ひっそりと群生

ひっそりと持ってるCDの情報やゲームの感想上げたり。購入物の記録など。気ままに。飽きっぽいので途中で止まったらご愛嬌。

【冬のポラリス】感想

【群像劇全年齢】



2017年12月29日販売
ステージ☆なな』様 ※リンク先公式HP
冬のポラリス】(PC) ※リンク先メロンブックス
以下感想です。








「どんな事があっても、貴方に会いに行く」「どんな事があっても、君を探し出す」
そんな、物語。



『【Winter Polaris
 現代、東京。
 ある日、スマホに飛び込んできたニュース。
 それは恐ろしい病気が流行し、人々がこの世界から消えるというものだった。
 最初は半信半疑だった人達も、次々と人が消える現実を受け入れるしかなかった。

 そんな中、人里に隠れていた主人公は、何故か一人だけ生き残ってしまう。
 誰の姿も見えなくなった町をさまよい、ようやく出会ったのは、自分のことを「不死者」と名乗る一人の女の子だった。

 【Sweeper Swimmer】
 とある港町。
 そこで暮らす主人公のエレナは一人の少女を海で救う。
 偶然、とても不思議な物を手に持っていた彼女。
 その謎を求め、二人は海へと旅立つのだった。』
(公式より引用)



こちら、『The Beautiful World』『クリアレイン』『最悪なる災厄人間に捧ぐ』(※リンク先感想)と連続で同じ方にオススメして頂いた作品をプレイさせて頂きましたが本当に外れる事無く。
それどころかピンポイントでみぞおちを抉られたような気持ちです。
みぞおち抉られ過ぎて、好き過ぎて息が上手く出来ません、冗談抜きで。


人が消える奇病が流行った世界、消えなかった青年と少女が旅をする【Winter Polaris】。
漂流した少女を救い、少女の願いと自分の夢を実現するべく海へ旅をする【Sweeper Swimmer】。
その二つで綴られるオムニバス作品。
片岡ともさんの作品は『銀色 -完全版-』(※リンク先感想)以来です。


儚くも消えそうな世界が儚い少女の雰囲気と淡いイラストで描かれ、フッと息を吹きかけるとスッと消えていきそうな世界と。
狭い世界の中、活気だけは忘れない太陽のような少女達の明るく元気な航海の旅路。
全く異なる世界観が交互に描かれ飽きる事無く、どちらの世界もゆっくりとしかし確実に明かされていく謎にグイグイと引き込まれて行きました。



『システム、演出』
コンフィグなどのデザインは世界観と一緒に考えると若干浮いていました。
開いた時に鳴るSEが合ってないと感じたのと、もう少し大人しい色合いが良かったです…
パステルカラーって…
あと、章選択画面の章の出し方がそんなに見栄えが良くないなぁと。
わざとあの配置なのでしょうか…?
「こういう意味があるんだよ!!」
という考察とか公式の説明とかあれば見たいです。
そういう細かい所を吹き飛ばす程の文章力と内容なので、話で言う事は殆ど無いのですが…
やっぱりノベルゲームも何でも見栄えが良いと嬉しいよね?という気持ちです。


『音楽』
おそらく背景と音楽は今までのねこねこ作品から流用なのでしょう。
ねこねこは「銀色 完全版」のみしかプレイしてないのですが、サントラは大抵持ってるので、曲がいくつか聞いたことある…となりました。
MANYOさん?となってクレジットで「まにょっ」とあり、安心しました。
「あとがき」で分かりましたがやっぱり流用のようで、私の耳も腐ってなかった。
ただ、各々演技などは同人的だと思いつつ慣れてきましたのですが、どうもツバキの収録環境が気になりました。
聞き分けできない耳を持つくせに声オタで申し訳ないです。
あと、主人公にボイスがあるらしいですが、実装されてない…と思います。
無いなら無いで良いのですが、あるなら聞けないのは若干損な気分でした。


