ひっそりと群生

ひっそりと持ってるCDの情報やゲームの感想上げたり。購入物の記録など。気ままに。飽きっぽいので途中で止まったらご愛嬌。

【星合いの空】感想

【男性向け全年齢】



2002年08月15日発売
『Earth Well(解散)』様
【星合いの空】(PC)
以下感想です。








背景と音楽のオーパーツ



『虫篭に閉じ込められた虫は
 必死に泣き続けていた

 「おにいちゃん、たすけて」
 正紀のもとに届いたその手紙が、遠い日の記憶の扉を叩く。
 忘れもしない八年前の夏の日に、
 正紀の家族は、原因不明の家事で命を落とした。
 そして、八年前の今になり、死んだはずの妹から来た一通の手紙。
 正紀は真相を確かめるため、全てを失ってしまった故郷に戻る。
 降り続く雨、梅雨の最中だというのに、
 傘も持たずに飛び出してきた正紀は途方にくれるばかり。
 そんな正紀に、一人の少女が、ビニール傘を差し出した。』
(公式より引用)



プレイ時間は約10時間15分くらい。
分岐有り、EDは6つ。


空に想いを馳せる少女達の物語。
ジャンルとしては伝奇+ほんのりSF風味。
攻略キャラが4人+1人でそれぞれにEDがあります。
それぞれの物語は独立しており、「全員の物語を読んで初めて真相が分かる」というタイプでは無い為、ジャンルに伝奇と言ってはみましたが伝奇に全くならないキャラも居ます。
独立型の為、話の出来はキャラ毎にかなり差があるかと。
話の作りとしては好みもありますが、
伊代>ユリカ>みなと>>春奈>>>華月
雰囲気は、
みなと>伊代>ユリカ>華月=春奈
文章は、
ユリカ>伊代=春奈>みなと>>>華月
キャラは、
ユリカ>みなと>伊代>華月=春奈
という感じ。


話は色んな部分で各ルートで差が出ており統一感が少ないと思う中で、背景と音楽がとにかく凄かったです。
2002年の同人として見るとオーパーツレベル。
所々で入る演出も良く、雰囲気で語るなら間違いなく高クオリティ。
背景と音楽に関しては今の同人でも十分に通用する強さがあります。
2002年の同人ゲーム史には載っていてもおかしくないレベルでした。
オススメプレイ順は話重視を後に回したいなら伊代→(春奈)をラストに、雰囲気を重視にしたいならみなとをラストが良いと思います。



『システム、演出』
機能は既読スキップは無しで全スキップのみ。
OP、EDムービースキップ不可など時代を感じますが、時代を考慮に入れると読んでいて不便ではありませんでした。
OPスキップは出来ないので、7月1日最初の選択肢の時点でセーブを推奨。
初回にはバグ有り。
その関係でバージョンが「2.21」と「2.22」があり、「2.21」の方にはパッチがあります。
一応『アーカイブ内』(※リンク先アーカイブ)で入手可能。
ただ、「2.22」にしても春奈EDとみなとED2でEDに入る際に落ち、落ちた後には一部おまけでのCGモードがリセットされます。
なので、CGコンプを目指す場合は春奈EDとみなとED2は最初に回収推奨。
みなとED2にはCGが無い為、両方一度読んだ後に伊代ルートに行き、ED後に再び春奈ルートに入り、バイクのCGでタイトルに戻ると春奈のCGも回収されたままになります。
春奈EDとみなとED2以外のEDでは落ちる事は無かったので、他はおそらく大丈夫かと思われます。
CGは攻略サイト様を見ても伊代のみ埋まりませんでした。


『音楽』
本作の目玉かと。
自分が一番最初に買った同人ゲームのサントラが本作のサントラでした。
某動画で同人音楽を検索していた際に今作のサントラに行き着き、曲に聞き惚れ購入。
後にも先にも曲を聞いて曲だけで買った同人ゲームサントラは本作のみになります。
どれも聞き惚れる曲ばかりですが、和の曲が好きな人にはたまらない曲ばかりかと。
「メインテーマ」「オープニングテーマ」「ユリカ」「オルゴール」「夕暮れ」「草薙」「星合いの空」は破壊力が凄いです。
この感想を書きながらサントラを聞いていますが、このサントラを購入して良かったと今でも思います。
音楽鑑賞モードは搭載されていない為、もし今作をプレイされた方で音楽を気に入られたら是非サントラもご一緒にお手元に置くのをオススメします。


『絵』
人物画は普通、ただ2002年の同人と考えると差分が豊富で上手いと思います。
年代を考えると商業と並んでも良いくらい。
サブキャラだけでなく脇の脇キャラにまで差分があるので動きが楽しかったです。
そして背景の美しさが異常、美し過ぎて見惚れました。
背景鑑賞モードがあるのですが、この背景の為にプレイして良かったと思える程。
朝昼夕夜の差分と天気の差分まで有り。
一応は栄えているけれど田舎寄りの背景が郷愁を掻き立てました。


『物語』
伝奇…ではありますが、伝奇にならないキャラの方が多いです。
物語の謎要素を回収するのは約2名のルートで残りは全く別の話に行きます。
別の話に行く流れでも良かったのですが、話の軸とはブレる為、どうしてもキャラにより物語の厚みに差が出たとは思いました。


『好みのポイント』
どうしても背景と音楽!になってしまうのですが、話としては春奈ルートが「そう来たか!」となり好きでした。
まぁ確かにそうなる方が自然だよね…と納得しましたし、好みは分かれそうですが自分はあの流れが好きなので凄く嬉しかったです。
ジョニーが良い感じに目立って最高でした。





