ひっそりと群生

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【マッチングアプリで出会い厨してみた】感想

【男性向け全年齢】



2021年04月30日配信
『茶碗蒸し』様
マッチングアプリで出会い厨してみた】(PC&ブラウザ) ※リンク先ノベルゲームコレクション
以下感想です。








時に騙され、時に親密に、時にホラーに。
顔を知らない相手とのコミュニケーション。



陰キャ大学生の主人公(名前変更可)は、人生初の彼女を作るため、マッチングアプリ『マリーズ』を始めた。
 期間は、無料キャンペーン中の7日間。
 はたして、無事素敵な女性と出会うことができるのか……?』
(公式より引用)


プレイ時間は約1時間30分くらい。
分岐有り、ED5つ。


最近名前をよく聞くようになった「マッチングアプリ」をメインにした作品。
マッチングアプリの事がかなり詳細に描かれ、マッチングアプリをする際に押さえておくポイントや顔が見えない事で巻き起こる状況など、現代の新しい出会いの仕方によって物語が四方八方に動き、数々の「出会い」による物語が展開され、勉強になったり怖かったり、自分の人生では中々に巻き起こらない状況を体験出来ました。



『システム、演出』
ティラノ製。
メッセージ速度変更不可、既読はスキップ可能。
マッチングアプリ」というアプリの特性もあり、見た目がアプリ調でとてもオシャレでした。
そのオシャレな中でも「モテる男のサイト」の作りが虹色のHP名にダサいリンクなど、あまりにも「古のインターネッツ」の作りで燦然と輝いており逆に笑ってしまいました。


『音楽』
素材曲。
こちらもまたオシャレな曲が多く、作品に凄く合っていました。
タイトル画面で流れる曲が好きです。


『絵』
重要なキャラには必ず立ち絵などがあり、見応えがありました。
中でも、人の美醜というのは絵で描くのが難しいと思っているのですが、そういう容姿での引っかかるポイントを的確に描かれ、それにより主人公が現実で出会った時に向ける感情をリアルに表わしていたと思います。
それぞれの女性が見た目でも特徴的で良かったです。
と、言いながらも個人的にはホラールートで影絵が出た時に笑ってしまいました。
結構ガチめに怖い展開になったので「絵のノリもかまいたちの夜にしなくても(笑)」と笑いました。


『物語』
現代らしさを取り入れながら、物語としては一種の王道さも併せ持っていたと思います。
人は見た目では無いけれど、見た目の要素は大きいというのを主人公の反応で感じ取る事が出来、容姿を語る事が拒まれる今の世の中ですが、「第一印象は大事」というのを包み隠さずに描いていて良かったです。


『好みのポイント』
マッチングアプリ」の世界は全く存じ上げなかったのですが、今作で触りだけでも知らない世界を覗けて良かったです。
勿論、これが世界の全てでは無いとは思っていますが、いつかなんらかの形で「マッチングアプリ」に触れる機会が出来た時、本作のポイントを思い出してみたいと思いました。





以下ネタバレ含めての感想です





会話での印象と違ったり、写真とモロに違ったり、宗教勧誘だったり、果てはホラーになったり。
数々の可能性を見せて貰いましたが、一番はやっぱり「実際に会うまでは写真の本人か分からない点」が「マッチングアプリ」のミソだと思っています。
ネットとはそういう物、というのを強く突き付けて来ました。
自分は趣味のオフ会にしか参加した事が無い為、話さえネットと同じく話せれば外見での印象などは気になる事は無かったのですが、恋愛が絡むとそうはいかない辺りがリアルで。


最初、主人公がどう見ても普通なのに「俺はお前達うるさい側とは違う」みたいなイキリムーブから始まったので「大丈夫かな…」と心配にはなりましたが、後半なんだかんだ主人公が善人だったのはとても好きでした。
確かに序盤イキっては居ますが決して人を傷付ける事はしない所は、騒いで陽キャをやって小さな一言で弱い人間を傷付けて行く、そんな人達よりも好感が持てます。
ED4までは全く明るい未来が見えなかった為、どうなるか不安でしたが、TRUEで主人公が救われて良かったです。
(ED4に至っては明確にBADっぽいですし…異界に取り込まれてそう…)


TRUEの方向性はある程度の予想が出来、予想通りではありました。
「佐々木さんがこの中の誰かなのだろうな~」という予想があり、一応的中。
物語的には王道で分かりやすく非常に型に嵌まったEDだと思います。
…が、しかし、このEDがTRUEなのを納得しつつも「マッチングアプリ」を題材として見た時に、「それってどうなのだろう?」と思う所はありました。
結論が「現実で出会った女の子がTRUEの相手で添い遂げる相手」というのは「マッチングアプリ」を題材にしててそれはちょっと「マッチングアプリ」というコンセプトに合ってるのかな?みたいな、そういう気持ち。
確かに佐々木さんは佐々木さんルートではMさんではあったので「マッチングアプリで出会った相手」で間違いは無いのですが、現実スタートの人物でもある為、「マッチングアプリしてなくても出会ったんじゃ…」感があり。
勿論マッチングアプリがあって話しかけてくれて、ラストにマッチングアプリがあったからデートをした訳ですが、個人的には最初から最後まで「マッチングアプリだけで出会った相手と添い遂げる」をやって欲しかった所があります。
そういうマッチングアプリだけで出会って付き合うルートが一切無いので、「マッチングアプリとは?」となり。
佐々木さん、おそらく高校時代に同じクラスだったとは思い、そういう所も運命的で好きではあるのですが、そうなって来ると更に「マッチングアプリでの出会い」からは離れて行く気がして。
ルートに一つでも「マッチングアプリのみからの恋愛」を入れていて欲しかった所があります。


あと、マルチエンディングでパラレル方式な為、Mさんの存在が通常ルートと佐々木さんルートで異なるのですが、通常ルートのミユキさんが取って代わられたのもなんというか…切ない気持ちになったというか。
結局真ヒロインの佐々木さんには勝てないんだなーみたいなそういうメタな気持ちというか。
まぁ、そこは、Mさんルートで主人公はミユキさんとはくっつかない事が少しの救いだなとは思っています。
ミユキさんは佐々木さんルートでは「マルチエンディング」をしておらず、人生の中で結婚していると思っているので、ミユキさんはミユキさんで幸せになっていると信じています。


マッチングアプリ」物としてのTRUEの方向性には思う所はありつつも、物語としては王道で、スッキリとした後味を得る事が出来る作品でした。
未知なる世界のほんの一部分かもですが、知る事が出来、今の時代の「出会い」という物に少しばかり触れる事が出来ました。
「出会い系」「マッチングアプリ」そういうのをあまり好ましく受け取れないくらいの年代に入るのですが、新しい時代の出会い方として別の視点を得る事が出来て良かったです。