ひっそりと群生

ひっそりと持ってるCDの情報やゲームの感想上げたり。購入物の記録など。気ままに。飽きっぽいので途中で止まったらご愛嬌。

【SNOW】感想

【男性向け18禁】



2003年01月31日発売
Studio Mebius』※リンク先公式HP(18禁)
SNOW】(PC)(18禁) ※リンク先wiki
以下ネタバレ含めての感想です。








プレイ時間は約10時間くらい。
7でもインストール可。
ディスレス起動不可。


「SNOW」のPC版は初プレイですが、PS2移植版はギャルゲーハマり期に3周は確実に通しでプレイしてるので内容は知っている為ほぼ再プレイ状態になります。
フリゲや同人ゲームはもう諦めましたが、商業はプレイ本数が少ない為、全部感想を書いていきたいと思い再プレイ。
初見時の感想は書き残して居なかった為、所見の初々しい感想は書けませんが、こうやって何かしら文章として形には残しておきたいと思います。


「SNOW」は自分の中でかなり思い入れの深い作品です。
「輪廻転生系」に最初に触れた作品で、自分の中でこのジャンルの原点の作品になっています。
出会いはおそらくギャルゲーハマり期の中でパラダイムノベルにもハマっていて、パラダイムノベルで「SONW ~儚雪~」を読んだ事が発端だったはず。
小説版はシリーズ物で「SONW ~儚雪~」は澄乃編となっており、澄乃編はプレイした方なら分かると思いますが、ラストに澄乃が亡くなり、その後神社で桜花を抱えた澄乃と対面し終わるという澄乃編だけでは全く全貌が分からない終わり方になっています。
小説版は澄乃編しか買っておらず「EDがよく分からない」となり、その後、PS2版をゲームショップで見つけプレイしました。
「輪廻転生系」も初ですが、最初は澄乃と旭しか攻略出来ず、澄乃攻略後にLegend編解禁、Legend編後にしぐれ、そして桜花に続きPS2版では桜花後に芽依子が攻略可能という完全攻略固定型の作りになっていて、攻略順固定ギャルゲーとしても初プレイでした。
なので、最初は澄乃→しぐれと攻略しようとし、全然進めずに躓きまくった記憶。
今でこそ攻略サイトを見ますが、当時はネット環境が無かった為、自力クリアしか無く…順序に気付くまでにひたすら時間がかかりました。
そういうギャルゲーでの様々な「初めて」をSNOWは持っていった為、どうしても思い出補正が強く。
今見ると「輪廻転生系」の王道も王道で先が読める物語ではありますが、当時の自分にとって「攻略固定順があり、序盤のヒロインで謎や不思議が提示され、他ルート攻略を進める度に謎が明かされ、最終ルートこそがハッピーエンドでオールエンド」という流れはそれはもう衝撃的で。
この作品によって「ルート分岐をする事はこういう話の見せ方も出来るのか!」と物語の新たな見せ方を知った作品でもありました。
なので、今作を冷静に見る事はほぼ不可能になっている部分があります、自分の中での青春なのでこれはもう仕方ない。
PC版は大分今の自分の感覚で読む事が出来ましたが、PS2版を周回し過ぎているせいで主人公以外の台詞が出る度にPS2版のボイスが脳内再生されて、プレイしながら笑ってしまいました。
いやぁ、本当に、思い入れ深い作品なんだなぁと。