『絵』
立ち絵などは基本無いですが、必要な時に必要な絵が出て来ます。
「あとがき」読んで分かりましたが、文章、文字の可能性を探っていらっしゃるようで…
確かに、文章だけでも十分に楽しめる物語だったので、それに絵と音楽が加わり最強になったようにも思えました。


『物語』
細かく区切られた章でサクサクと読みやすく。
文章も必要情報だけ丁寧に書かれスッと入って来るので全くストレスを感じる事無く世界観を堪能できる珠玉の逸品でした。


『好みのポイント』
Winter Polarisがもうダメでした。
好きの自乗…
もう、一生、ずっと一緒に居れば良いと思います…





以下ネタバレ含めての感想です





以下感想はリアルタイムで章が終わる毎に書いた物です。
最後に手のひらクルクルーとかするのでご了承下さい。
以下、各お話毎の感想。



【Winter Polaris
最初は普通に情報だけ受け入れ「なるほど…」くらいに読んでました、読んでたんです。
読んでたはずなのですが…過去が語られていく内にどんどんとその尊さにあてられ…
「不死者」である事、完全に死なない訳ではないという事、記憶は一部しか引き継げない事。
頭を潰されない限り生き返るが一度死ぬと今まで生きてきた記憶を失い、記憶は文字や学問的な分野以外の個人的な部分は一部しか引き継げない。
そんな不完全さを背負った「不死者」の二人。
何度も死んでは前に生きていた記憶を少ししか引き継げず生き返る。
この、「記憶を失った自分は果たして自分なのか?」のような題材はめちゃくちゃ好きなので凄くのめり込みました。


過去も最初は主人公がサクサクと人を殺すのでエゲツないなぁと思っていましたが、「不死者」として人と離れた人生を送っていれば納得。
同じような「不死者」を探す事だけに専念し、一人の同じ「不死者」の少女を見つけ出す…
少女を殺す事で「不死者」だと確信し、死んで生き返った際の記憶が完璧ではない「不死者」の自分の記憶の保険として再び出会った少女を連れ出し共に歩む事にする主人公。
「不死者としての記憶を引き継ぐ」最初はそれだけの目的のはずだったのに、長い年月で決して死なない二人はただの「保険」としての存在だけではなくなっていき…
この、長い長い時の描き方が本当に丁寧で…
自分は歴史に全く疎いのですが疎い人間でも分かりやすい時代の切り替わりの表現を使い、数々の人間が革命を起こした歴史を見て二人は渡り歩いて来たのだろうなというのが伝わりました。
そしてその長い歴史の中で描かれる二人の少しずつ変わっていく関係がもう…たまらんです!!
名前など死んで忘れ蘇る二人には意味がない中、少女を出会った時の名前「ツバキ」で青年を「貴方」でひたすらに呼び続ける二人。
どんなに名前が変わっても変わらない呼び方の二人。
途中、他の貴族である「不死者」を殺した事で追われ、離れ離れになったツバキと主人公。
主人公は追われる中で殺され、ツバキは長い年月をかけ記憶を失った主人公と会うが、自分の話を聞かれず落胆し一人になった中ツバキも死に…
「保険」の一つである「星の間」で記憶を読み、今度は人を寄せ付けないように魔女になって人を殺していくツバキ。
主人公も死に、死んだ事で過去の断片的な記憶を思い出し、再びツバキに出会い彼女の記憶を呼び戻す為にまたツバキを殺す主人公。
途中の流れはカットして語りましたが、この「何度でも死に、けれども何度でも蘇り、君に、貴方に巡り合う」というのがたまらなく好きなので、本当に破壊力が凄まじかったです。
時代を変え、場所を変え、彼と彼女は出会いと別れを繰り返し旅を続ける。


