ひっそりと群生

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【古色迷宮輪舞曲 ~HISTOIRE DE DESTIN~】感想

【男性向け18禁】



2012年07月27日発売
Yatagarasu(解散)』※リンク先公式HP(18禁)
古色迷宮輪舞曲 ~HISTOIRE DE DESTIN~】(PC)(18禁) ※リンク先wiki
以下ネタバレ含めての感想です。








10作に一個は名作と呼ばれている作品を挟んでプレイしないと心が死ぬと学びました。
というわけで、この感想がいつ投稿されるかは分かりませんが、2022年の30作目は「古色迷宮輪舞曲 ~HISTOIRE DE DESTIN~」に。


プレイ時間は約14時間30分くらい。
完全収録がある「メガストア2015年3月号」を購入。
7でも起動可能、ディスクレス起動可。
パッチが用必須で今プレイするだけならメガストア版が良いと思います。
ただし、音楽鑑賞モードを導入するなら公式からパッチを落とす際に「萌えゲーアワード」の投票コードが必要になるのでパッケージ版の方が良いかもしれません(現在DL可能かは不明)(完全収録するならパッチ全部当ててから収録して欲しかった気持ちが強いです)。
パッケージ版のパッチは『すえぞうのギャルゲー補完計画』様(※リンク先パッチページ)のサイトに有ります


さて、実はこのゲームのプレイの為に前回商業の「蒼色輪廻」をプレイしていました。
色々な所で「YU-NO」「蒼色輪廻」「古色迷宮輪舞曲」と系譜が続いているとお聞きしていたので、これは是非この流れに乗らねばと(「色」という文字も入ってるし狙ってる?)。
と、言いつつ「YU-NO」だけは所持済みなのに未プレイなのですが、一応内容…というかシステムは把握しているので大丈夫かな?と。
今作は「YU-NO」から脈々と続く時間移動系作品であり、このタイプのキモである「未来で得た情報を過去に戻り使う」という事が重要になって来ます。
今作は章とその章に属するチャプターに分かれており、チャプター毎にオートセーブが行われ、プレイヤーの任意でセーブは不可能になっています。
「任意セーブ不可とか結構エゲツない事するな…」と最初は思っていましたが、チャプターがかなりこまめに分かれているのと、プレイヤーは一度辿ったチャプターなら任意のタイミングで移動出来るシステム、通称「事象移動」を行えるので、ぶっちゃけセーブは重要視されない作りが上手いというか…時間移動系の強みだなと思いました。
蒼色輪廻」は死なないと辿った道のチャプターを選んでからの再スタートが出来なかったのに対し、今作はどこでも移動が出来るのでとても便利、セーブ要らず。
物語自体もEDへの道は一方通行で分岐などは無いからこそセーブいらずが出来たと思っています。
一周で全クリ出来るのは時間移動系作品ならでは。
それに加えて今作は手に入れた赤文字の「キーワード」を特定の場所でキャラクターなどに投げかける事が出来、正しいキーワードを投げかける事で新しい道が開くという…正直かなり難易度の高いものになっています。


色々と挑戦的で「普通に読むだけのノベルゲームじゃないゲームを作る!!」という意気込みはとても良く、そういう心意気は非常に好きでした。
ただ、同時に難点もやっぱり多く…
一つは今作には「運命量」という数値が主人公含め6人に設定されており、物語を進めたり「キーワード」を使うと上昇、または減少します。
これがとても厄介で…今会話しているキャラクターや話の流れで関係あるキャラクターだけでなく、「なんでこのキャラが!!?」というキャラが変動したりするんですよ。
当然、「運命量」が尽きると"突然の死!!!"を迎えるので間違うと即リセット。
一応、各章の一番最初のチャプターがリスタート地点になっていて、ヒロインの「運命量」が尽きてもリスタート地点から「運命量」が回復し再開する上、任意でチャプター移動出来るので速攻でやり直す事が出来るので攻略を見ればさほどストレスにはなりませんが、主人公の「運命量」が尽きると本当に序盤の序盤、ガチのスタート地点から再開なので再開が若干面倒臭いという事に。
まぁそれでも「事象移動」しまくれば問題は無いのですが、「事象移動」でも主人公の「運命量」が削られて行くので、スタート地点より再開のポイントが遠すぎるとまた「運命量」が危うくなるという…
攻略を見ながらの場合、主人公の「事象移動」で「運命量」が減り過ぎての"突然の死!!!"は少なかったのでまぁ大丈夫だとは思いますが、ぶっちゃけ攻略を見ても途中で一部のキャラが攻略に記載の無い"死!!!"をいつの間にか迎えてたので、「マジで!!?」と序盤はかなり焦りました。
とりあえずこの死によって「事象移動」システムを把握出来たので良かったのですが、「章への移動はリスタート地点からリスタート地点へしか移動出来ない」「章の中でならどのチャプターでも移動出来る」この辺りを覚えておくと格段に動きやすくなります。
一応右端で章のリスタート地点を即選べるのでこの辺りはかなり親切設計。
「事象移動」システムは「運命量」を除けばかなり使い勝手が良いのですが一つ言うと、チャプターの最初には画面のどこかかタイトルバーでチャプター名を確認出来たら良いなとは思いました。
一応左上に表示されるクイックセーブされたという通知でチャプター移動を見分けられますが、「事象移動」ページを開かないと分からないのは若干不便でした。


