ひっそりと群生

ひっそりと持ってるCDの情報やゲームの感想上げたり。購入物の記録など。気ままに。飽きっぽいので途中で止まったらご愛嬌。

【ヤミと帽子と本の旅人】感想

【男性向け18禁】



2002年12月20日発売
ROOT(解散)』※リンク先公式HP(18禁)
ヤミと帽子と本の旅人】(PC)(18禁) ※リンク先wiki
以下ネタバレ含めての感想です。








プレイ時間は約8時間15分くらい。
7でもインストール可。
ディスレス起動可。
こちらは再プレイになります。


フリゲや同人ゲームはもう諦めましたが、商業はプレイ本数が少ない為、全部感想を書いていきたいと思い再プレイ。
5年以上前ですが一度クリアしている為、なんとなくの物語は覚えていました。


アダム、イブ、リリスという旧約聖書の創世を下地に、一つの世界が一冊の本であり、その本を大量に管理する宇宙にも匹敵する広さを持つ図書館と図書館の管理人が存在するという独自の世界観をCARNELIAN氏の美麗なイラストときらびやかな背景で表現したハイテンションギャグあほエロ作。
いや、本当に、ギャグあほエロ作です。
パッケージやメインビジュアルからは想像も出来ない程のテンションが詰まっています。
見た目からはそれはもう話もきらびやかで美しい世界を渡り、美しい物語が詰まっているんだろうなーという想像を掻き立てるのですが、「美しい世界」の部分は合っていても、美しい物語というにはテンションが突き抜けています。
「美しい物語」にシリアスを求めているのなら完全に回れ右。
綺麗な絵で可愛いキャラ達がアホな事をし続けるのが大好きな人は寄っといで、そんな作風。
色々と謎が多そうに見えますが、見えるだけでそんなに謎は無く、むしろ解明されないあやふやなままで終わる設定が多いです。
そういう曖昧さが世界観を盛り上げるので好きな人にはたまらないかもですが、分からない事が多いのが苦手な人には辛いかも。
というか世界観や雰囲気や絵を楽しむゲームであり、地の文はほとんど無く会話で進むので繊細な心理描写などは無い為、シナリオ、話に期待を寄せる作品では無いとは思っています。


作中で判明する事は少なく、作品内よりもwikiの方が詳しく設定が載っているというのもまた、なんとも言えません。
本作はROOTの母体で今は無きオービットのお祭りディスク的な要素が大きいです。
登場キャラのリリスと初美以外の人物の殆どが過去作の登場キャラと関係があったりします。
「トーラス・ゼロ」「ファナティカ」「顔のない月」「LUNAR CAGE」「ぷにぷに☆はんどメイド」「パッショネイトラブ」「無幻飛行」という作品郡からの出演で、ほとんどの登場人物がスターシステム状態。
キャラの関係も何かこの人達は関係ありそう…という空気を含みつつ今作では語られないので他作を知っていないと楽しめないような部分が大きいです。
しかし、そういう空気を作りつつ一番面白いのが、この作品群、ほぼ設定や告知が数回があっただけで未発売という。
発売したのは「ファナティカ」「顔のない月」「ぷにぷに☆はんどメイド」の3作品のみという。
どの作品も気になって調べましたが全くヒットせず不思議に思いましたがそりゃヒットしないはず、発売してないんだもん!
アーヤとかケンちゃんとか気になる部分が多いのに肝心の設定部分の作品が未発売なんですもん!
いやぁ、こんだけ詰め込んだメーカーのお祭りゲーを販売しておいて詰め込んだ元の作品が未発売なの、この業界らしいっちゃらしい。
「トーラス・ゼロ」「ファナティカ」はBLゲームみたいですし、男性向け作品に姉妹会社とはいえBLゲームのキャラをぶっこむの、凄く挑戦的ですが、オービットとかCARNELIANさんっぽさは確かにあります。
結局オービットが解散しているので、キャラとキャラの関係は闇の中。
世界観や雰囲気で気にしなくても良いような流れは出来ていますが、そういう部分が気になり過ぎる人には本当に合わないとは思っています。
雰囲気ゲーを雰囲気ゲーとして楽しみ、お祭りゲーのはっちゃけたテンションを楽しめる人向け。


