ひっそりと群生

ひっそりと持ってるCDの情報やゲームの感想上げたり。購入物の記録など。気ままに。飽きっぽいので途中で止まったらご愛嬌。

【BITTERSWEET FOOLS】感想

【男性向け18禁】



なんとなくminoriのノベルゲーム作品を最初からプレイしたくなったので購入part1。



2001年08月31日発売
minori(解散)』※リンク先公式HP(18禁)
BITTERSWEET FOOLS】(PC)(18禁) ※リンク先wiki
以下ネタバレ含めての感想です。








Leafのゲームが一通り落ち着いたので次に決めていたminoriのゲームを開始。
minoriは全部ノベル系になるのでおそらく雑誌付録など以外は全部触れて行くと思います。


システム面は7ではインストールが難しかった為、『Inst2000』を導入。
インストール後は普通に起動可能。
ディスクレス起動は可ですが、ディスクが無いとBGMが再生されませんでした。
一応『_inmm.dll』に対応しているようですが、ディスク無しだとどうしてもBGMを再生しない仕様だったのとループはしないので、導入しなくても良いと思います。
プレイ時間は約6時間15分くらい。


今作は昔ちょっととある事情でエロゲ方面とは別の所で知りました。
イタリアのフィレンツェを舞台に三者三様の青年少女が織りなす群像劇。
主人公核はアランとパレルモという青年の2人が居て、それぞれのコミュニティの中で物語が進みます。
イタリアの雰囲気や空気感はとても最高。
2001年の作品ですが背景は流石のminori、未だに劣らない美しさを持っていて見惚れます。
人物絵に関しても他のギャルゲーとは一線を画していて。
他作だと大体視点側は画面に写らないのですが、この作品はヒロインと一緒に主人公側も常に画面に出るのが珍しかったです。
名義を分けていらっしゃらないので語りますが、本作の原画は相田さん、商業漫画の「GUNSLINGER GIRL」の作者様です。
一般商業漫画を描かれていらっしゃる方が名義を分けずにエロゲの原画をされるのは珍しいので凄く新鮮。
ですが元々「ガンスリ」は同人作で同人の方でも18禁を出されていらっしゃったりしたので、エロの方面を描かれる事自体にはそんなに抵抗などは無いのかな?とも思います。
今作「BSF」もエロメインの話では無いですし。
個人的には少年漫画家のエロとか普段エロを描かなそうに見える作者様の18禁大好物なので、人物画だけでもずっとテンションが上がっていました。
そもそも「ガンスリ」でもですが、相田さんは青年少女に定評があるので、青年少女スキーとしてはたまらなかったです。