あとは「キーワード」システムの「キーワード」の多さよ…
このシステムが一番「YU-NO」や「蒼色輪廻」と差別化されていて、メーカーさんが自信満々にお出ししたシステムだと思いますが、なにぶん量が多い多い。
必要な語句どころか日常で出る言葉も「キーワード」登録される上、その中で使うキーワードはおそらく半分以下という。
プレイヤーが思考しないと分からないシステムの為、やりごたえはありますが…手に入る「キーワード」の量が尋常じゃ無い為、攻略見ないと無理ゲー化するという罠。
実はこの「キーワード」システム、個人的に思い出したのがエロゲーでは無いのですが「ロストカラーズ」というゲームを思い出しまして。
決まった場所で正しい「言葉」を選んでいるとそれに対応したイベントに分岐し、正しい道筋に行けるというシステムだったのですが、今作はそれに近いなーと。
ただ「ロストカラーズ」の場合、基本は特殊世界で出てくる専門用語が「言葉」として記録され、ほぼ全ての「言葉」を使ったので、その辺りは正直「ロストカラーズ」の方が上手だったと思います。
しかも「キーワード」を投げる箇所も場合によっては本当に一文、一箇所のみで、そこを逃すと「運命量」が一気に下がったり。
「キーワード」を投げても判定されなかったり、かなり大変でした。
後半開示される主人公のとある設定がある為、この「キーワード」システムが重要化して他とは違う面白い要素になったのは事実ですが、もう少し「キーワード」を減らしても良かったですし、「キーワード」を投げる位置の判定を広くして欲しかったです。
とりあえず投げる場合、「キーワード」は他キャラの立ち絵がある場合はキャラに投げる、立ち絵が無い場合はメッセージウィンドウに投げるで大方当たるとは思います。
あと、「キーワード」システムを使える場所は限られているのですが、その場所を示すアイコンを見分けるのがとにかく面倒臭い。
メッセージウィンドウの横にある星のアイコンがフキダシに変わっている時が「キーワード」システム仕様可能箇所なのですが、文字を読みながら隣のアイコンにも気を使うという作業は文章を読むのを著しく阻害していました。
これが「なんのアイコンも出さない!全部自分で「キーワード」を投げる箇所を考えろ!!」だったら難易度は最悪ですが一応一貫性はあるのに対し、「一応アイコンを見れば把握出来る」というのはこう…「プレイヤーに分からせるなら文章を真剣に読ませろ!!」となるんですよ。
分からせるならそういう「文章から目を逸らさないと分からないアイコン」では無く、「「キーワード」仕様可能箇所ではメッセージウィンドウの色を変える」など、文章を読むのを阻害しないようなUIにして欲しかったです。
今作はスキップ機能を使った場合、「キーワード」と「「キーワード」仕様可能箇所」でしっかりと止まってくれるのですが、アイコンが分かりにくい為、スキップ使ったほうがプレイしやすいという仕様になっていました。
まぁループゲーなのでスキップ前提で作られておりそこを狙った可能性はありますが…文章とアイコンを目線で行ったり来たりするのは物語に大変集中出来なかったので止めて頂きたかったです。