ですが、そういう贔屓目を抜きにしても2003年のエロゲとして美術方面は凄いとプレイしながら思いました。
人物画も綺麗な方なのですが、個人的にそれ以上に装飾関係の美術の人達が凄いと思っていて。
特に雪の演出にはこだわりを感じます。
雪が降るパターンが3、4パターンあって。
少し降る雪や多めに静かに降る雪、ちょっと吹雪いてきた雪に大吹雪と、タイトルに「SNOW」とあるだけ雪に全く妥協が無く。
「窓の外に見える雪」とか結構面倒臭いスクリプトになりそうなのにどの背景でも雪が降っていると窓の外でも必ず雪が振っていたり。
登場人物がずっと雪の中立っていたら雪化粧が身体にかかっていたり、Legend編でも洋服が汚れたり。
登場キャラの身長によって上下に視線がスクロールしたり、桜花とさくらには抱え上げる特殊な立ち絵があったり、澄乃を背負うと澄乃の腕が前に見えたり。
顔に雪や米粒がかかると特有のエフェクトが出たりなどなど。
改めて見ると「ここまでするか?」という見せ方で…延期ゲーで有名な中に入ってますが、「そりゃこんだけ演出にこだわれば延期もするわな」と若干納得しました。
ギャルゲープレイ初期に触れている為、本作が美術方面も基準になってた所がありますが、今作プレイ後に商業の演出で物足りなさを感じる事もあったので、結構罪深い作品になっていました。
背景の量も豊富で、一箇所で3角度の背景が有ったり、差分が細かく用意されていたり。
今のノベルゲームでもこれだけの演出を取り入れる所は少ない気がします。
キャラデザの飛鳥さんの絵柄でキャラの首が長く感じるキャラが数人居ますが、その点を除けば絵の関係はもうパーフェクト。
美術班に力が入りまくっていて怖いくらいでした。
そういえばゆずソフトこぶいちさんが参加されていらっしゃるらしく。
下積み時代などが見えるのも楽しいです。


音関係はSEがかなり細かったように聞こえました。
ポリタンク持って歩く時には専用のSEがあったり、吹雪のSEにも違いがあったり、自然音に気を使われてたと思います。
BGMはどの曲も印象深いのですが「飛龍」は後半の盛り上がりが好きですし、「消える温もり」「約束」「雪花」あたりは再プレイでも感情を揺さぶられました。
主題歌の「SNOW」もバラードあまり聞かない派ですがOPムービーを思い出し好きですし、EDの「ふたりの足跡」はEDが最高潮に盛り上がります。
澄乃ルート後だと「なんでこんなに明るい曲なのか…」と当時思っていましたが、桜花ルート後だとこの曲こそがEDを飾るに相応しく。
そしてLegend編EDの「雪のかなた」は曲調が歌唱曲の中で一番好きなのもですが、「ここから更に物語が始まる」という空気が素晴らしい。
というか、本作は主人公のネーム変更が可能なのですが「雪のかなた」がある事で変える事がも最早不可能という。
主人公はもう「彼方」しか無いです、主人公の名前が曲名に入っている珍しい作品だと思ってます。
歌詞はほぼ完璧に芽依子からの視点の歌詞という印象。
声はオリジナル版では無し。
PS2版では川澄さんに田村さんに金田さんに小桜さんに…上げれば切りがない程に有名な方ばかりで今考えると怖いキャスティングでした。
名前すら出ないバスの運転手に置鮎さんという、時代の凄さを感じるキャスティングでした。
個人的には誠史郎役の松本さんと芽依子役の渡辺さんが最高でした。
特に芽依子はどうしてもPS2版から触れていると渡辺さんの声で再生してしまい。
ギャグの際ののっぺりした話し方が好きです、ハ◯のちグ◯の時の話し方で最高。
PC版の声付きをいつかプレイしたいのですが、声に慣れるのが大変そうだなと思っています。
オリジナル→DC、PS2移植→PC版フルボイス→Plus Edition版→PSP移植と発売していく「SNOW」ですが、家庭機器から声が付き、家庭機器とPC版でそれぞれ別声優さんが付きます…さり気に豪華な流れ。
で、オリジナル版をプレイして驚いた事なのですが、オリジナル版の澄乃の子守唄「空の揺りかご」を歌唱してるのがおそらく川澄さんという。
オリジナル版でもまさかの川澄さんだったので今作はもう移植が前提に作られていたんだろうなとなんとなく思いました。
エロゲに川澄さんが出る事は無いと思われるので。