最後の…おそらく世界大戦前くらいはずっと一緒に旅をしてきましたが、その中で変化も有り。
女で子供の「不死者」としてはあまりにも脆く、記憶の「保険」としてはあまりにも役に立たたいツバキを特別に思い始めたり。
最後には「記憶が消える事が自然の摂理であり、それに抗うべきではない」と今まで記録していた記憶を捨てる事を選び自分の行動を変える主人公。
「#01 終わる世界」の序盤や「#03 保険」の事故の後など初回プレイだと全く意味が分からなかったのですが、もう一度読むとなるほど…と。
ここでツバキを殺し「星の間」を焼き一人の少女として生活をさせたのと、事故で再び記憶が戻りツバキは旅立つのですね…なるほど。
主人公もどこかで死に記憶を失い、記憶を失った中でツバキと再会し、そして本編スタート。


過去が明かされてからの本編がどんどん切なくなる切なくなる…
ツバキがどんな気持ちで主人公を見てるのかと思うと…胸が苦しい。
二人の関係の重要性は過去に集約されてますが、過去を知ってから二人の会話を読むと切な尊くて…これは二周目が捗るタイプ。


『肝心な時に、保険として用を成さなかった。
 これから先も、保険として機能するとは思えない。
 ……なのに、再び一緒に過ごせることを、
 どこか喜んでいる俺もいた……』
『「では、お前の人生は………貰った」』
『「だが、お前がツバキである限り……
 お前の人生は、俺のものだ……」』
『わたしの……生涯を捧げた相手だった……』


など、もう夫婦かな?というか夫婦以上の何かだろ!!!
と言いたくなるくらい、とにかく細やかな所で破壊力が抜群なのですが、過去の最後の結論が…


『200年以上も生きて理解した。
 あの人と、300年近くを共にして、ようやく気付いた。
「わたしは、死ぬのが怖かったわけじゃない……」
 辛い過去を引きずることでも、
 この先の長い生を、たった一人で生きることでもない。
 本当に怖れたのは、あの人のことを……忘れること。
「今のこの気持を……失うのが怖かったのだ……」』


だったのがもう…
沢山の事を背負った、沢山の理由で行動した、沢山の感情があった。
けれども、本当に大事な事だったのはたった一つの真実で、その真実に最後に気付く。
そういう気付き方に弱いのでツバキの最後の願い、真実には気持ちを抉られました。
そして気付き、殺され、また出会い、今度は約束通り主人公独自の文字の意味を教えて貰う。
そしてまた、二人は別れる…
想い合ってるのに、気持ちは一緒なのに、それでも離れる道を選ぶ二人が切なくて切なくて。
それまで小分けに大切に大切に読んでいた物語のエピローグを、もう一気に読み進めました。



【Sweeper Swimmer】
正直、最初はマリーの行動にドン引きしてました。
助けて貰っておいて反省もせず自分の欲のままに行動し続け、更にはエレナの船も盗もうとする…
「えぇ…」な娘さんで…
なので、若干「Sweeper Swimmer」の読む速度が遅かったです。
…まぁ「Winter Polaris」があまりにも好み過ぎたという所も大きいですが。

ですが「#06 Caro Mia Memoria」辺りから「ん?」と思うようになり。
「Winter Polaris」でコンスタンスが出た辺りで「おお??」となり。
一つの物語をずっと追う事が出来ない構成になっているので「Winter Polaris」を中心にして読み進めてましたが…まさかそういう事だとは。
オムニバスだと思ってたらオムニバスじゃなかった!!
「#08 瓶詰めの世界」で「うわぁぁあああ!!!」でした。
いや、素直に騙されました!!

