ひっそりと群生

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【第12動画欠番】感想

【男性主人公全年齢】



2020年08月30日配信
POST COMMERCIALS: ALLIANCE』様 ※リンク先公式HP
第12動画欠番】(PC&ブラウザ) ※リンク先ノベルゲームコレクション
以下感想です。








これはフィクション?ノンフィクション?それともフィクションでノンフィクション?
創作と現実の間で脳を揺さぶられろ。



『現役のゲームライターが運営するYoutube番組『令和ビデオゲームグラウンドゼロ』。
 第12回目のトーク収録にて、ビデオゲームシーンの先行きを高い精度で予測する業界人
 安嵜 公司朗氏をゲストにこれからのビデオゲームの未来についてトークを行った。

 ところが、安嵜氏は「数十秒先の未来予測の声を聴き、望ましい未来を引き寄せる」と自称する。
 果たして彼は正気なのか?それとも未来予測の声は本当なのか?

 プレイヤーは番組のゲスト・安嵜の視点となり、未来予測の声を聴きながら
 緊張感のあるトークテーマを前に、どんなトーク返していくかを選択していく。』
(公式より引用)


プレイ時間は約4時間45分くらい。
分岐有り、EDは3つ。


内容は上記のあらすじ通りなのですが、ゲストとしてやって来た安嵜 公司朗(あんざき こうしろう)が持つ未来予測がかなり特殊で。
安嵜は未来に起こる声を聞く事が出来ます。
この「未来予測の声」というのが特殊で、「淡々と未来に起こる事が声に聞ける」や「安嵜が望んだ未来を掴み取る」というような未来予測では無く、「未来予測の声」自体に意志があるかのように「未来予測の声」が望む未来を持っていて、その望む未来に導くように安嵜に語りかけて来ます。
未来に起こる事の声を聞き、聞いた声の通りに行動すると声の言っている通りの未来が起こる。
しかし、安嵜は全て未来予測の声通りに動いたら自我を失い崩壊し、そして未来予測の声を無視し続けても未来予測の声の逆鱗に触れる形で自我崩壊を起こします。
つまり、「未来の声を聞きすぎても、未来の声を聞かなすぎても駄目になる」という本人が言う通り綱渡りの状態にあり。
プレイヤーは安嵜の視点になり声を聞きながら未来の声を聞き、「未来予測の声に従いつつ、適度に予測から外れる」行動を行いトークを完遂させるというのが本作の趣旨になります。


未来予測系のSF的な側面を持ちつつ、演出が映像ノイズや不快感を感じる画像がサブリミナル的に何度も画面に現れ。
未来予測の綱渡りを失敗すると安嵜自身や安嵜の周りの世界が崩壊する流れなどがホラー調の為、ホラーが苦手だったり心臓が弱い方は注意した方が良く、ジャンルとしてはSFホラーという感じでした。


「未来予測の声」にそれなりに従うとED1。
ED1後に「未来予測の声」の望みの未来に反する選択肢を選ぶとED2。
そしてED2後にタイトル画面からED3に行けます。
ED2に行くのが個人的に非常に難しく。
順当に行けば本作は2、3時間くらいで終わると思いますが、自分は躓き過ぎて5時間近くかかりました。


「音声を聞く事が必須」と注意書きにあるように、耳で「未来予測の声」を聞き、「未来予測の声」が導きたい未来を知り。
未来で彼らが行うトークを聞き、「未来予測の声」に従ったり抗ったり。
耳で聞いた事を頭で纏めてその後の行動を選択し「未来予測の声」に向き合うという手順が文字を読むのが中心のノベルゲームの中ではかなり異質で。
「怪作」や「実験作」という言葉が似合う作品でした。



『システム、演出』
ティラノ製。
文字表示速度の変更不可。
聞く事を前提にしているのでイヤホン必須。
ただ、「未来予測の声」が重要なのは分かりつつも、履歴などで聞いている「未来予測の声」が文字起こしされて見えたら便利なのにとは思いました。


『音楽』
機械的だったり、ノイズだったり、そういう音の使い方がとても上手かったです。
BGMも正常から異常に揺れ動く度に変化し、安嵜の不安定さを引き立てていました。
ただ、ライター業の方がディスコードで話しているという設定なので仕方ないのですが、耳で聞く事が前提でありながらもボイスは聞き取りにくい所があり。
ボイスが声優やナレーター業で活動されている方では無い為、滑舌や発音関係で耳が滑る所がありました。
耳からの情報を取得するのが苦手で聞こえたもの殆どが空耳アワーになるタイプなので、「聞く事で判断する」という本作の作りは慣れるまで時間がかかりました。


『絵』
ほぼディスコード画面で進行。
所々で挟まる映像が異質さを際立たせていました。
男性の画像や少女の画像など、怖いです。


『物語』
安嵜が主人公(?)で彼の視点でありながらも、決してプレイヤーとイコールにはならず。
ひたすらに語りかけてくる「未来予測の声」で精神がすり減り安嵜の事が心配になりました。
「未来予測」とは物によっては決して良い事ばかりではないと創作では沢山語られていますが、実体験のような演出で「こんなに気が狂いそうな世界は嫌だ、これなら未来予測は要らない」と思わされました。


