
笑い有り笑い有り笑い有り…あれ?始終笑い有り?
はい、実際初っ端から笑いに全振りでひたすらに笑わせて来る3人のドタバタ「CHANTS」劇場でした。


とは言いつつも、そこは雨傘日傘さん。
今までの他作と繋がる要素も目白押し、不思議有り、魔術有り、そしてやっぱり超絶技巧の戦闘演出有り。
そしてほんのりと胸に来る要素も有り。
鏡子という新たなキャラクターが11年の時を経たカップル(?)とどういう関係で関わりトリオの一人として加わって来るのか、気になっていましたが、絶妙の采配で嫌味無く二人と一緒に過ごしており、とても安心しました。
(とは言っても11年はリアル時間でゲーム内では無印から数年しか経過してないっぽいですが。)


小夜子さんの妄想力も体脂肪も無印からそのままに…いや、体脂肪だけは増えたかも…
全力で笑い、最後には全力で熱い戦いを見る事が出来る一作でした。



『システム、演出』
吉里吉里製。
吉里吉里の機能を最大限に生かした技術は語らずとも流石。
機材のバッテリーを入れ替えるだけのシーンで超絶技巧使ってヌルっと動かすんじゃないよ!と笑ってしまいました。
ただ、「ヴァージン・ロード」からですが、文章表示速度を選べなくなったのはちょっと不便でした。
文章速度速派にはちょっと辛い。
あと地味にタイトル画面のロードとスタートの位置は逆が良いかなと。
スタートを上にしてロードを下にした方がゲーム的にプレイしやすいとは思いました。


『音楽』
なっっっつかしいなぁ!!
無印版で使われた曲が再度何度も使われた事に感無量です。
ジムノペディとか、昔の作品で使っていらっしゃいましたが最近は使われておらず。
昔のmidi時代の曲をかなりそのまま使用されていて。音楽方面でも無印を思い出しました。
自分が短期間で雨傘日傘さんの作品を追っている中でそう感じるので、リアルタイムで追ってる人にはかなりクる物がありそう。
声は今作はもうかなり商業や他の同人作で主演されている方ばかりが揃っていました。
出演作がそれなりにある分、皆さんお上手。
11年経っているので小夜子さんの方は変わっていましたが、藤川さんお上手です。
最近だとちょっと話題に上がった商業とかにも参加されているらしく、小夜子さんの見た目とお声が凄く合っていました。
個人的には鏡子役の睦月さんの声がたまらんかったです。
ハスキー声に弱いのであのお声はズルい、ハスキーでクセがあって、個性的な声好きとしてはたまらない物がありました。
新太役の福田さんは「ヴァージン・ロード」でもキメラ候をされていらっしゃいましたが、掛け合いが凄く良いです。
攻めてる時のドS感も良いのですが、巻き込まれてる時のギャグ調の話し方が良い。
冷静さと困惑さが混じった演技が好きです。
他の方々も登場は少しですが皆さんお上手で。
骨董店主の渡会さんは…いや、うん、骨董店主に関しては…はい。
商業で沢山出られていてプロさを感じます、あとはネタバレになるのですが、一言で言うなら笑い方、好きです。


『絵』
ムチムチ感はそのままに、どんどん絵がお上手になっていかれます。
個性はそのままですが、流行りや現代の要素はしっかりと取り入れて行ってる感じ。
エロシーンでもアニメーションとはまた少し違う手法で胸などを動かされていますが、どういう技術なんでしょう?
他で同じ様な動きを見た事が無いため、戦闘とはまた違いこちらも超絶技巧だと思います。
少なくとも雨傘日傘さんしか出来無さそうな演出、静止画がアニメ調にヌルヌル動くのが好みとは違うので好きとはまた違いますが、技術は本物かと。
立ち絵の動きも変わらず良く、一枚絵も凄まじい量ですし、最後の戦闘シーンは、コレよコレ!コレを待ってた!状態。
シリアスが主軸なのも好きですが、ギャグが中心で戦闘があるタイプだと心労を感じず軽い気持ちで戦闘を楽しめるのでただひたすらに戦闘シーンを明るい気持ちで楽しむ事が出来ました。


『物語』
小夜子さんと新太さんのイチャイチャの日々、それに加わる新しい女の子。
こう書くと波乱の予感に見えますが、そんな事全く無く。
新キャラの鏡子が絶妙に嫌味の無い軽快な性格の為、恋愛などでの不安は全くありませんでした。
むしろ、常にテンション↑↑なノリで日常を謳歌する二人の間に入れる鏡子が凄い。
二人は吸血鬼なだけあって、平凡な日常はあまり無く、常に何らかのトラブルが起こっているような状態ですが、そんな二人に怯む事無く。
楽しそうに笑いながら鏡子が付いて行き、コンビがトリオになってさらにハチャメチャな日常が出来上がり。
最初から全力で笑って、途中で「お…」となるポイントもありつつも最後には3人笑顔で大団円!なのでホッコリした気持ちになれる作品でした。