「運命量」システムも、物語の内容に組み込まれてはいますが、途中、物語で関係無い箇所で尽きても本当にいきなり物語が途切れて何故死んだかが物語の流れにさほど関係無く"突然の死!!!"状態になり「事象移動」ページに飛ばされますし。
「「運命量」が低いとここで分岐してBADに」という分岐の方法は面白かったのですが、それなら「最初は必ずBADに行くように調整され、二周目から正しい道筋に行ける(BADを見たいならチャプターでBADに行ったチャプターを見れば再度イベントを見れる)」でも良かったのでは?と思っています。
「キーワード」でHintを使っても「運命量」が減りますし、序盤の「紅茶を入れる手順」で何人のプレイヤーが挫折しただろう…と本気で思っています。


ループ系でありながら話が複雑化し過ぎているのもまたネック。
「事象移動」でポンポン飛ぶ事になる為、ちょっとプレイヤー的には構成に置いて行かれる所がありました。
しかも今作はループ系で時間移動をする際に特殊な道具などが必要では無いタイプな上、任意で時間移動出来る人間が2名(主人公と美月)とそれを観測出来る人間が1名(舞)、無意識に時間移動に巻き込まれてるのが1名(咲)という「ループの大渋滞」が起こっている為、各人がループしていて行動していたら何らかのすれ違いが発生していそうというか。
せめて「何か道具を使用する事でループが出来る為、主人公以外もループが出来る」か「道具無しの場合は主人公のみしかループ出来ない」みたいな設定にしないと読者は混乱します。
主人公のループは説明が付きますが、美月がループ出来る理由はイマイチ納得出来てないですし。
なんかこれだけ「事象移動」して変えてるとどこかで矛盾がありそうだなぁというか…
プレイヤーにはもう少し分かりやすさが欲しいというか。
クオリア」とか「認識」とかは面白く、「一つの世界で同じ事が起こった時に認識は観測者の分だけある」というのは面白いのですが、それを入れた事でちょっと複雑化し過ぎたと思いますし、入れるなら入れるでもう少し説明を上手くして欲しかったと思ったり。
某、「夏に壊れたリモコンをどうにかする為に昨日と今日を行ったり来たりしまくるけど驚くくらいに分かりやすいループ系映画」くらいに分かりやすさが欲しかったです。


