ひっそりと群生

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【君と遺書と録音テープに。】感想

【女性主人公15禁】



2020年12月25日配信
アングラ人鳥歌劇展』様 ※リンク先公式HP
君と遺書と録音テープに。】(PC&ブラウザ)(15禁) ※リンク先ノベルゲームコレクション
以下感想です。








一番大好きな貴女へ捧ぐ、最後の言葉。



『風花 一(ふうか はじめ)の友達、廿日耳(はつかじ) ほたるが自殺した。
 遺書と録音テープを残して。
 風花 一(ふうか はじめ)は友達の廿日耳(はつかじ) ほたるが自殺した場所まで来た。
 遺書と録音テープを持って。』
(公式より引用)



プレイ時間は約8分くらい。
分岐無し。


友人の最後の言葉と、それを受け取った主人公の本心。
幸せを伝える事の呪い。



『システム、演出』
ティラノ製。
文字表示速度設定や音量設定は無し。
ですがプレイ時間的に不便には感じませんでした。


『音楽』
「自殺した場所」である駅のホーム、電車音のSEが常に響き心を掻き立てます。
最後に唯一流れるBGMである「蛍の光」の重々しさが凄いです。


『絵』
人物絵無し、背景は駅のホームのみ。
変哲も無い駅のホームですが薄暗くどこか淀んだ空気がありました。


『物語』
「自殺した友人の手紙を読む」、あらすじ通りの話ですが、死者の言葉の重さを痛感するお話でした。


『好みのポイント』
手紙を読み終わった後の主人公、一からほたるへの印象で「うわぁ…」となりました。
あぁ、世の中そんなもんだよなぁ…大変辛かったです。





以下ネタバレ含めての感想です





私の一番の貴女の一番は私じゃない。
これが本質だなと。
家庭環境や運が悪く色々抱えて幸福から遠い人間は周りと距離を置いている事が多く。
でも、一度でも自分の内側に入れた人間は凄く大事で。
距離感が分からないからその受け入れた一人に全体重委ねてしまう。
でも、その受け入れた人間は他にもコミュニティがあって。
だから、自分にとっての一番で唯一無二だけれど相手にとっては「沢山の友人の中の一人」くらいで。
その温度差がとても辛い。
それを直に感じました。


救いだったのは手紙を読む限りですが、ほたるはその温度差を感じて無さそうな所かな。
まぁ、でも、色々と気付く子ではありそうなので地味に一から自分がどう見えていたかは分かっていたのかも。
「一番幸せな時に死にたい」と手紙では明るく書いていますが、最後に言う通り間違いなく呪いで。
一が自分をどう思っているか分かってたから手紙すらも明るく振る舞い一の心に傷を残しているような気がしなくもないです。
一の最後の心象でほたるに対して優しくはしていたけれど友人の中の一人で特別な興味は無かったような事を言っていますが、こうやって遺書をずっと読み、ほたるの弾いた「蛍の光」をずっと聞き続けるくらいには呪われてしまったのだなぁと。
多分遺書の内容が一に対しての恨み言やマイナスを少しでも書いていたら一には一度読まれただけで終わったと思うので。
明るくただひたすらに「感謝」と「好き」を綴った死者の手紙は間違いなく一番の呪いの言葉だったのでしょう。


「友人の一人」くらいの扱いで全然気にも止めていなかったほたる。
けれど彼女の存在は一生、一に付き纏うのだろうなぁと、そんな風に思いました。
死してようやく「一の一番」になれる所が辛さと皮肉が混じっていて、短い中で人間の本質を感じる事が出来ました。