以下ネタバレ含めての感想です





プレイ順は
伊代→春奈→ユリカ→華月→みなと
の順で攻略



『川上伊代 ルート』
主人公が舞台の街に辿り着いた目的が「亡くなったはずの妹の手紙」なのですが、このルートで全てが明かされます。
よってこのルート以外の話が薄く感じるという。
主人公の家系やこの街に住んでいた理由など、「炎の神」などが登場し「神」との戦いがあるので伝奇色が一番強いルートでした。
ギャルゲーではありますが伊代と恋愛にはならず、良い兄妹のままで居続けるので、リアル兄妹の親愛関係が好きな自分としては結構二人の関係が好きです。
恋愛にならない分、謎の解明を全て詰め込んだ、そんな感じのルートでした。


『小早川春奈 ルート』
伊代ルートからの派生。
「炎の神」の力を手に入れる為に失敗率が高い事を告げずに儀式を行ったり、途中で手に負えなくなると逃げたり。
ヒロインとしては酷い、あまりにもクソ過ぎて「コイツとの恋愛とか想像出来ない…」と思っていましたが、まさかのジョニーとのカプになるとは…
儀式の途中で春奈を叩き目を覚まさせるのがジョニーなので、「ジョニー差し置いて主人公とくっつくのが想像出来ない」と思っていた自分としては最高の流れに「コレよコレ!」と。
ルート分岐があっても主人公と結ばれる訳では無く他キャラと結ばれたりして、恋愛でのヒロインでは無いような女性キャラ大好きなのでジョニーと結ばれた流れで一気に好きになりました。
好きな要素が来ると簡単に手のひらクルクルするのは仕方ない、許して欲しい。
キャラとしてはワガママで好きではないですが、話の流れは最高に好きなルートでした。


『双海ユリカ ルート』
全く本編に関わらない人。
「妹の手紙」などの要素は無かった事になり完全に独自のルートに行きます。
剣の道場の娘で、許婚がおり、許婚に剣で勝つ事で結婚を取り止める事が出来る為、戦うというお話。
一番オーソドックスで王道ですが恋愛物で見ると一番好きでした。


『美空華月 ルート』
緑髪に三編みにメガネというギャルゲーの不人気の要素を凝縮したようなキャラ。
実際に話もそういう所があり、後半唐突に病気の話になります。
今まで散々元気に見えたのでいきなりで「え!?」と。
毎日山に登ってお参りしてるのに倒れるような病気を抱えているというのはどうかと…
途中話しかけてくる謎の存在も謎のままですし。
みなとルートで考えると「月」かな?とは思いましたが、本作はヒロインの話が独立している為、他ルートの重要な要素が絡んで来るとは思えないんですよね。
なので結局謎のままですし、最後は目覚めますし…うぅん、都合良く終わった印象。
見た目や性格がそんなに好みではない所もありますが、それでも話も中々に好みでは無かったです。
文章も一番抽象的な表現が多かった気がしますし、このルートラストは推奨しないです。


『相沢みなと ルート』
7月7日を越えるとどのルートでも消える女性。
メインヒロイン、に見えつつ、全体の謎は伊代で回収するので、さほどメインに見えないという。
話の途中で「月」の話と昔話が出て来て、その昔話が実は彼女の話であったという事になるのですが、日数が短いので唐突に進んでいったように感じました。
もう少し伊代の一件と根幹の設定が絡むような部分があれば納得したり出来たのですがそういう事は無く。
彼女は昔から同じ日に捕らわれている。
七夕を過ぎたら再び別の時間軸の七夕前まで飛ばされて永遠を生きている。
伝奇というよりもSF色が強かったです、世界線みたいな。
でもその理由も「月」の声が聞こえた一族の末裔で、「月」が最後に声を聞こえたみなとを永遠の世界に捉えているという、なんとも傍迷惑なもので。
みなとも同じ時間を繰り返す事を辛がっているので完全に「月」の自己満足なんですよね。
みなとが同じ時間を繰り返す事にもう少しメリットがあれば「月」も庇護出来たのですが、永遠の命以外にメリットが無いですし、みなとも別に永遠を望んでいないので単なる迷惑野郎なだけという。
主人公が昔父から貰った青い石もルート分岐後に出てくるので唐突感が拭えませんし、ラスト月の元へ行ったみなとが戻ってきた理由もよく分からないままで。
「月」が二人の関係を見てみなとを戻そうと思ったのか、そこも謎。
メインヒロインですが、謎が謎のままで話では伊代の方がメインヒロインらしさがあったとは思います。
ただ、雰囲気はとても良かったです。
雰囲気を求めるならみなとをラストでも大丈夫だと思います。



全ルートで平均を叩き出すのではなく、話、雰囲気、恋愛、それぞれの要素を各ルートに割り振った、そんな風に感じました。
なので話に差が出る、みたいな。
ライターの方が4人居るのでその構成はまぁ仕方ないですが、「全員が実は根幹で繋がっていた」系よりかは薄くなりがち。
それを背景と音楽と演出でカバーしていた、そんな作品でした。
遥か昔に買っていたサントラのゲームに触れられて良かったです。
ずっと内容が気になってはいたので、十分本作を楽しんだと思います。



※ゲームの攻略で検索される方がいらっしゃるみたいなので参考にさせて頂いた攻略サイト様を失礼します。
参考攻略サイト様:東方で紅く萌える家 様(現在閉鎖)
http://www5.plala.or.jp/moe/
 星合いの空 ページ
http://www5.plala.or.jp/moe/kouryaku/hosiai.htm