【Eternal】感想 - ひっそりと群生

【女性主人公全年齢】

2019年04月26日配信
『kunsina』様 ※リンク先公式HP
【Eternal】(PC) ※リンク先ふりーむ！
以下感想です。

Eternal、永遠、どこまでも続く…

『宇宙飛行士のハルは、史上最年少となる17歳で有人惑星探査を達成した。
　宇宙船アムリッタに搭載された人工知能のテラと、地球への帰り道の30日間の旅。
　旅の中で、ハルは予期しない形で世界のとんでもない秘密を知ることになる。』
(公式より引用)

プレイ時間は約55分くらい。
分岐有り、EDは3つ。

『はいすくーる★ガールズ』(※リンク先感想)のkunsinaさん制作フリゲ。
植民惑星の探索を終えた主人公、ハルの地球への帰還までの30日の物語。
日数が進むにつれて不穏になって行く空気。
見てはいけない物を見てしまった時の恐怖など。
ホラーでは無いですが、物語の転換点でゾクゾクする要素が散りばめられていました。

『システム、演出』
Unity製。
基本性能有り。
サイズは一番大きいサイズが違和感無く見やすいと思います。
BADを迎える事が前提の作りですが、構成が上手かったです。

『音楽』
素材曲、違和感無く組み込まれていました。
BGMもですが、無音の中、機械音だけが響き渡る瞬間が異様に怖かったです。

『絵』
背景の宇宙船の書き込みが凄まじく。
背景の無機質さと近未来さがSFっぽさを強く表現していました。
ただ、同時に人物画の方は結構不安定だったというか。
後半、真相が明かされるシーンでハルのドアップになるのですが、フリーではありますがどうしてもバランスに違和感を感じ、重要なシーンでしたが上手くノリ切れなくなった所があります。

『物語』
難しい単語が出てきますが、理解していなくても進めるほどにしっかりした文章で読みやすく。
SFで難しそうですがサクッと読める所に文章の力量を感じました。

『好みのポイント』
「はいすくーる★ガールズ」でもでしたが、当たり前の中に潜む不穏さを描かれるのが凄くお上手でした。
星◯一系が好きなのでこの手の話は大好きなのと、ゲームである事を上手く使った作りだったのが良かったです。

【以下ネタバレ含めての感想です】

話の真相に関しては結構予想の範囲内ではありました。
ハルに施された実験の細部までは予想は難しくても、実は30日とかいう単位では無いレベルの時間が経過している…というのはなんとなく察していて。
ただ、ループする事が前提でループが時間経過に組み込まれていたのが分かった時に「ゲームならではの展開だ！」と嬉しくなり。
こういう「ゲームだから出来る」みたいな演出に弱いので真相に近付き人工知能のテラに問いかけ首輪が作動しループする…という流れを繰り返した時にあえて全ループの流れを見るくらいには凄く楽しくなりました。
首に電流が走るとか自分に行われたら楽しいどころでは無いですが。

人工知能のテラの行動も納得。
人間に危害を加えてはいけないけれど、人間を不幸させないと判断した場合は人間に影響を与えられる。
「幸福は義務です」系もまた好きなので、テラの行動もまた納得出来、なんだかんだ一番主人公の事を見ててくれたのは他の人間よりもテラなんだなぁと。
プログラムされているとはいえ、ハルが幸せになる為に全力を尽くすテラが好きでした。

ラストはそのまま記憶を失い続けて生活するか、地球に降りるか、地球を離れ他の惑星へ向かう…本来のEternal計画を遂行するかの3つですが、EDの流れで見るとEternal計画遂行が最もベストEDみたいで。
まぁ、記憶失いループしてもいつか終わりますし、地球は滅んでいますし、あのEDがベストになるのも納得。
記憶を失うEDで再びループする作りも好きですが、「新しい可能性に向けて突き進む事こそが人間の歴史」、宇宙開発がそうやって進化したのなら別の惑星を探すEDがベストなのも凄く分かります。
宇宙はロマンと共にあるのなら、前に進むしか無い。
最後になにか通信が入り吉と出るか凶と出るか…という所でEDだった所が可能性を感じて好きでした。

上記でも書きましたが星新◯らしさがあるというか、SF短編でのお約束やゲームだからこその良さが詰まっていました。
「はいすくーる★ガールズ」もでしたが、こういう短編が上手い方で、ちょっとしたゾクゾクを味わう事が出来ました。