まぁ、あとはこれが非常に問題なのですが…今作はシステムと構成に全振りした結果、キャラクターの関係性描写と主人公の心理描写がかなり疎かになっていたと感じました。
システムと構成が7か8なら、心情や関係性は3、2な感じ。
とにかく最初にループをする為の動機がプレイヤーから見た場合「そこまで深く考える事か?」になりがち。
物語上の最初のループ、主人公が自覚してからの「事象移動」は主人公の死が決定付けられている最後の日にサキが消え、事象が巻き戻り、主人公は「サキを助ける為」を目標に自身の死も含まれる「狂った運命の輪」を正す為、「運命量」の回収の為、各ヒロインを殺さないといけない状況になるのですが、「サキを助ける為」と意気込むのをプレイヤーが納得出来る程、交流した一週間の中で親しい関係になってないというか。
正直、「イベント回収」という感じで最初の一週間は話が進む為、「サキの為に頑張る!!」と言えるほどサキとの交流イベントが無いんですよ。
一応真相としては「サキは主人公の実の妹で、妹を救う為の物語」ではある為、「深層心理でサキを追い求めていたので、サキに強い感情を向けていた」というのは分かります、分かるのですが、それでもループ物として「何らかの目的」の為にループするならループする前段階でそれを強くプレイヤーに植え付けてくれないと納得出来ない所があり。
「サキが助けてくれたから」と主人公は言うのですが、サキが身体を張って、身を挺して主人公を助ける!!みたいなシーンが全く無く、最初の一週間では我儘放題に振り回すだけの娘なので、「なんでこの娘の為に?」が先行するんですよね。
ぶっちゃけ、ガチで怪我をするほど身を挺して助けてくれた友人の野郎二人の方が「助けてくれた」という点では印象深い為、恭平では無いですが「野郎の為ならループしても良いんだけどな…」と思ってました。
というか今作、サキは序盤は我儘系ロリっ子ですし、和奏は主人公にプレイヤーが分からないままに幼馴染としては行き過ぎなヘイト向けて来ますし、美星はアレがアレで最悪ですし、美月はガチで殺しにかかって来ますしで…ヒロインに良い印象が無いんですよ。
マシなのは舞か一葉なのですがマシなだけで好印象では無いという。
マジで野郎二人の方が常に明るいし主人公気にかけて話してくれるし、身体を張って助けてくれるしで相対的に好印象になる不思議なキャラクターへの感情度になるゲームでした、男性向けエロゲーなのに。
なのでもうちょっと、序盤の段階でプレイヤーがヒロインに好印象を向けられるようになんとか出来なかったのか?と。
プレイヤーが悪印象抱えそうなヒロインが3人は多いですよ…
「全員性格最悪から始まる」みたいなコンセプトなら分かりますが、そうでも無い上に「良い運命に変える」ループ系で序盤このヒロインは無かったです。
超メインヒロインであるサキ…もとい、咲も。
「咲の為にある物語」ではありますが、主人公と咲の過去話とか所々で挿入して欲しかったです。
ぬいぐるみの男爵の件以外、全く「過去の兄妹の出来事」が描写されないので、プレイヤーからしたら情報不足というか。
「咲を絶対に助けたい!!」という気持ちになるまで心動かされなかった部分はありました。
主人公が「自分の死を回避する為に他のヒロインを犠牲にする」というようなキャラでも無い人情派の部分もまた「ヒロインを殺して「運命量」を他ヒロインに移動させなければいけない」という今作のコンセプトにあまり噛み合って無かったと思います。
人情派過ぎて「殺し」に違和感有りすぎるんですよね。
一応葛藤シーンがありますが、そんなに葛藤が長く無くすんなり「犠牲にする」を選択するのに困惑しますし。
しかもそれもまた「サキの為」が絡む上でプレイヤーは序盤では「サキの重要性とサキへの執着」に納得出来てないので、「どうしてこうなった???」感が拭えませんでした。
主人公、序盤を見る限り「他のヒロインを犠牲にするなら俺が行く!!俺の「運命量」で変える!!!」みたいなタイプなのにそうならずループ始まったら速攻で闇堕ちするのでプレイヤーからしたら性格と思考がイコールで結び付かないんですよ。
せめて作中で何度か「運命量」をなんとか入れ替えて生存させる事が出来ないか?みたいな「色々と運命に抗うフェイズ」が入ればプレイヤーとしても「こんなに頑張ってもダメだった…」と闇堕ちに納得出来たと思います。
光の主人公が闇堕ちする展開自体は心踊るものがあるので、闇堕ちが来るのは良いと思いますが、もう少し光の部分を輝かせる描写が欲しかったです。
まだ「蒼色輪廻」のダメ主人公、堂浦君の方がループする上で「僕の為!!」というある意味での一貫性があった気がします。
あれほどのダメ主人公は中々に描けませんが、あそこまでダメだと「そりゃ自分第一よな」と納得できるので。


ただ、後半になり、「プレイヤー≠主人公」の構図が生まれ、舞さんの「神の視点」が描かれた時にはオタク心はとても動かされて。
2002年の某ゲームから受け継がれている(と思われる)「コレ系」の流れは流石に大好きなので滾りました。
「プレイヤー≠主人公」の構図が生まれた時にようやく「キーワード」システムが輝いてきた所はあります。
「プレイヤーが居たから「事象移動」出来、プレイヤーが「キーワード」を直に伝えられる」、ゲームへの介入型はやっぱりオタク心を深く揺さぶられます。
チャプター「ミツキウサギⅢ」くらいから主人公に声が付き初めて、何でだ?と思ってたのですが、「プレイヤー≠主人公」だったからなんですね、なるほど。
まぁ、ただ後半も後半で「プレイヤー≠主人公」の流れになるので、出来ればもう少し手前くらいで開示でも良かったのでは?と思うのと、「プレイヤー≠主人公」なら常に主人公の声は有りでも良かったなーとは思ってます。
もしくは「プレイヤー≠主人公」が明かされたタイミングから声有りの方がドキッとしたかも。
謎に中途半端な所から声があったのは頂けませんでした。


