ひっそりと群生

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【リアル妹がいる大泉くんのばあい】感想

【男性向け18禁】



2010年05月28日発売
ALcotハニカム』※リンク先公式HP(18禁)
リアル妹がいる大泉くんのばあい 】(PC)(18禁) ※リンク先wiki
以下ネタバレ含めての感想です。








おぅんごぅる(おるごぅる)さんの単独作に触れるのは7作目、「リアル妹がいる大泉くんのばあい」に。
プレイ時間は、約6時45間分くらい。
システム面は7でもインストール可。
ディスクレス起動可。


シナリオ、おるごぅるさん、原画、風見春樹さんのイージーオーコンビ+現在おるごぅるさんが所属する同人サークルやきうぶでも原画を担当されているタコ焼きさんとのトリオ。
こうやって時代を追って見ていくと現在の同人サークルの所属などで人の流れを感じて面白いです。


今作はおるごぅるさん単独作の中でも評判が良い作品だとはお聞きしていましたが、プレイしてかなり納得しました。
作品の隅々から「自分の今までの作品プレイしたかー!」「自分の妹萌を見ろー!」という熱いパッションを感じる感じる。
熱量が強く感じられ、これは確かに熱量だけでとても良いなと思えるほど。
ALcotシトラスではブランドの作風からか「静」寄りの作風でしたが、ALcotハニカムになった事によりかなり「動」寄りの作風に。
ノリやテンションはかなりイージーオー時代に近いです。
イージーオー時代のテンションの高いノリに加えて「しにきす」からの表現になった文章を短くする事で読みやすくなっている表現が続き、明るく読みやすいくとっつきやすい作品になっていました。
特に主人公がエロゲオタである所からかなりのエロゲネタが出てきますが、おるごぅるさんご自身の作品のネタが多く連続で追ってきたので笑わせて頂きました。
「うちいも」「しにきす」、基本はこのネタが多いですが、「うちいも」のNTRについての言及、ホモネタ展開に対してはおそらく「いつまでも…」からかな?「いつまでも…」でも文章で濃いホモネタルートをかました時には笑いましたが今作でもまさかの嫌味キャラ古賀が目覚めた展開には爆笑しました。
男性向けのホモネタ大好きなので、賛否は絶対に分かれそうですが(男性向けなのを考えると否が多そうにも感じる)。
他にもALcot本家のゲームタイトルネタ満載&自分は気付かなかったですが細かい所で元ネタがありそうなゲームタイトルが出てくる出てくる。
というかそもそも麻衣自身があの時代の妹キャラで有名でフルートをやってるという設定で既に「けよりな」からだと思われ。
更にはエロゲ内の友人の雫は「しにきす」の雫だと思われ。
でも、「しにきす」でも「けよりな」でも妹ルートはあったので、このキャラでルートがない設定はかなり不憫な子だとは思いました。
そういうエロゲネタ、そしてイージーオーをも巻き込んだご自身の前作ネタに「自分の今までの作品プレイしたかー!」のパッションを第一に感じ。
そして、今まで「いつまでも…」では冬美、「雨やどり」では茜、「うちいも」では優香、「しにきす」では雫という数々の妹キャラを描かれてきたおるごぅるさんですが、今作ではまさかの全員なんらかの妹属性持ちという。
三者三様の妹の立ち位置があり、それぞれが主張が強い物語になっていて、「自分の妹萌を見ろー!」のパッションを第二に感じました。
そういうパッションを感じたのもですが、エロ関係の性癖でも過去作を見てるとお察し出来るほど性癖が溢れていて。
絶対、おるごぅるさん、童貞小馬鹿にされるシチュ好きだ、と確信致しました。
途中の麻衣と美紀ルート分岐前の童貞罵られは過去作の童貞罵られシチュを見ていると性癖しか無い、パッションしか無い。
ノリノリで書いたんだろうなーというのが伝わりました。
そういう作者さまの熱量を感じ取れる作品が大好きなので、溢れ出る熱量大好きな自分としてはもう色々と満足。
過去作を知ってて「一粒で二度美味しい」を文字通り味わう事が出来ました。