挿入歌での川澄さん起用もですが、PC版を初プレイという事もありPS2版には当然無かったエロシーンを重点的に見たのですが、いや、本当に、移植前提というくらいにエロが必要無いゲームなんだなぁと。
エロが入るのが澄乃と旭くらいでLegend編以降はエロが無いという。
オリジナル版プレイで一番ビックリしたのがまさかのLegendにもエロ無しだった事。
Legend編での人間の白桜と龍神の菊花は禁忌を犯して交わってしまうのですが、PS2版プレイしてた時ですら「あー、オリジナル版ではここでエロが入るんだろうなー」と思っていたのに、オリジナル版でエロが無くフェードアウトという。
これエロゲぞ!ここでエロ入れなくてどうするんだ!!?と今回プレイしていてマジで思いました。
いくら純愛で「主人公にしかエロシーン入れない」みたいな事をしてたとしても、Legend編の白桜と菊花のエロはいるでしょう…何でフェードアウトしたし…
「SNOW」好きなのですが、オリジナル版で「エロゲとしてそれをしちゃいかんでしょ」というフェードアウトをされたのでちょっとそこに関しては個人的にマイナス評価になりました。
長年見れると思っていたエロが見れないのは流石に消化不良です。
Legend編にもエロが無かった為、しぐれルートはエロに行くとBAD、桜花ルートはそもそもエロシーンが無いという作りの為、もう完全にエロ無し、移植前提が強く出ていて。
当時の純愛や泣きゲー志向らしいと言えばらしいのですが、「ここまで徹底して作らんでも…」とはちょっと思いました。
旭もエロがさほど必要無いヒロインなので本当に本作のエロは前半の澄乃だけだなぁと。
Legend編…本当に、どうしてエロが無いのか…クリア後しばらく経った今でも疑問です。


PS2版を思い出しながらプレイして、オリジナル版のLegend編でエロが無かったり鳳仙の舞のシーンにCGが無かったり、などなど。
移植版で追加されたCGがかなり多い事と、まさかの部分に驚かされたり、色々と違いを知る事が出来ました。
実物に触れないと気付かない事ばかりで、自分の中の青春の作品のオリジナルに触れる事が出来、良かったです。



プレイ順は
澄乃→Legend→旭→しぐれ→桜花
の順で攻略
澄乃と旭以降は固定。



『雪月澄乃 ルート』
澄乃ルートは完全に序章で、このルートだけだと「意味が分からない」状態になります、というか当時自分がそうなっていました。
Legend編を見て意味が分かり、桜花ルートで救済されるというヒロイン。
今作は完全に澄乃の物語で澄乃から始まり澄乃に終わるので、「悲劇のヒロイン」と「救済のヒロイン」としては好きなのですが、単純な好みではさほど…という。
澄乃も前世の菊花も我儘系な所があり主人公を振り回しますし、菊花に至っては恋が絡むとは言っても彼女の我儘でこんな事になりますし。
境遇は好きですがキャラや性格は好みでは無い、そういうヒロインだなぁと再プレイしながら思いました。
ただ、主人公が他の女性を選んでも笑顔で祝福する姿は好きです、下手に面倒臭い嫉妬の仕方をしなかったのは良いヒロインでした。

『Legend編』
1000年近く前の物語で悲恋と輪廻転生の発端。
悲恋物としては好きですし白桜の気持ちも菊花の気持ちも分からなくもないですが、それにより巻き込まれた人々を見ると全肯定は出来ないなと。
芽依子はまだ自分から長寿を望んだので何とかなりますが、しぐれに関しては完全に巻き込まれた側なので、被害者の事を思うと二人共我儘だったとしか言いようが無いです。
恋の前では無力だとは確かに思いますし、この悲恋が無いと本編は無いので、必要だとは思いつつも、正しかったとは決して言えない過去だとは思っています。


『日和川旭 ルート』
掛け軸の兎の少女。
ルートの中では一番空気な気はします。
迷惑かける系ヒロインが得意では無いのと、旭が幼女過ぎてエロに違和感があるというか。
親愛までは分かりますが、恋愛はちょっと違う気がするというか。
そういう意味ではエロの無いPS2版の流れが違和感が無かったなーと。
最後兎になって戻って来る所を含めて親愛が一番ピッタリだと思うヒロインでした。