絵は稲垣さん、たぢまさん、雪月さん、お三方とも参加作に触れるのは初。
個人的には雪月さんの描く男性陣がべらぼうに好みでした。
美月、美星も良く、特に美星のレイプ目は良かったのですが…正直、ヒロインの造形より野郎の造形の方が好きかも……
お三方とも悪くは無いのですが、たぢまさんは一部CGの顔の角度で違和感があった所はありました。
ただ、同人ゲームで未プレイではありますが絵をお見かけした事はあり、その際はさほどそういう点は無かったように見受けられるので、個人で描く際には問題ないけれど他の方の絵柄と合わせるとブレる方なのかな?と思いました。
絵柄を合わせるのは難しそうなので仕方ない。
稲垣さんは安定したヒロイン絵という感じ。
サキと舞という重要ヒロインを描かれていましたが二人共中心になるヒロインの造形としてはとても良かったと思います。


音楽はBGM鑑賞モードが無いのでゲーム上での確認が取れないのですが、一応ネット情報から「Histoire de Destin」はメインテーマでよく流れる為、印象深かったです。
悲壮感があり、絶望感があり、まさに悲劇的。
OPの「Le Conseil」はもう、歌詞があまりにもネタバレソング。
プレイ後に聞いて意味が分かるどころかプレイ前に聞いても意味が分かるくらいに超ネタバレ。
名曲だとは思いますが、超絶直球歌詞でビックリしました、でもやっぱり名曲です。
声は途中から主人公含めフルボイス。
主人公と友人の恭平を件役された古河さんは、流石、エロゲ界でよくお名前をお見かけするTHE・イケボ中のイケボ。
同じイケボでも主人公と恭平の演じ分けがお見事で、主人公がサラッとしたイケボなら恭平はネトっとしたイケボという感じ。
主人公の爽やかさと恭平のリアル友人でカプを作る変態っぷりを丁寧に演じられていました。
サキ役の藤森さんは「プラハ」のゆづきや「はるとま2」の小枝子でお聴きしていました。
個人的に藤森さんの若干高慢系演技好きなので、サキの話し方が超絶に好きでした。
可愛らしくもどこか高慢さがある話し方、やっぱり上手いです。
和奏役の上田さんは「美少女万華鏡」の亜璃子、「プラマリ」のマリアでお聴きしていました。
個人的に超ロリ声よりもこちらの落ち着いた感じの声色が好きだなーと。
主人公を苦手がってる時の演技が本当に苦手そうで良かったです。
一葉役の秋野さんは「とな恋」の莉奈、「終わバ」の流花でお聴きしていましたが…やっぱり好きな演技だと再確認。
優しくハツラツとした演技も意地悪キャラの演技もお上手なのですが、ハツラツとしつつ色々知っても尚、主人公に付いていく健気さとその時の言葉の放ち方が絶妙で。
やっぱり好きな声優さんだと再確認。
美月、美星役の鈴音さんは上手い、単純に演じ分けが上手い。
美月の姉さん系演技も、三月ウサギの狂った演技も、美星の全てを諦めた虚無の演技も、どれも満遍なく上手くとても器用な方でした。
「はるとま2」のサブキャラ山治さんしかお聴きした事が無かったのですが、山治さんも罵りが良くサブキャラでも印象深かったので、また他作をプレイ時にお見かけするのが楽しみです。
舞役の雪村さんは「はるとま2」の星でお聴きしていましたが、こう、「物語の中心になる重要ヒロイン」2作に当たりましたが、どちらも色々含みながらも「正ヒロイン」っぽさを出していて、正統派ヒロインらしいお声だなーと思いました。
卓也役の来栖川さんはTHE・主人公の友人の感じが素晴らしい、正直、超個人的な好みのキャラは卓也です!!と豪語出来ます。
ジャン=バティスト・リエーブルマン男爵(フルネームで言わないとダメな感じ)役の越雪さんは超ラストの美月のEDの流れなどで人形だけでなく只者じゃない役もされてますが、貫禄があるお声だと思います。
「終わバ」の冬馬父の役でお聴きしていましたが、威厳ある地位のある男性声がとても合っていると思います。
BADに行った際に男爵のお声が聞こえるのですが、可愛いぬいぐるみから発せられる渋声のギャップがたまらなかったです。