溢れ出る熱量だけではなく、主張もかなり強くて。
美紀ルート、麻衣ルート、栞ルート、それぞれで違う兄妹観が描かれているのが面白く。
最後の真相に関してはちょっと予想の斜め上を行きつつも綺麗に纏められていて驚きました。
実際の妹が居る二次元妹萌えを持つ兄の元に、二次元の理想の妹が現れる、というのが始まりや触れ込みの内容でしたが…
麻衣の真相には驚きつつも、その真相があるが故に今作は「麻衣が主人公の作品」になっていました。
ALcotハニカムは「キッキン」の「実は出穂さんの物語」もでしたが、主人公とは別の位置に本来の主人公の立ち位置を設けてて。
そこが絶妙に面白い構図を生み出しているなーと。
主人公とのばらだったり、主人公と栞だったり、最後に結ばれる推しカプを見つめるお話。
俯瞰して主人公とヒロインの関係を見つめるお話大好きなのでこの構図が凄く好きでした。


絵は栞と美紀が風見さんで麻衣がタコ焼きさんかな?
見分けが上手く出来る人ではないので違うかも。
もし、その担当だったらリアル側と二次元側で担当原画家を分けたのは上手いなーと思いました。
そういうちょっとした所で差を付けるの、好きです。
絵はどちらもお上手、塗りも良し。
個人的には風見さんは等身高い方が好きなのですが、ALcotハニカムの作風を考えるとこの絵柄が正解だとは思います。


音楽はBGMはどれもシンプルに良さげ。
「ひたむきに、涼やかに」がここぞという時に流れて好きでした。
主人公の名前も入ってますし特別感あります。
歌唱はOPED両方片霧さん、EDの「Dear My Precious」が好きです。
OPを好きになる事が多いのですが、今作はEDが曲調などグッと来ました。
声はまぁALcot系列なので安定。
栞役の遠野さんはプレイ済みの作品で知ってるヒロインでは「Aster」で美幸、「けよりなMC」でシンシア、あと「スクイズ」アニメで魂の双子として言葉かな。
なんだろう、単純に上手い方ですが、栞のどこかツンとしつつも幼さが残った舌っ足らずな所がとても良かったです。
美紀役の日向さんは「キッキン」で志乃役でしたね、「キッキン」の時のハイテンション高音も良いのですが、美紀のイケイケギャルっぽい話し方も良かったです、むしろ時々兄の彰にツッコム際に低い声が聞けたのですがそれがドツボだったのと、かなり童貞罵りエロが多い子なのですが、罵る際の声が最高でした、エロゲ声優さん強し。
麻衣役の氷川さんだけは本当に見かけなくて、多分おそらくどなたか表の方の裏名義かとは思うのですが情報が一切無く。
上手いと思います、二次元妹もそしてリアルでも、おそらく麻衣と舞は同じ方ですよね?
麻衣の場合は萌え声MAXなのに対し、舞は落ち着いた声質で演じ分けが凄いなと思いました、本当に、どなたなんでしょう。


エロは上記でも書いたように童貞弄りシチュが多い、パッション!パッション!!
そちらには性癖直結の熱量を感じましたが、栞ルートのエロでは萌えとしての熱量が高く。
「今作の推しカプ、涼と栞のエロを見てくれ!!」という同人誌などで自分の推しカプを全力で描かれている時のような熱量を感じました。
あー、今作で一番書きたかった二人なんだなーというのが随所から伝わり、とても良かったです。
やっぱり今作は涼と栞の物語なんだなー。


栞はおるごぅるさん単独作品でおそらく初めての実妹キャラなのかな?
義理では沢山の妹を描かれたおるごぅるさんですが、実妹でも氏の主張はとても熱く。
「どんな妹でも妹が好き!!!」という作者の好きが伝わって来る、とても良いゲームでした。