『好みのポイント』
小夜子さんの妄想劇場が無印版よりもグレードアップしてるのが、本当に、小夜子さんだなぁと。
リアルでは11年経過した上での続編なので、変わってる部分があってそれが受け付けにくいのでは?とか思ったりしましたが、そんな事は無く。
11年経過しているのに絵は変化…というより進化していても作風は変わらない物を紡ぎ出せる技量が凄いです。
それだけ独自の世界観を持っているサークル様だなぁと再確認。
追加キャラの鏡子も大変魅力的なキャラですし、11年間の間で作った他作との架け橋にもなっていて。
「今の技術で過去作のリメイクを見る」みたいなのが好きなので、リメイクでは無いですが続編として今の雨傘日傘さんの技術や画力で再び小夜子さん達に会えた事が嬉しかったです。





以下ネタバレ含めての感想です





初っ端からドアに挟まった姿で登場する小夜子さん、ズルすぎます!!
もう大爆笑でした、僅か(?)に肥えた事でドアの隙間を通る事が出来ずにドアに挟まり動けなくなった所からスタートするヒロインってなんだよ!!これはひどい!!!
無印で「ハム、ハムなんですか!」みたいに妄想していましたが、ハムとかそういうのも越えるくらいに肥えてしまわれているとは。
嵌った小夜子さんと新太さんの会話で初っ端から腹筋をやられました、最高のスタートでした。


勿論スタートだけでなく、日常もずっと面白く。
変わらぬ小夜子さんの無限の妄想力にただただ脱帽。
というか、コレ、ネタバレになるので上記では語らなかったのですが、今作夜の屋上でのエロシーン以外は全部小夜子さんの妄想内での出来事という。
9割が妄想エロ、安心の妄想エロ率…じゃないですよ!9割とか妄想エロの配分がおかしい!
最後までプレイして妄想エロ率を振り返り、そういう意味でも笑ってしまいました。
雨傘日傘さんらしいハードなエロはあるといえばありますが、全部妄想という。
こういう「エロシーンはほぼ全部妄想内の出来事」みたいな要素としてエロをブチ込んでくるの、かなり変化球で好き嫌い分かれそうですが、自分は大好きです。
妄想内の舞台も小夜子さんが扮するキャラも、無限大過ぎて。
サヨエ、サヨランゼ、教師小夜美、サヨリーヌ、サヨレーヌ…どんだけ頭の中に自分を飼っているのですか?
小夜子さんの妄想や創作能力、憧れるような憧れないような。
鏡子とのエロシーンは100%小夜子さんの妄想内の出来事ですし。
いや、小夜子さんと新太さんのカプが好きなので、新太と鏡子でエロシーンがあったら解釈違いを起こすかもなーとか思ってはいましたが、まさかの斜め上からのエロ供給、小夜子さんの妄想でエロがあるとは思わなんだ。
ある意味カプ厨に優しいエロシーンだったと思います。
妄想後のジムの英語語りは洋画みたいな演出で更に笑いを畳み掛けて来ますし、何もかもがズルい。
でも、そんな中でも鏡子もまた新太を狙ってそうな一面もあり、そこもまた気になったり。
小夜子さん、鏡子ちゃんも狙ってますし、妄想してる暇は無いですよ!!
そして更には今回まさかの新太さん男の娘化という。
主人公が男の娘になってエロがあるの、情報、詰め込み過ぎでは?素晴らしいです。
妄想とはいえおねショタのエロシーンがあるのもナイス!
そういえば男の娘のエロがCGでも入るのは初めてかと、フラウロスはギリ文章だけだったので。
「紅湖の皇子」でも「ラミエルパークのエルフ」にあったショタ娼婦ルートは削除されていましたし、そういう所を考えると2015年は男の娘ジャンルが完全に浸透し確立したのだと感じましたし、2003年にショタ娼婦ルートを作ってた雨傘日傘さんは最先端過ぎましたが、ようやく時代が追い付き性癖が広く受け入れられ"回帰"したのだとも思うと胸が熱くなりました。


MSやガン◯ラの話も健在で、無印版と同様ゲームフォルダ内にメモがあって専門用語集があったのには笑いました。
11年前の作品から変わってない、この安定感。
その安定感の中には当然戦闘も含まれていて。
新太さんを吸血鬼に戻す為、別の吸血鬼、アリンガムの助けを得ようと彼女を本気で目覚めさせる為に目の前で戦闘を行う小夜子と新太。
ちょっとこの辺りは自分の読解力不足な所もあり、二人が戦わなければいけない理由の詳細が掴めなかったのですが、アリンガムを目覚めさせる為…で合ってるのかな?ちょっと自信無いですが、そんな感じくらいの認識では居ます。
分かってない所はありつつも、戦闘シーンは本当に楽しくて楽しくて。
無印で「ここから戦闘が始まる!」みたいに見せてフェードアウトし、ちょっと戦闘に関しては消化不良だったので、今回後半でビッシバシ戦闘が入ってテンション上がりました。
「ヴァージン・ロード」でも戦闘はほぼ無かったので雨傘日傘さんの戦闘が久しぶりで、やっぱり見ていて楽しいんですよ、最高。
特に小夜子さんが狼をけしかける所や剣が上から大量に降ってきて小夜子さんの周りに円を描くように刺さる所はもう、最高潮。
「黒曜鏡の魔獣」でも書きましたが、剣が大量に出てくるみたいな演出に弱いんです。
締めには「これが私達の初めての、夫婦喧嘩」と書かれますし。
夫婦、夫婦って!!
やっぱり公式夫婦なんですねこの二人!!
夫婦萌え持ちにはたまらん一文で、格好良い戦闘シーンの締めにこの一文は反則過ぎます。
ちょっと最後は今回もフェードアウトして、戦闘の結末やアリンガムの件はカットされたのが残念ですが、ラストに出てくる写真を見ると鏡子ちゃんも無事戻って来たみたいですし。
ハッピーエンド大好きなので大満足だったのと、直接的には結末を語らず、本来は姿が写らない写真で鏡子の結末を表現していたのが凄く良い演出だと思いました。


