ひっそりと群生

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【Eveplus】感想

【女性主人公全年齢】



2020年09月21日配信
『ミレンコリン酸』様
Eveplus】(PC&ブラウザ) ※リンク先ノベルゲームコレクション
以下感想です。








優しげな世界の中、彼女を着飾り自己愛に塗れた選択を繰り返す。



『女の子が産まれました。
 それはとてもとても可愛らしい女の子です。
 子守りのためにメイドロボットをお迎えしました。
 娘と夫とわたし、3人で仲良く暮らすお話です。』
(公式より引用)



プレイ時間は約10分くらい。
分岐有り。


近未来の世界、お腹からの出産が一般的ではない時代で出産をした母親と娘の成長の為に買われたメイドロボットの物語。
時間は10分くらいと短いですが、公式のタグに「鬱」とあるように、短い中で軽くサクッと作られた、けれど、今までの優しげな世界が全て吹っ飛ぶような苦しい鬱を体感する事が出来ました。



『システム、演出』
ティラノ製。
メッセージスピードの変更が効かないのと、履歴が若干背景の絵で見辛かったです。
ただ、10分くらいの物語なので気にはなりませんでした。


『音楽』
オルゴールとピアノ曲
短い作品なので曲数は多くないですが、静かに優し気な曲が世界観に合っていました。
…振り返ると世界はどこも優しく無かったですが……


『絵』
ほぼ一枚絵で進行、メイドロボットのイブのみ立ち絵有り。
色彩が無く、真っ白な世界が近未来的でもあり、無機質さと同時に仄かに柔らかく暖かくもあり。
イブにのみ色彩がある所がどこか皮肉にも感じました。


『物語』
文章は読みやすくサクッと終わります。
予想は付く展開ではありますが…
実際予想通りに来られるとウッとなります。


『好みのポイント』
エゴエゴしい所が大変好みです。
なーにがナチュラル出産で自然分娩じゃ!!という気持ちが溢れました。





以下ネタバレ含めての感想です





ホワッと白く柔らかく感じられる絵柄、そして近未来の中で人口出産ではなく自然出産を選んだという部分から非常に優しげな世界に感じますが、その本質は親の自己愛しか無く最初に提示された世界とは真逆の真っ黒さがあり、公式タグの「鬱」に非常に納得しました。
イブに娘を投影する展開は娘が亡くなった辺りから予想は付きますし、娘と同じになれなかったイブを捨てる展開も予想は付きましたが…実際に予想通りになるとやっぱり堪えます。


結局、この親は人口が嫌で自然が良い~愛があるから~みたいな言い分を最初にしていましたが、自己愛しか無かったんだな…と。
娘に「こういう髪型や服を着て欲しい」と言っていましたが、もし実の娘が生きていて両親の理想の道から外れたらを想像すると…
うん、イブに近い形で捨てられてたんじゃないかな?と容易に想像出来ます。
言い方は悪いけど途中で病死してよかったんじゃないかな、どう考えても毒親まっしぐら案件なので。


途中の選択肢で娘と完璧に同じ姿にイブを仕上げるとトゥルー、娘と違う姿に仕上げるとバッドに行きますが、目と髪の選択は盲点でした。
いや、ちゃんと読んでたり絵を見てたら分かる事だとは思うのですが…選択肢にあると別の選択を選んでしまい。
アホなので攻略見てしまいましたが、確かに目の色も髪の長さも娘と一緒ですね、やられました。
でも、これだけ沢山の選択肢があるのに、イブが捨てられない未来は娘と同じ姿しか無いのを考えると…エッグい話だなと思います。


ロボットではありますが、今まで仕えてくれたイブの全てを切り捨て自分の娘の姿にして、正しくなければ捨て、正しければ娘として暮らす。
人工出産が出来、ロボットが居て科学が発展したどんなに近未来でも人間は人間のままだなぁという事を感じる短いながらにサクッと上質な鬱を体感出来る作品でした。