プレイ順は
美紀→麻衣→栞
の順で攻略
栞は最終ルート固定



『妹尾美紀 ルート』
親友の彰の妹ルート。
でもこのルートはあれですね、主人公と美紀のカップルルートではなく、完全に彰と美紀の兄妹ルートでした。
彰と美紀、恋愛感情は無いけれど絶対的な兄妹の繋がりがある二人。
美紀と主人公は確かに恋人として付き合うけれど、彰と美紀にはまた割り込めない今までの人生があって。
特に何も言わないけれど、信頼し合ってる彰と美紀が最高に良かったです。
決して男女にはならないけど、主人公は彰の関係よりも美紀には近付けないんだろうなーという空気感が最高。
恋ではなく愛で結ばれ決して付き合いはしない男女スキーなので彰と美紀の関係は好みド直球でした。
「エロゲ的な関係にはならなくてもシンプルに信頼し合ってるリアルな兄妹が好き!」というのが伝わって来ました、良き。
河原で殴り合って夕焼けの中で主人公と彰が寝転がり、美紀が主人公に膝枕をしているCGが3人の関係を示していて、好きです。


『大泉麻衣 ルート』
二次元妹。
肉体関係を持ち大好きな関係になるけど、最終的には栞を推すお話。
というか彼女の真相、境遇がかなりトリッキーというか。
二次元から出てきた妹…に見えて本当は父親の再婚相手の女性の病弱な娘の舞という少女が彼女の真相になります。
この真相を知ると彼女のルートで途中でぶつかった顔色が悪そうな女性が本当の母親だと後から分かる仕組みに。
つまり父親が再婚すれば義妹になる子で、肉体は二次元キャラから与えられていますが、二次元的な設定としての義妹ではなく、本当に義妹になる可能性を秘めていた少女。
彼女が母から兄になる男性、主人公の事を聞き、主人公の事が気になり、病弱でおそらく死の淵を彷徨っている中で神の采配により主人公の元へ二次元妹として舞い降りる…というのが今作の真相になります。
二次元妹として接していく内に栞と主人公の関係に気付き、主人公への想いを抱えますが栞との関係には割り込めないと悟り二人の中を応援するという。
この構図により完全に「麻衣が主人公で主人公の涼と妹の栞という推しカプを成立させるお話」になっていて。
最終ルートが栞ルートなのとED後の彼女の語りもあり、プレイヤーとイコールで繋がるのは舞になっていたのがとても面白かったです。
プレイヤーと最も近いのって舞なんですよね、今作は実の兄妹の涼と栞をくっつけるお話。
ヒロインとしては純粋なエロが一個しか無い上に、二個目のエロは中身は栞と入れ替わっていてのエロの為かなり不遇な子だとは思います。
ですが、麻衣ルートでの最後は消える(おそらく舞に戻る)結末や、栞ルートでの二人を押す姿や、エピローグでは結局父親の再婚は無くなったのと彼女の語りが入る事から「攻略出来ない事が正しいヒロイン」なんですよね。
まさに作中のエロゲ「しにきす」の麻衣と同じ立場。
けれど、だからこそ魅力的なキャラになり、そしてプレイヤーと同じ立ち位置になった存在なので、これが彼女の正しい立ち位置なんだと思っています。
あとはなんとなく、おるごぅるさんの「今作は実妹がメインヒロインだから!義妹は今まで沢山書いたから今回は重要な脇役!!」みたいな主張も感じます。
これもまたパッションを感じました。