ただ、話が、うぅん…若干没入しにくい所があり。
今作ちょっと特殊な構成で、全20話なのですが、一周目だと話数が飛び飛びで進みます。
いきなり6話から9話に飛んだりするので、プレイ中に???となり。
全部の話を見る為には三周必要という作りになっています。
なので、初回だと鉢植えやトランプなど重要そうに見える物などが出てきますが、重要になるエピソードを飛ばしていたりするので、意味が分からないままに進むという。
周回をする毎に「あ、そういう意味だったのか」と思う箇所が出てくる構成なのですが、正直一周で全話回収で良かったのでは?と思ったり。
結局二周目以降になると既プレイの話はスキップするので、周回は没入度が下がる部分があって。
一周で全話回収とかにしていた方が綺麗に没入出来たなーとは思いました。
あと、群像劇で様々な人の視点で進む話になるのですが、コロコロ視点が変わってちょっと忙し過ぎました。
5分~10分単位で視点が変わる上、変わる際にアイキャッチやメッセージウィンドウの色変更なども無い為、そのまま読んでいるといきなり一人称で別の人物になっている事に気付く事が多く、「え、視点変わってたの?」と多々困惑しました。
そういう風にコロコロ変わる為、一人の視点で心情を追っていく事は困難でキャラの心理描写が弱めになっている所があるなと。
一話につき視点は一人にした方がもっと没入出来ると思ったのと、周回を前提にするなら一周目はアラン編、二周目はパレルモ編と、周回で主人公を分けるでも良かった気はします。
目指したのは映画らしく、映画の手法だと確かにコロコロ映す人物が変わって進むのも有りだとは思いますが、文章を読むノベルゲームでこれだけ視点が変わるとちょっと読んでて忙しくなってしまいます。
文章自体も場面転換する毎に三人称と一人称が入り乱れるので、かなり読んでて疲れた部分が大きかったです。
話の大筋も大きく途中で物事が変わるなども無く、一周目で大体分かるので二周目以降がかなり空気になってる所もあって。
後半で今まで無かった「天使」や「死者蘇生」みたいな設定が出て来ていきなりファンタジーになりますし、雰囲気は良いのですがもう少し順序立てて色々途中で仕込んでて欲しいなとは思いました。
少女達との関係も、青年少女は好きなのですが、いまいち恋愛になった過程が分からず。
家族や妹みたいな気持ちを抱くのは分かりますが、恋愛にはあまり結び付かない男女だったのでエロになるのに違和感があった所があります。
エロ有りの恋愛カプでストンと受け入れられたのはエリチェとユーンくらいかも。
このコロコロ変わる群像劇の忙しさだと難しいとは思いますが、もう少し少女達との心の交流を描いて欲しかったです。
各キャラの過去も結局口頭で語られるだけなので、内面に寄り添う事は困難で。
過去回想が少しでもあれば良いなとは思いました。


あとは、相田さんの絵柄の問題もありますが、あまりにもロリが多いなとは思ったり。
青年少女大好物ですし、相田さんの青年は格好良く少女も可愛いのですが、全カプが青年少女だと若干違和感が。
ものの見事に出来上がるカプ全部が青年少女で。
いや、好きだけど、好きだけど、好きな物も全部同じ皿に積まれたら胃もたれを起こします。
一組くらいは同年代くらいのカプがお茶請けとして欲しかったです。
エロ自体は最高なんですけどね…少女側は経験無く、青年側は20越えてるのでそれなりに経験有りの青年少女、好き。
それと折角「ガンスリ」を描いてる相田さんなのに、戦闘CGが無いのは何事か!と本気で思いました。
銃持ってるシーンが少な過ぎます!殺し屋とか裏社会の話なのでもう少し戦闘面でのCGが欲しかったです。
相田さんでそこに期待してた所もあったので、悪い意味で期待を裏切られました。


音楽は普通。
音源は凄く懐かしい音なので00年代前半の空気を感じます。
全体的にオシャレだとは思いますが、「この曲が好き!」は特に無かったかな。
システムは2001年にしては履歴も有りますし既読スキップもありますし、快適な方。
履歴は履歴ボタンでしか開けないのと履歴ボタンを再度押さないと閉じないので、不便ではありますが、年代を考えると履歴があるだけで儲けもんでした。


minoriの処女作であり、minori作品の中でもちょっと異彩を放っている本作。
地味にPS2SIMPLE2000シリーズで移植されており、そちらはフルボイスという。
OPも今は超有名監督の新海さんだったり、その後minoriでムービーを作られてたり。
色々と歴史の一端に触れられた気がします。



プレイ順は
1周目→アラン編→パレルモ
の順で攻略



『1周目ルート』
ぶっちゃけこちらの方がアラン編な気も…
一周目は上記でも書きましたが話が飛び飛びなのでなんとなくの流れしか分からず所々で困惑します。
でも、エロはティもレーニエも通るので、正直構成は一週目はエロ無し、二周目からエロ有りで二周目でティのエロ、三周目でレーニエのエロとかがあった方が二周目のドキドキやお楽しみがあったのでは?と思わなくも無いです。