そういう独自の方向に突っ切っている作品ではありますが、今作は地味にアニメ化もしています、今考えるとこれをアニメ化したの豪快だなと。
今でこそ「世界が収納された世界」など見かけますが2002年では独特な設定で、世界観と雰囲気はピカイチ。
2002年以降の作品でいくつか今作の世界観に影響を受けたのでは?と思う作品をいくつか見かけるので、設定の影響力は大きかったのかな?と思ったり。
自分も「ヤミと帽子と本の旅人」というタイトルに惹かれ、実はアニメから入ったクチでした。
このタイトルは本当にズルい、個人的にエロゲの好きなタイトルの上位に間違いなく入ります。
ただアニメは世界観や設定、キャラは引き継ぎつつも話は全く別物になっていて。
ゲームがギャグあほエロならアニメはシリアスと耽美エロスに全振りという感じ。
アニメを3周くらい見ていますが、原作をプレイするとよくこの話をシリアスに出来たなとつくづく思います。
今作の主人公が各世界で各世界の肉体に憑依して行くのと根底に特殊な設定がある為、アニメ版では主人公にするのは難しいとは思いますが、一度憑依した先でありゲームでは数回しか登場しない葉月という少女が主人公になっており、原作→アニメの人は絶対に驚いたかと。
そしてゲーム主人公は全く登場せず、葉月が主人公になった事で百合アニメになるという。
おそらくエロゲのアニメ化で最も内容が変わった作品ではないでしょうか?
しかし、内容が180度変わってはいましたがアニメとしての出来はめちゃくちゃに良く。
作画崩壊無く毎話美麗に図書館世界が描かれ、更に話も「消えた初美を探す旅をする葉月」が中心になり初美と葉月の関係がゲーム以上に丁寧に描かれ、シリアスにそしてとても美しい百合作になっていました。
結構叩かれそうな事をしていたのに「ヤミと帽子と本の旅人」にシリアスを期待した人間からしたら大変満足の行く作品になっているという、そして百合が好きな人からは称賛されるという不思議なバランス感覚。
いや、本当に、絶妙にアニメ化したなと思います。
自分はアニメ→ゲームの順にプレイしたのでテンションのギャップに驚きましたが、どちらも有りだと思えたので、多分この世界観と設定が強いのでしょう、それだけ独特でした。
美しい世界観でゲームとアニメでギャグあほエロとシリアス耽美エロをそれぞれで摂取出来る、一粒で二度美味しいと個人的には思っています。
あとガルガンチュアとジルの一件は実はアニメで大きく語られるので、一部分の設定はアニメで補完している所がありました。
そういう意味でもアニメはかなり重要な位置にあるのかなと。


絵は上記で語った様に本当に綺麗、背景、人物画どれをとっても完璧。
特に背景は世界自体の背景を写し、別枠で今居る場所の背景をボカして表示する見せ方は雰囲気作りに一役買っていました。
ボカして表示された室内などはちゃんとテキストに反映され、室内が散らかった表現があると背景の室内も散らかったり、花瓶が乗る描写があると花瓶が追加されたりと細かく。
まぁ一番はCARNELIANさんのイラストですね、あのフリルを多用したドレス、そしてそういう洋服を着る沢山のキャラクター。
フリルの中に刺繍とか描いちゃいますし、服飾に関しては本当に恐ろしいイラストレーターさんです。
絵を眺めているだけで時間が過ぎる時もあるくらい、視覚的満足度は高いです。


エロはエロいというよりも話がギャグあほエロなのでまぁ。
絵的にはエロいですがシチュエーションがアホな事が多いのでエロよりも笑いが勝る部分が大きかったです。
初っ端から「錬金術の世界」でリツコに召喚され襲われ食われますし、そういうアホなテンションで襲われたり襲ったりするノリ。
そういうアホなノリが多いからこそなのか、メイリンが村人に襲われる(挿入までは無し)シーンは逆にエロかったです。
アホな中で可愛そう系統のエロシーンが来るの、ギャップがあって良いですよね、エロいと思います。
…というか、エロに関しては実はアニメの方がエロいという。
アニメではエロが多いというよりもキャラクターの一挙一動の動きや塗りがエロかった記憶が。
空気感がとにかくエロい上、ゲームでは濡れ場無し、全く脱ぎもしない葉月に自慰シーンがあるという。
深夜枠とはいえ、当時DVDで見て「マジかよ…」となりました。
正直ビジュアルでは葉月が一番好みなのとアニメから入ったのでゲームでは葉月に一切濡れ場が無い事にゲームプレイして嘆きましたが、アニメでの自慰シーンはゲームの補完だったのではないかな?と思うくらいにエロいです。
というか、葉月に玉藻の前に、好きなビジュアルと性格のキャラにはゲームでエロが無いというのが個人的に今作で一番の悲しいポイント。
なんで、なんで無いんだよチクショウ、触手でも良いからあれよ、脱いでくれよ。
葉月に対しての悔しさはアニメの方でなんとか補完出来るかなと。
玉藻の前に関しては、本当に残念です、はい。