大陸シリーズとの関係も地味に描かれてた所もあり。
骨董店主、まぁ声や笑い方で分かりやすくクロユリなのだろうなと。
この世界観が「雪神一雫」を起点に、リアル現代寄りの世界→大陸シリーズ世界の時間軸にはなってると思ってて。
公式の年表でも地味に示唆している所があって、それを踏まえると「午前零時の賛美歌」は「雪神一雫」前でしょうか?
その段階でクロユリが変わらない姿で居るので、クロユリ相当な年数生きてますし、分かってはいましたが、まぁ人間ではないよなぁと。
それに加えて「3つ目の大戦」という言葉が出るので、第三次大戦が起こった後の世界なのかな?
少なくとも第二次大戦くらいまでは我々の世界と似たような時間軸をたどりつつ、その後、第三次大戦が起こった世界線みたいな感じなのかもしれません。
そしてその後に「最初の戦争」と呼ばれる物が起こる。
もしくは、三次大戦=「最初の戦争」で、「雪神一雫」後に三次大戦…「最初の戦争」が起こり、世界が分かたれて、大陸シリーズの世界(大陸世界)と現実っぽい世界…「午前零時の賛美歌」の世界(おそらく虚界と呼ばれている)、2つの世界が存在している?
前者なら「キザクラシリーズ」は「雪神一雫」前からあった事になりますし、後者なら虚界は未だに現代っぽい世界として続いていて、その虚界の中で「キザクラシリーズ」がある、という事に?
個人的には公式の年表を完全に鵜呑みにするなら前者の時間軸かなと思っています。
でも、後者の時間軸で、分かたれた後に大陸世界とまだ反映している虚界があってそれを行き来出来るならクロユリはマジ凄まじい存在になります、途方も無い年数を生きているにしても虚界を行き来出来るにしてもどっちにしても人智を超えているので、クロユリの事、凄く気になります、「ヴァージン・ロード」の続編はよ、はよ。
「白教会」は「雪神一雫」を見る限り、「最初の戦争」前からあるっぽいですし、EDで新太さんの所属だった事も明らかになりますし、「白教会」もまた鬼のように息が長い所だなと。
「白教会」、多分、リアル世界基準に考えるとキリスト教からの派生部署っぽいなとは思いますが、「白教会」の時点で大分本来の信仰は消えてるっぽいですし、そういう「本来の意味からかけ離れた宗教」みたいなの好きなので、信仰とかその辺りもまた気になります。


テンション高いハチャメチャなノリを楽しめたり、過去作と繋がりを楽しめたり。
個人的には小夜子さんと新太さんが変わらず夫婦(公式公認)をやっていたので満面の笑みで見続ける事が出来ました。
鏡子ちゃんも確かにヒロインとして可愛いけどポジション的には夫婦の子供ポジで、その子供が消えたから夫婦喧嘩(建前)が勃発する話だったと思います。
親子三人の仲睦まじい生活を眺める至高の親子(概念)ゲーでした。


とても楽しかった、楽しかったのですが…この感想がいつ投稿されるか分かりませんが書いている現在、2021年の6月。
この時点で今作が雨傘日傘事務所さんのノベルゲーム最終作になっていて。
ここまで辿って楽しかった反面、ノベルゲームは新しい作品が無いのだと思うと、ぐっ。
「神風剣士ロゼッタIII ~屍都の舞姫~」未プレイなので、まだ全部は終わっていませんが、ロゼッタはちょっと1、2にあたる作品も集めたい所があるので、よっぽど集まらなかった時にⅢだけプレイしようかなと。
「名無しの召喚師」「ヒロマギ」「シザンサスと月夜に踊る」、やりたい、やりた過ぎる。
吉里吉里を使えないわけじゃないとは思いますが、最近色々と使ってるサークル様を見かけないので何か規約が変わったのかな?と心配になっていて。
雨傘日傘さん作品の超演出は吉里吉里の機能があってこそなので、少し心配しています。
他のツールや後継機と言ってるツールだとどうしてもあの演出は再現出来ないと思うので。
そういうツール関係での難しい事は全く無い事を祈っています。
CG集も発売されていらっしゃいますが、ノベルゲームを、ノベルゲームの続きをプレイしたい!
いつかどこかで新作発表がある事を信じ、楽しみにしながら続きを待とうと思います。