『アラン編 ルート』
殺し屋とかギャングの話。
ただ、「命がけの戦い」みたいにwikiには書いてありますが、戦闘はCGも無くサクッと終わりさほど緊張感が無い為、ほのぼの方面は楽しめてもシリアスがいつの間にか終わってた印象。
兄との一件もいつの間にか終わってました。
ティがお嬢様系であり出来る事が少ない上に行動だけは起こし迷惑だけかけるタイプのヒロインだった為、ストレスに感じた所もあります。
カプとしてもそんなに刺さりませんでした。


パレルモ編 ルート』
あの家のメンバーの過去がずっとぼやけているので、どうも距離感が最後まで遠かったです。
過去回想が口頭のみでサクッと終わるのが問題な気が…なんとなく「こういう事があったんだろうな」とは思いますが、そこまでというか、あまり寄り添えない感じ。
レーニエとフランチェスカの件も「結局二人はどういう関係だったのか?」と謎のまま。
「天使」とかそういう存在なのは分かりますが、後半でいきなり設定が出てくるので置いて行かれました。
エリチェとユーンの関係はめちゃめちゃ好きです。



雰囲気と絵は最高なのですが、話の没入度では…という感じ。
一話一話短く読みやすくはあったのですが、もう少し視点キャラを絞った方が感情移入出来たなとは思います。
ただ、最後ギリギリまでアランとパレルモは会う事は無く、ラストに駅で話し合って別れるだけ…というEDは好きでした。
ダブル主人公同士に接点は無く、最後だけ出会うというのは洋画チックでロマンがあります。


minoriは今後、既に触れている「ANGEL TYPE」以外に触れて行こうと思いますが、ちょっと次回作の「Wind -a breath of heart-」が思い入れがあるのでPC版に触れるのが楽しみです。





…で、今作、実は自分が盲信しているとあるフリゲの公式HPで一時期「今作をパクっている」的な話が出た際に知った経緯があります。
実際今作が2001年でそのフリゲが2003年なので今作が先なのですが、信者的な怒りと同時に「そんなに似てるのか?」とずっと疑問でした。
否定したくても実際に両者をプレイしないと判断は出来ない、と、今回ようやくその答えを自分なりに見つける事が出来ました。
人物の絵柄、西洋的な街並み、話数構成、視点が交代する、一人称の人物も画面に写る、無愛想な青年と純粋な少女の青年少女、テロリスト、少女の不思議、ラストに街を少女と二人で抜け出す。
うん、確かに類似点は多い、多いのですが、個人的にそういう類似点で言うなら正直フリゲの方が上位の互換性が高いという感じでした。
信者目線なのはありますが、それを抜きにしても「話数が少ない上で一話が長く没入度が高い」「コロコロ視点を変えず一話一視点の為、忙しくなくのめり込みやすい」「登場人物が必要最低限の為、空気なキャラが居ない」「青年少女だけでなくそれぞれの年齢の男女カプが居る」「少女の不思議が最初から提示された設定でしっかりと語られる」「過去回想がある為、過去に構築した関係を受け入れやすい」「ぶっちゃけ文章力が高い、いたる所で伏線を張ってちゃんと回収しているのでカタルシスがある」などなど、本作で不満に感じた部分をしっかりとカバーしていて。
作者様は本作を知らないと公言している為、並べるのはおかしいですが、それでも今も尚、設定や雰囲気、絵柄で「パクリ」と言う人が居たとしたら、両作をプレイした自分は反論出来る資格を得たなとは思っています。
盲信者なのでどうしてもフリゲの方に肩入れしてしまう所はありますが…そこはうん、仕方ない。
ですが、今回長年気になっていた今作をプレイ出来て良かったです。
プレイしないと何も言えないので、これでようやく色々と語れるようにはなったとは思います。



※ゲームの攻略で検索される方がいらっしゃるみたいなので参考にさせて頂いた攻略サイト様を失礼します。
 参考攻略サイト様:愚者の館(アーカイブ) 様
http://sagaoz.net/foolmaker/
 BITTERSWEET FOOLS ページ
http://sagaoz.net/foolmaker/game/h/bittersweet.html