音楽はほぼ無し。
アニメから入った時に話の変更と同時に一番驚いた部分でした。
アニメではバンバンBGMが流れる+そのBGMがサントラを買うくらいに良かったので、ゲーム内で一部分以外はほぼ汽車の音や風の音などのSEだけで「無音!!?」となりました。
イメージ曲集のようなサントラは付いていますが、その曲が作品内で流れる事は無し。
調べるとBGMほぼ無しで作る事もまた挑戦の一部だったらしく、世界観といい色々と挑戦的だなぁと。
アニメ版のサントラですが「葉月」「暁の陽を浴びて」は一聴の価値有りです、今でもループするくらいに好き。
声は悪くは無いですが、アニメから入ったので仕方ないとはいえ違和感を感じました。
こちらが原作なので自分の感覚のせいではあります。
基本はどのキャラも可愛い声なのでアニメ版とゲーム版でさほど違和感は無いのですが、葉月がなぁ。
ゲーム版で「葉月こんなに原作で声可愛かったんだ!!?」と驚きました。
アニメ版では主人公でボクっ娘で凛々しく戦う上、中の人が能登さんなので、カッコ良さやクールさの方が強く。
見た目の黒髪ロングにセーラー服も相まって儚げだけど強さがある、まさに百合作品の主人公のような貫禄。
ゲーム版では岩田さんの声の可愛さの方が強く、話し方がゆっくりなので、ポヤポヤボクっ娘という感じに。
メインビジュアルで剣を振るっている姿に合うのは個人的には能登さんの方がしっくり来るなぁと。
ただ、その剣を振るう姿はゲーム版では主人公が憑依した上での姿で本来の葉月は病弱で運動神経が良くないらしいので、ゲーム版での元の葉月は岩田さんの声の方が本来の気質なのかなとは思っています。
かなりアニメ版とゲーム版で差異があるキャラなのでそこは仕方ないかなと。
初美は喋らないですし、リリスちゃんは…リリスちゃんでしたね、どちらもはっちゃけてて良し。


一度プレイ済みでしたが、当時のプレイとアニメ版を思い出しながら楽しくプレイ出来ました。
「世界は一冊の本」というタイプの初期の作品なのではないでしょうか?
2002年での独自性の強い世界観を楽しめる雰囲気メーカーお祭りゲーでした。



プレイ順は
初美→ノーマル→リリス
の順で攻略



『初美 ルート』
彼女が世界を旅する理由がwikiでかなり明確に「男漁り」と言われてて笑います。
作中からそんな気はしていました。
リリスが見た目や言動ビッチの処女なら、初美は清楚系ビッチ。
なんだかんだ美味しい所を笑顔で全部持っていくタイプ、嫌いじゃないよ。
でも、博愛主義というか全てを愛してるのは本当なんだろうなぁ、なんたってイブなので。
全部に愛を平等に向けた結果、沢山の男に惚れられ全員平等に愛を注いでいるという、まさに魔性の女。
ヤミ・ヤーマ…アダムの二番目の奥さんで彼女から人間が沢山生まれたので分かりやすく超非処女。
ただ、世界を移動する度にリセットがかかり赤ん坊から始まるので、移動した世界では処女スタート。
それにアダムはある意味主人公の大本にもあたるので、イブの初体験が主人公とも取れなくも無いのかな。
設定が特殊なので処女非処女の話になるとかなりかなり難しい事になります。
彼女が移動した世界で話せないのは話すと魔力が暴走するからという設定はゲーム版の初美ルートのラストで明かされアニメ版では明かされないので、アニメでは何故話せないのかは謎のままでした。
ゲーム版ではギャグ要素が強いのもあって男を惑わす無邪気な魔性の女という感じですが、アニメ版では葉月視点だからか淡く優しく、そして彼女が消えた事で旅が始まるので「不思議な要素の詰まった儚い女性」という印象。
そういうイメージの違いもアニメをシリアスにしていました。
ノーマルルートラストで「葉月と感動的な別離をした」というのが語られますが、ゲーム本編では描かれず、その「感動的な別離」はアニメ版で描かれるので、そういう要素を求める方はアニメを見るのをオススメします。
ゲーム版では葉月の世界に主人公と一緒に戻り、葉月と主人公と一緒に生活するという普通の道を選んでいて、ハッピー寄りはゲーム版かなと。
主人公と一緒にイチャイチャしてて下さい、あと地味に向日葵畑でのエロはエロかったです。