『大泉栞 ルート』
絶対的ヒロイン。
両親は不仲で幼い頃から二人しか居らず、そんな中で特別な気持ちが芽生えキスをするけれどそれを親に見られ咎められ、それ依頼距離を置き。
でも、本当は決して二人共想いを諦められず、兄妹の関係を続けたままギクシャクしている、という。
もうねー、こんなんねー、最初から他ヒロイン勝ち目無いですわ。
だって生まれた頃から一緒に居て好きになっちゃったんだもの、そりゃしょうがないですわ。
自分は兄妹でも二人一緒に居た時間の分、もしも異性として好きになったものはそれはもう仕方がないと思っている派なので、涼と栞の関係は見ていて「そりゃもう好きになるわ」と納得するしかなく。
更には親の中が地獄のように不仲なのも合わさって、そんなの家族は兄妹しか居なくなるし、寄り添えるのは兄妹しか居なくなるし、その中で好きになるのは仕方ないとしか言えない境遇で。
親が咎めるシーンがありましたが、「二人の仲がここまで男女で深まったのはお前らの仲が悪く頼れなかったからじゃん」としか思えなかったですね。
逆に親が咎める事に腹が立ったというか、こんだけ家族を崩壊させておいてこの兄妹の愛と恋を否定できる権利は無いとスッパリと思いました。
離婚の関係で二人の距離を離したのは個人的に腹が立つ展開ですが、結ばれた後の兄妹の恋愛感情に文句を言うシーンが無かった事には安心。
というかおそらく主人公も栞も絶対に親には打ち明けずに独り立ち出来る時が来たら二人で親から離れて暮らすというのが分かるので、早く大人になって自由を手にして欲しいと心から思いました。
知人は祝福してくれるし、確かに未来で苦労する事はあるだろうけど決して二人は結ばれた事を後悔はしなさそうな所が良く。
実妹でも好きになったものは仕方ない!これだけ近かったら好きになる!むしろ妹は全方向で好きになる!」という力強さを感じました。
最後には離婚で「大泉」ではなくなるのもタイトルと合わさり上手いなと思った流れでした。



全体的に本当におるごぅるさんが持っている妹への強い想いを感じました。
創作物からそういう主張や想いを感じ取れるだけで見ていて楽しく清々しくこちらも胸熱になります。
「しにきす」の時はあまりにも日和ゲーな所に不満でしたが、今作は栞ゲーではありましたが全く不満を感じる事は無く。
最終ルートに真ヒロインが来るという構成は同じなのに何故だろう…と思いましたが、おそらく全員にしっかりと違う主張があった所と、今作はラストに栞が来る事がパッケージなどから丸分かりだった事が大きいと思います。
「しにきす」は死の運命が最後にあるとか言いつつ死なない上に日和以外の2人のヒロインの話的な主張は薄く、キャラクター自体は良かったのですが立ち位置が単なるヒロインかさ増しの為の置物に感じた所があり、更には最終ルートは琥珀…に見えて実は日和な所が良くなかったとは思っています。
純粋な琥珀(死神)ルートが見たかった人からしたら微妙に感じるというか。
今作は栞以外の2人のヒロインの話にもしっかりと「妹」という変わらない主張があり置物になっておらず、ラストルートが栞の部分にフェイントで別ヒロインが割り込むなども無かった所が受け入れやすかったなと。
後は死者ではない部分は大きかった、死者は死者の時点で特別なのに、それが蘇ったらまぁ他ヒロイン勝ち目が無いよね、みたいな。
栞は生者としてずっと存在していて、最終ルートで真ヒロインではありますが、一歩主人公が選択を間違うと別の子に行くというのも他2人のヒロインと結ばれる世界として存在する。
最終ルートはある意味ではちゃんと向き合った運が良かった一つの可能性の世界として描かれていたのが好きでした。
「しにきす」の分岐ではどうあがいてもあの真ルートが存在する以上、他ヒロインルートはBAD扱いになるので…そういうのは他ヒロインがあまりにも当て馬過ぎて好きじゃなかったので今作でとても構成や描かれ方が好きでした。


前作での不満点を見事払拭し、更には創作物から熱い気持ちを感じ取れる一作でした。
次回は同社ALcotハニカムから「キミのとなりで恋してる!」をプレイ予定。
本作まではなんとなく作風を察してはいましたが、「キミのとなりで恋してる!」は公式のあらすじを読んでもどの方向に行くのか全く分からず。
前情報が殆どない状態ですが、ALcotハニカムは毎回面白いので信頼しています。



※ゲームの攻略で検索される方がいらっしゃるみたいなので参考にさせて頂いた攻略サイト様を失礼します。
参考攻略サイト様:愚者の館(アーカイブ) 様
http://sagaoz.net/foolmaker/
 リアル妹がいる大泉くんのばあい ページ
http://sagaoz.net/foolmaker/game/r/realsister.html