以下、キャラクター毎の感想



『サキ(名波咲)』
超メインヒロイン、この娘の為の物語。
…なのですが、ちょっと関係性の描き方が薄い、もう少し過去回想とか兄妹の想い出話が欲しかった。
サキの為の物語になり過ぎて他のヒロインが単なる通過点になっている所に可哀想さを感じたり。
一人のキャラが優遇されるのはループ系として正しいので良いのですが、他のヒロインを蹴落とす形での優遇は好きじゃないなーとは思いました。
まず同列に並んだ上で、魅力が強すぎての優遇であって欲しいです。
ただ、咲が願った事により、サキと分かたれ、同じだけど違う存在になった、というのは好きです。
「元は同じだけど分かたれた瞬間に別の存在に成ってしまった」みたいなのに弱いので、サキはサキとして居たという所は刺さりました。


『桐原一葉』
通過点その①。
いや、本当に可哀想、「恋愛感情無いけど「運命量」の為にわざと窮地に陥らせて救って高感度稼ぐぜ」とかマジモンの外道。
「外道になる」と豪語してるけど、その理由が「サキの為」と言っててプレイヤーからしたら「薄い!!」なので納得出来ないのが問題。
ひたすらに可哀想なのに他世界に記憶を引き継いでも主人公の為に身を挺して死んだりするので、「こんな男(主人公)のどこがいいねん!!」になってしまうという。
普通「好きになる為に仕組まれた行為」とか知ったらドン引きだと思うんですが…しかもその後にそういう打算が無くて優しい部分に触れて好きになっていったら「キッカケは最悪だけど、嘘が本当になる」というように納得出来るのですが、最初から最後まで打算しか無い上で一葉は全てを知るので…「マジでどこが好きなんだ?」となりがち。
「全ては和奏の「運命量」に繋がる為で、和奏を救う為には一葉の「運命量」(死)が必要」という流れなのですが、ぶっちゃけ一葉の性格だと恋愛関係にならなくても事情を説明すれば自分の身を差し出しそうなので、恋愛関係にならなくても良いのに恋愛関係になってる所が主人公の下衆さを加速させてるというか。
マジで恋愛関係必要だったか?状態。
和奏が死んで落ち込んでたというのもありますが、その和奏を殺したの主人公なので、「友人殺して凹ました上ですり寄って、別に必要でもない恋人関係になるとかなんやねん?」という本末転倒っぷり。
救ってくれた事の裏事情も友人を殺した事も知っていたと思われるのに主人公と恋人関係になる所にある種の狂気というか「怖すぎる献身」を感じました。
こういう「主人公の悪行を全部知ってるけど知らないフリをして側に居る系ヒロイン」、献身の鬼というか行き過ぎた聖女キャラ好きなのでとても好きですが、作中で「狂ってる」とは言われない別の狂いを感じて非常に恐ろしかったです。
「運命改変」したEDでは普通に助けられて普通に恋人になってるっぽいので、素直に良かったなと思いました。


『相羽和奏』
通過点その②。
彼女は逆に一葉を失った事で憔悴し、主人公と関係を持つという。
そりゃ友人が自分を庇って死んだのに、それを知ってる別の友人の男からはずっと「カラクリ箱(コトリバコ)を開けろ開けろ」言われたら憔悴しますわ。
正直、なんで和奏がこの状態で主人公に対し「あり得ない、キモい、あっち行って」にならなかったのかが分からない部分はあります。
なんとなく「主人公に昔から微かに想いを寄せていた」とは察しますが、ゲーム中ではかなりガチ目に態度の悪い対応をされるので、「和奏が主人公を想っていた」とプレイヤーは幼馴染という関係から察しはしますが、ゲーム中の態度からは納得は出来ないんですよね。
幼馴染設定必要だったか?というくらいに幼馴染要素が薄かったので和奏も過去回想がほしかったのと、もう少しこまめにデレが欲しかったです。
「運命改変」したEDでは二人の関係の始まりが一葉が亡くなった後のアレな状態から始まるので微妙に記憶に都合の良い修正が入ってそうな所が微妙な関係を感じさせました。
まぁこの二人は本編からは「超ラブラブ恋愛関係」は想像出来ないので、これで良いと思いますし、このビターな感じが失った一葉に対しての報いだと思います。
ただ、個人的には和奏ルートからとある地点で一葉ルートに飛び、和奏と関係性を持った状態で速攻で一葉に行くという…ある意味で浮気的な流れを取ると、一葉ルートでは死んだはずの和奏が「事象移動」をして一葉ルートにやって来て、一葉を殺すという驚きの展開になるのですが、それがとても好きで好きで。
本来なら「事象移動」出来なかった存在が主人公への感情だけで「事象移動」をやってのけるとかもう、ヤバさを感じ、ヤバイ女好きとしてはたまりせんでした。
主人公は黙って和奏に刺された方が良い。