『ノーマル ルート』
ガルガンチュアにヤミ、図書館の管理人の権利が移った中盤の後、他の世界で女の子とエッチするとこのルートに。
まぁ、ヤミの権利が初美に戻り、リリスも自由気ままに世界を渡っているみたいで。
初美とリリス、どちらとも深い関係にはなりませんが、立場的に元の鞘に収まったのはこのルートな気もします。


リリス ルート』
リリスちゃん万歳!
金色の長い髪の毛がフワッフワでキッチリしたような服だけどガーターがエロいし下は破れたようなマントと帽子が異色で彼女のビジュアルが最も目を引くかと。
彼女が膝を抱えて巨大な図書館に居るメインビジュアルは未だに惹かれます。
言動はビッチなのに実は処女なリリスちゃん、かわいいよ、リリスちゃん。
まぁ、でも、本体が処女なだけで、分身した方は色々な経験持っているらしいので、そこはなんとも。
今作、設定が設定なのでそういう処女カウントして行くとめちゃくちゃ面倒になります。
感覚的には耳年増な感じかな、リリスちゃん可愛いからそれで良いよ。
実際、初美よりもリリスの方が好みです。
初美のニコニコ清楚ビッチっぷりもある種のしたたかさがあって嫌いじゃないですが、初美はリリスの言う通り皆に愛されていて「初美、初美、ジル、ジル、イブ、イブ」言われてて、なんというか贔屓感が強いんですよね、葉月の記憶とはいえ主人公に最初に想われているのは初美ですし。
ニコニコ笑顔の博愛主義なのでそうなるのも仕方ないですが、結局アダムの奥さんになったのもイブだし。
それを見ているとリリスがなんだか不憫で。
「別に初美は自分が愛さなくても他で愛されてるから大丈夫なんじゃね?」「自分が愛さなかったらリリスちゃんはどうなるよ?」みたいな感覚に襲われリリス派になるという。
一種の同情ですが、「俺が愛さなきゃ!」になる要素がある時点でリリスちゃん強いです。
その上、「イブは嫌いだけど、消えて欲しいわけじゃない」とか、アダムの奥さんでなくなった後もなんだかんだ魔王の一人として人生謳歌してたりとか、最終的に奥さんでなくなった理由は明かされますが、それでも自分も捨てられた側で結構リリスの境遇も厳しいのに「自分自身の事を不幸だと思ってる奴はムカつく」と自力で這い上がり明るくテンション高かったりとか。
いや、こんなん、好きですわ。
悪どい事を色々考えてるけど見え見えな強く逞しい女性好きなのでリリス派になるのは仕方ないなーと。
再プレイなのもあって、ラストはリリスルートで締める事にしました、リリスちゃん万歳!
アダムの一部ではあるけれど、別の自我を持ってその自我でリリスを選んだ主人公と昭和の横丁みたいな場所でイチャイチャし続けて欲しいと思いました。
面倒な事を押し付けられたセイレンは大変そうですが、まぁ、セイレンだししっかりやるでしょう。
セイレンと同じ世界で暮らす事もセイレンとの和解っぽくて好きです。



学生時代にアニメに触れていて、商業エロゲも初期の方に触れた作品だったので思い出深い一作。
今回、感想を書く為に再プレイし、今の感覚でまた楽しむ事が出来ました。
思い出補正もありますが、この世界観はやっぱり好きです。
DVD-BOXのCARNELIANさん描き下ろしの葉月とリリスのイラストをネットで見てやっぱりこのイラストが好きなのと懐かしい気持ちになったり。
ファンクラブ会員用ソフトに「コゲとリリスのナハトムジーク」というリリスメインの話もあるらしく。
リリスちゃん万歳!のリリスちゃん派としては機会があったら手に入れてみたいと思います。



※ゲームの攻略で検索される方がいらっしゃるみたいなので参考にさせて頂いた攻略サイト様を失礼します。
参考攻略サイト様:妄想天国 様
http://adusa-ciel.my.coocan.jp/index.html
 ヤミと帽子と本の旅人 ページ
http://adusa-ciel.my.coocan.jp/yami-bou/yami-bou.htm
参考攻略サイト様:X-GAME STATION 様
http://xgamestation.net/
 ヤミと帽子と本の旅人 ページ
http://xgamestation.net/koryaku/2002/yami/yami.htm