繋がってるとしても、文化から逆だと思ってました。
「Sweeper Swimmer」→「Winter Polaris
だと。
「Winter Polaris」→「Sweeper Swimmer」
だったなんて!!!!
くそぅ!!!やられました!!!!
途中普通に死んだ事や「不死者」を受け入れているので、???でしたが…
あぁ、なるほど…

人類が滅び「不死者」だけが生き残り、文明が滅び中世辺りの文明でスタートしてる物語なのですね…
そりゃあ技術者も死ねば(消えれば)文明も退行します。
なるほどでした。

「Winter Polaris」でどんどん文明が栄えて行く姿が丁寧に描写されていたので、その文明が「Winter Polaris」→「Sweeper Swimmer」の空白の間に退行してる姿が何とも皮肉で。
あぁ、永遠なんて無くて、必ずどこかで滅びるんだと強く思いました。

主軸はどうしても「Winter Polaris」で、二人の行動が大事な事とはいえ時代の真相以外はパンチが弱めなのが若干ネックな所が残念かな。
あと真相を知り、マリーの行動も「不死者」としての自分の記憶を辿る本能的な事だと分かり納得ですが、真相知らないままだと「なんて子だ…」になるので、その辺りって難しいですよね…
傍若無人でも意味があれば手のひらクルクルーするので個人的には今はもう殆ど気になりませんが(笑)
正直、「Sweeper Swimmer」は本編よりもコンスタンスがどうしてエレナになったのかが気になりました
そこは別に…の方も居そうですが、私はコンスタンスが凄い術者で凄腕そうだったので、めちゃくちゃ気になりました。



【冬のポラリス
そして、物語は繋がり、彼女は旅立つ…
エレナとマリーの手紙を受け取り、自分の筆跡とは違う、そして彼しか知りえない文字が描かれた手紙を見つけお互いの未練に辿るように二人は惹かれ合う。
最っ高でした。


主人公もツバキも、結局諦められてない所がベスト。
「何度死んでも、貴方に会いに行く」「何度死んでも、君を探し出す」
最初に書きましたが、まさにこの言葉が似合いすぎる物語。


冬のポラリスが輝き続ける以上、きっと二人はまた出会うのでしょう…
そして、もしかしたらまた別れ、でもまた出会うのでしょう。
きっとそういう星の下に居るのだから、二人は早く諦めた方が良いです(笑)



「冬のポラリス」何もかも最高だったのですが、物語的にいくつか気になった事を上げるとするなら、


・人類消滅の理由
・「不死者」の意味


などは若干気になりますが…そこは気になってもそんなに意味が無いポイントなんだろうなとは思います。
多分そこは重要じゃない。
そう思える程、THE・主人公とツバキの物語!!でした。
(あと、個人的に知識が無さ過ぎて時代や地名とか星によって導き出される場所などは分かりませんでした、この辺りはマジで無知過ぎて…もし再プレイする時は勉強しながらやります!!)


本当に、最高に物語が素晴らしかったです!
前にプレイした「さささぐ」は最初から「二人の世界」で最初から好みのストレートが効いていたのですが、「冬のポラリス」は中盤からの一撃一撃が重く効いて…
最後にバッドエンドではなく一縷の希望があるのが良いです。
きっと二人は出会うのでしょう…ってか出会うだろあの二人は!もう離れられない運命だよ!!
…とカプ厨の私は勝手に思ってます。


『「きっと次に会った時は……」
 「……ツバキじゃないかもね……」』


とツバキが言う様に、ツバキも主人公も次は違う名前で新しい今の人生を送るのでしょう、二人で!!


正直好み過ぎて好み過ぎて…
今まで「ステージ☆なな」様はサントラでしか寄らなかったサークル様でしたが、今後「冬のポラリス」関係が出るのでしたら意地でも寄ろうと思います!!
「出会い別れ、どんなに離れても、また出会う」最高の「二人の物語」を有り難うございました!!



【余談】
全年齢だから最高!と思う部分と(折角ねこねこの人達だし)エロも読みたい…となるこの複雑な心境。
今後サークル様で「冬ポラ」で何らかのエロが出たら、多分いの一番でサークルに行くと思います!
気持ちは正直です(笑)