『姫野美月』
妹への後悔で幼少期からループが出来るようになっていた人。
主人公がプレイヤーの視点が絡まってループ出来るのに対し、美月が何故ループ出来るのかは最後まで不明でした。
作中美星の為に主人公や他の人を殺しまくってるヤバイ女側ですが、客観的に見てわりとまだ冷静さを持ってる方。
「殺しまくってるのに?」と言われそうですが、マジで他のヤバ女よりはマシでした。
行動原理が自分の感情ではありますが「美星の為」が原動力なので、まだ理解の範囲内。
昔から「事象移動」が出来、幼少期に美星が義父に性的虐待を受けて居たのをなんとか改変しようとループするも、出来ず。
けれどループした記憶だけは美星の記憶に残り続け美星は地獄のループを味わっていた事を美月は知らなかったという…
そんな美星をなんとか幼少期から救うために「運命量」を求めていたけれど、美星の願いは救われる事では無く、さっさと死ぬ事だったという事実。
この「救おうとしてた事が実は傲慢で、相手は救われず死ぬ事を願ってた」みたいな真実、辛いけど非常に好きです。
「貴方の願いが相手の願いだとは限らない」みたいな残酷さ、良いね。
最後には美星の身代わりになり、美星と同じ道筋を辿る事でようやく美星に受け入れられ、姉妹の「事象移動」は終わりを迎える。
美月は美星と同じ道を辿ったという事はおそらくラストは義父に犯され、しかもループしてるとは思うのですが、美月がその出来事によって自分の罪を自分の中でも清算出来た所に残酷童話らしさを感じました。
美月は裏の主人公だと思いますし、作中での主人公の行動原理や思考がイマイチ分からない部分が多いので、美月側の視点の物語があったらそっちの方が映えるのでは?と思った部分はあります。
行動原理が一貫して「美星の為」でブレが無かったですし、最後の「今までの罪の清算の仕方」も含めて、とても主人公していると思いました。
何気に主人公の初体験も奪って行きますし、色々とインパクトの強い方です。


『姫野美星』
ヤバ女枠。
既に過去の凌辱と凌辱のループにより心が壊れているので、彼女は相手の気持ちを考える事が出来ない状態にあります。
笑っているように見えても心は笑っておらず、何も大事な物は無く、虚無を生きている状態。
彼女からすればループを引き起こした美月の行動には憎しみしか無く、美月に対して常に憎悪を持っているという。
だからこそ「美月に救われるのなら死ぬ方がマシ」であり、彼女の救済は「死」しか無い…地獄のような娘。
でも、唯一の救済ルートで美月に「自分と同じ道を辿れ」という美月への罪の清算への道を示し、美月がそれを遂行した時、美月が身代わりになっても尚、自分とは違い心を壊さず、ずっと「美星が大事」という心を抱き続けた事で自分の罪を認識し、美月を許す…というか受け入れる事が出来た少女。
この「自分が穢された道を相手が通って初めて相手を受け入れる事が出来る残虐性」みたいな地獄の百合が好きなので、二人の展開はかなり好みです。
…というかやっぱり主人公とサキの話よりもコッチの話に惹かれた部分はあります、闇系の姉妹百合が好きな人に刺さると思うので、好きな人の元にこの物語が届け!届け!!と願いました。