『好みのポイント』
彼らは「ゲーム」を基準にしながら「自由」とは何か?を専門用語を混ぜながら語るので会話自体は結論が出せるような物では無く非常に難しく感じましたが、「自由」を題材にしながらも決して自由では無い安嵜の対比が興味深く。
「自由」でありながらも未来は一つしか無く。
そういう事象から「現実は「自由」なのか?」という事を直接は言わない中で突き付けて、現実と創作の境界が曖昧になっていく感覚が凄かったです。
数々の演出からも脳を揺さぶる不安定さが放たれ、全てのEDを見終わった時には頭がフワフワしていました。
不安定な人は今作に触れないほうが良い、それほどまでのパワーがありました。





以下ネタバレ含めての感想です





ED3や終わった後に公式などを見ると「令和ビデオゲームグラウンドゼロ」さんは本当に存在し、本当に12番の動画が欠番らしく。
今作はフィクションを織り交ぜながらもノンフィクションである事が随所で明かされます。


正直、トークの内容は「ゲームを語る」とありますが「表現の自由」「多様性」「ポリコレ」「各々の思想」の会話で「このゲームのここが楽しかった」「このゲームはここがオススメポイント」などのゲーム語りではなく、「答えを導き出したいのでは無く、既に自分の中に答えがある事を人に語る」という言ってしまえば「インターネッツ・バトル」を行っているので、個人的には合わなかったというか、こういう会話は好みではないというか。
公式でヒントはありますが攻略自体は無くルート分岐がかなり難しめで、ちゃんとした分岐に辿り着けない限りずっとこの会話を聞き続けなければならず。
ノベルゲームという媒体じゃなければ絶対に聞かない言論を聞いていたので正直疲れた所はあります。
上記で語った通り、耳からの情報が得意では無い+ボイスも聞き取りにくい所がある+専門用語のオンパレードなので内容も合わさり最初は何を言ってるか全く分からず。
どうにかこうにか周回する事で言いたい事を察せて進めたので良かったのですが、話の内容自体にはさほど興味は惹かれませんでした。


ただ、「未来予測の声」が「自由」を求めて「自由」を語りながらも安嵜本人は全く「自由」から遠い存在だったり。
巧みな映像演出と音楽により常人ですらも安嵜と同じ綱渡りをさせられていく感覚。
「自分の選択は果たして「自由」の元に本当に自分が行っているのか?」と不安になっていく感覚。
「自分は操られているのでは?」「未来は既に決まっているのでは?」などなど、決して自分では知覚出来ない所にまで不安が届き、今まで普通にプレイしていた人間ですらも統合失調症のような感覚を抱かせていく。
そんな現実と創作の境目をジワジワと削っていく、人を不安定にさせていく力が間違いなく本作にはありました。


ED3で明かされる本作がほぼノンフィクションで本作のような会話が実際に行われた事を知った時、ディスコードで殆ど面識の無い人とこんなに息苦しい会話になっていくのは辛いな、嫌だな、と素朴に感じました。



ハチャメチャにED分岐が難しかったので、自分なりのメモ。
「ED1」
ビデオゲーム未来に来るべきもの>
・基本「未来予測の声」は聞く、ポンという音が鳴ると「未来予測の声」に従った合図。
・「未来予測の声」が聞こえない選択肢は基本同意の方を選ぶ。
地震は伝える。
・コーラスSEと男性の画像を出す。
<多様性の未来>
・基本「未来予測の声」は聞く、ポンという音が鳴ると「未来予測の声」に従った合図。
・「踏みつける」に関しては反論する。
・コーラスSEと街で人が歩く映像、男性の画像を出す。
<メディアの未来>
・基本「未来予測の声」は聞く、ポンという音が鳴ると「未来予測の声」に従った合図。
・「フリーランス◯代の壁」は一度間違える。
・コーラスSEと中世的な画像を出す。

「ED2」
ビデオゲーム未来に来るべきもの>
・第一の声は逆を選ぶ。
・ジャンルについて語る。
・第二の声には従う。
・葛西には同意。
・第三の声には従う。
・葛西には同意。
地震を起こさない。
<多様性の未来>
・第四の声には従わず曖昧な解答をする。
・国内の事を語る。
・第五の声には従わずリアルに目を向ける。
・現実をゲームを結びつける。
・第六の声には従わず現実を見る。
・第七の声には従う。
<メディアの未来>
・第八の声には従わずポジティブな意見を言う。
・第九の声には従わずポジティブな意見を言う。
・コーラスSEが入る

「ED3」
・トップ画面から行ける。


以上。
ED2が何度も試して無理でしたが一度間を置くと行けました。
ED2回収の為寝ずにプレイしましたが、どんどん不安定になって行ったので睡眠を疎かにしてプレイする作品では無かったです。