ひっそりと群生

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【MOOZ】感想

【男性主人公全年齢】



2021年03月26日配信
『MotsuHouse』様
MOOZ】(PC) ※リンク先ふりーむ!
以下感想です。








救えたのか、救えなかったのか、救われなかったのか。



『友人とのオンライン飲み会。 その背後にはナイフを持った人物が潜んでいた。
 気の知れた友人との、オンライン飲み会。
 楽しく談笑する友人。
 その背後には、ナイフを持った人物が潜んでいた。
 それに気づいたあなたは…

 友人を救出するために、どんな行動を選択するのか?
 そして、救われるのは誰か。

 様々な結末から見えてくる、事態の深淵。』
(公式より引用)


プレイ時間は約30分くらい。
分岐有り。


主人公の小宮が友人の村田とMOOZ(ZOOM)飲み会中。
村田が席を立った際に謎の女が後ろの部屋に入っていくのを目撃してしまう。
戻って来た村田になんとか女の存在を伝える為、主人公はあらゆる手を考えて行く。


直接危険を伝えるのもアウト、間接的に危険を伝えても鈍感な村田は気付かずに眠ってしまいアウト。
数々の行動を繰り返す内に出来る行動が増えて行きます。
DEAD ENDを迎える度に浮き上がってくる真実。
果たして主人公は村田を救えるのか?女は何者なのか?
現代の情勢から上手く「オンライン飲み会」という要素を盛り込みホラーというジャンルに使っていたのが上手かったです。
真実のエンディングに辿り着くまでに二転三転する物語にホラー要素が絡まり、緊張感が漂うオンライン飲み会でした。



『システム、演出』
Adobe AnimateCC製。
あまり触れた事が無いツールでウィンドウから離れると止まってしまいますが、動きなどはスムーズでキャラの動きやUIなどの操作感はとても良かったです。
女の目だけが襖から見えたり、スーッと女が画面の前を歩いて行く恐怖は凄まじかったです。


『音楽』
作風もありホラー系の曲が多め。
ジワジワと恐怖の世界へ誘われました。
所々コミカルな曲になるシーンもありますが、そのご突き落とされるかのように自体が悪化する事が多く、音楽での緩急の付け方が上手かったです。


『絵』
登場するのは村田と謎の女。
村田が作中で言われるように「モテるけど鈍い」というのが村田の行動から感じ取れて良い動きをしていました。
そして謎の女が怖い!
包丁を持ちスーッと歩く姿、血飛沫を浴びた姿、何もかもが現実離れしており。
ラストのボタンを押したしなやかで血行の悪そうな手が頭から離れません。
各ED時に挿入される一枚絵も「主人公や村田から話題が離れ、都市伝説化した謎の女」を表すのにピッタリの一枚絵で。
色が仄暗く線が細い絵がホラーを盛り上げていました。


『物語』
最初は出来る事が少ないのですが、色々な行動を取って行く内に出来る行動が増えて行きます。
増えた行動は次の2周目から引き継ぎ可能。
DEAD ENDを迎える事で出てくる話題もある為、おそらくDEAD回収は必須。
新しい話題が解放されると!マークが付くので、新しい選択肢は分かりやすくストレスフリーでした。
クリアして振り返って見ると道筋はシンプルでしたが、プレイ中は村田を救う為に試行錯誤する感覚と焦りが楽しかったです。


『好みのポイント』
EDを迎える度に二転三転する流れがとても良かったです。
謎の女を疑い、村田を疑い、警察を疑い、世間を疑い…
何を信じれば良いのかが分からなくなっていく所もまたホラー、そしてサスペンスらしく。
TRUE ENDではなるほど…と打ちのめされました。





以下ネタバレ含めての感想です





辿ったEDは、
「DEAD END5 うしろの正面」
「DEAD END2 新・都市伝説」
「DEAD END3 目撃」
「DEAD END1 「ありがとう」」
「DEAD END6 星落ちる」
「DEAD END4 心中」
「DEAD END7 遺品」
「NORMAL END 抜け殻」
「TRUE END お礼参り」
の順で到達。


『「DEAD END」回収』
村田が、死にます、以上。
嘘です、色々な情報が開示されます。
ただし村田は本当に死にます。
謎の女が都市伝説化したり、新たな謎が浮上したり。
謎の女の情報が少しずつ開示されたり。
おそらくTRUEの展開的にDEAD ENDは通るのが確定なのだと思います。
特に「星落ちる」では重要な話題を手に入れる為、必須END。
星が落ちるのと同時に村田の命もおそらく落ちたと思われる演出が良かったです。


『「NORMAL END 抜け殻」』
今までの女の「ありがとう」や「助けて」という言葉が回収されるED。
謎の女が実は村田に監禁されており、女を救出するが村田を通報はせず。
主人公と村田はそのまま友人関係を続けるが、主人公は村田の狂気に怯えながら表面上の友人関係を取り繕って行く。
幸せそうには全く見えないEDですが、DEADやTRUEを見ると正直一番マシなEDだと思います。


『「TRUE END お礼参り」』
女を救い村田を通報したが村田は捕まっておらず、村田の「別れた」と言っていた彼女がMOOZに現れて…
各DEADやNORMALでの女の行動が全部ブラフで最初に懸念していた通り、女が一番ヤバかったという真相。
途中、NORMALが挟まる事で良い感じに二転三転を味わえましたが…選択肢的にTRUE→NORMALにも行けそうなので、その場合は印象が変わりそうです。
自分はNORMAL→TRUEの順だった為、最後に「恩返し」に来た女と「本当の彼女」を見せる村田を見て「あっあっあっ…」となり刺された瞬間に「終わった…」となりました。
その後、おそらく女は村田の家にも向かい村田と彼女を殺すと思うので…
たしかにTRUE(真実)ではありますが、GOODでは決して無いという所がホラーらしくて好きです。
TRUEは真実であり「良いED」では無いというエンディング構成、大好き。


全体を通すとやっぱりNORMALが村田も主人公も死なない為マシに見えるのが何とも。
村田を常に疑い続ける為、「真実の友情」は失いましたが命あっての物種として生きては行けるので良い、の…かなぁ?
出来れば村田も死なず、村田との友情も壊れず、主人公も死なないEDがベストなのでしょうが、「そんなEDは無い!」と言わんばかりにEDが実装されていないのでこれはもう仕方ない。
本当なら謎の女が捕まるEDも欲しかったですが…この後味の悪さもまたホラーらしく暗く邪悪な味が染み渡り作品を彩るEDだとも思うので、オールBAD ENDな作品が好きな人にはたまらないと思います。
後味が悪いホラーやサスペンス好きにオススメしたい作品でした。