『古宮舞』
神の視点を持つ物、というか神そのもの。
名前が古い宮の舞で今作タイトルが「古色迷宮輪舞曲」な上、「運命量」に名前が無いので絶対主軸となる人だとは思っていました。
タイトルに名前が入ってるとか…無駄に深読みするオタクが気付かない訳無いでしょ!!!
某ゲームみたいに「神の視点」の上位存在を認識出来る人かなーと思ってたらまさかの「神」そのものでビックリ。
美月のEDでは一部未来の事象ではジャン=バティスト・リエーブルマンというおそらく「神」を研究している人に何らかの被害を受けて脳だけになっているっぽいです。
なので、おそらく今作は「彼女が描いた物語」で間違いでは無いかと…下手したら脳だけになった彼女の中の物語の可能性も…
最初に「《少女とウサギ》―――童話の時間です」と彼女のナレーションから入るので、「彼女の物語」ではありそう(主人公が死ぬと何度もここに来る為、場合によってはめっちゃこの声聞きます)。
そういう設定、「神的存在が居る」のは好きですが、個人的にそういうキャラはカリスマ系が好きなので「神的存在」としては好みでは無かった部分はありました。
飄々としてるキャラが好きなのかも…でも、ポワポワしつつも掴み所がない人ではあるので、好みとは違う別の魅力がある人ではありました。
ジャン=バティスト・リエーブルマンの話といい、もう少し彼女に関しては話が広がりそうだなーと。
あとは、主人公のヒロインはサキ(咲)だけれど、プレイヤーのヒロインは舞というのが分かったのにはテンションが上がりました。
こういう主人公のヒロインとプレイヤーのヒロインは別みたいな要素にオタク(クソデカ主語)は弱いんですよ!!
最後の舞の攻略でエロが見れるのですが、主人公では無くプレイヤーとのエロで一人エッチ縛りなのは逆に嬉しかったです。
舞さんを独占出来るのはプレイヤーだけ、舞さん、可愛いよ、舞さん。
ジャン=バティスト・リエーブルマンを阻止して絶対に助けたい!!と思いました…メーカーが解散している事が本当に惜しいです。


『橋倉卓也/雑賀恭平』
マイベストフレンド's。
正直最初から最後まで好印象のままだった二人でした。
後半「事象移動」しまくるので登場がほぼ無くなりますが、彼らの安定した友人っぷりには安心感がありました。
「どっちかが裏切るとかある?」と構えてましたが、本編ではそんな事は無く良かったです。
ただ、卓也の方は…未来でジャン=バティスト・リエーブルマンと何か因縁がありそうで、そこ、本当にどうなってるか気になります。
が、メーカーが解散してるので永遠に謎の中でしょう。
解散に対してメーカーの「運命量」が尽きたと言われているのはちょっと笑いました。



まさに「システムにほぼ全振りしたゲーム」という感じでした。
物語とシステムの連動が好きなので、その点は残念に思いつつ、でも一点に振り切った作品は好きなので、キャラクターの関係性の描き方の足り無さに大きな不満を感じますが、システム面では面白い事してるなーという、好きな所と納得できない所が綺麗に分かれた作品でした。
とりあえず物語や関係性での面白さが美月と美星に集約しているのはどうかと思います、美月の美星の人生の追体験の悲惨さと姉妹百合をもっと見たかったです…
あと、「事象移動」や舞やジャン=バティスト・リエーブルマンの件と言い、世界設定は色々広い物を持ってそうなので、そこが開示されなかったのは残念でした。
プレイヤーが舞をジャン=バティスト・リエーブルマンから救う「続・古色迷宮輪舞曲」みたいな構想もあったのでは?と思っています。
というか今作は「舞を救う!」の方がタイトル的にはコンセプトにピッタリなんですよね…
メーカーが解散している為、続編は絶望的ですが、広い業界、いつかどこかで似たような続編のような作品が出ると良いなと願っています。



※ゲームの攻略で検索される方がいらっしゃるみたいなので参考にさせて頂いた攻略サイト様を失礼します。
参考攻略サイト様:誠也の部屋 様
https://seiya-saiga.com/
 古色迷宮輪舞曲 ~HISTOIRE DE DESTIN~ ページ
https://seiya-saiga.com/game/yatagarasu/furuiro.html
参考攻略サイト様:只の不定期ブログ 様
http://blog.livedoor.jp/k_o_blog/
 古色迷宮輪舞曲 ~HISTOIRE DE DESTIN~ ページ
http://blog.livedoor.jp/k_o_blog/archives/38423623.html