『北里しぐれ ルート』
彼女と夢を共有し過去を変える事で実際の過去を変え、現在の輪廻転生の呪いを断ち切るルート。
このルートがある事でおそらく主人公と澄乃が結ばれる際に菊花と同じ境遇を辿る呪いが解けます。
実は一番見た目も性格も好きなキャラがしぐれだったりします。
なので、Legend編での白桜と菊花が許せない所があるというか、しぐれは被害者なんやぞと思ってしまうというか。
そういうキャラの好みもあり、このルートは中間地点になりますが、一番好きだったりします。
抱くとBADに行くのも個人的に好きです。
彼女は過去を改変しない限り龍神の為、抱くとそりゃ菊花と同じ呪いが降りかかるので納得ですし、エロゲでの「エロに行くとBAD」の流れを持つヒロインとかが好みで。
抱く事がダメとか、そういうエロゲとしての根底を揺るがすようなのが地味に好きで。
他作でも抱くとBADに行くヒロインが居たのですが、そのヒロインもまた好きだったので、こういうのが好みなんだなぁとひしひしと感じました。
夢を改変し、過去を改変する事で現実も変わり、龍神の伝承や芽依子の過去、主人公の事故後の容態も変わり、しぐれも山から消えるという結果に。
しぐれは龍神として天に帰った為、別離EDかと思わせておいて、最後の約束「同じ種族になってまた出会う」という約束が果たされるのが好きでした。
最後の線香花火のCGでしぐれは帽子を脱いでいる為、おそらく人間に転生したと思ってます。
あのCG、地味にしぐれの頭の先が見えないように表示されるのがニクいなと。
あの頭の上に角が有るか無いかで変わりますが…無い方を願っています。
人間になったしぐれに今度こそ主人公と恋仲になって欲しいです。
芽依子のスピンオフなどが公式で出ていますが、ルート後の物語(エロ付き)が見たいのはしぐれだったりします。
いつか人間になったしぐれの話とか出ないかな…出ないだろうなぁ…
そう言えば本編で「北里」という名字は登場しない為、プレイすると「名字はどこから来たんだろう」となったり。
公式HPや紹介文に載せる際に名字が無いと違和感があるから付けただけなのかな?と思ったりしました。



『若生桜花 ルート』
オールエンドルートで澄乃ハッピーエンドルート。
しぐれルートで改変し、呪いを解き、白桜と菊花の娘の魂を救済するルート。
このルート、オールエンドとしてはとても好きなのですが、一つ気がかりなのはしぐれが居ない事です。
旭も揃っているのにしぐれが居らず。
改変後なのでしぐれは人間として別の所で幸せになっているとは思いますが、澄乃、旭、桜花、芽依子と揃っているのにしぐれだけ居ないので、オールエンドで省かれている感じはどうしても解せません。
しぐれが好きだからそう感じてしまうのかもですが…やっぱり全員揃っての大団円!を見たい気持ちがありました。
それ以外は桜花の成仏後に娘のさくらが生まれ、さくらが「おかえりなさい」と神社で言う流れが美しく、綺麗に完結を迎えた最高のEDでした。



本作は作りがAIRに酷似している為、当時色々と言われていたらしいですが、同じスタッフが居る事と、発売元が同じビジュアルアーツなので、自分はAIRのもう一つの表現や解だと思っています。
AIRも一応PS2版とアニメ版に触れましたが、雰囲気は最高ですがどうしても抽象的な表現が多く感じて。
「輪廻転生系」の作品で間違いないとは思いますが、明確にこのキャラがこのキャラの前世みたいな解答は無く。
プレイヤーが想像し解釈をする部分が多かった為、そういう穴埋め系が苦手な自分は「雰囲気は好きだけどハッキリしていた方が好き」となりました。
そういうタイプのプレイヤーには「SNOW」の方が好みになりやすいかと。
このキャラはこのキャラの前世で、このキャラとこのキャラは同一人物、このキャラとこのキャラにはこういう関係性があるというのがかなり明確なので、見ていてかなりスッキリしました。
あと、なんだかんだハッピーエンド至上主義というか、幸せなEDが好きなので、「AIR」では観鈴はどうしても死にゆく運命で、そこが辛く。
今作では桜花ルートにて最終救済があり、桜花ルート兼、澄乃ルートになっていて澄乃の生存でラストが締められる為、そこはハッピーエンド好きとしては好みでした。
なので、「SNOW」はヒロインの救済と分かりやすさを重視した別の表現だったと、そういう風に捉えています。


今作は自分の想い出の作品なのでフルボイス版やPlus Edition版にも触れたいのですが、声の関係で受け入れられるか、そこだけが不安です。
どうしても脳内再生がPS2版のボイスで再生される程にプレイしたので、PC版の声に慣れるかどうか。
でもエロ有りを声付きでプレイしたい欲求があるので、いつか触れます。
賛否両論らしいですが、芽依子スピンオフの「友達以上恋人未満」にも触れたいとも思ったり。
思い入れ深いので今後ゆるりと関連作に触れて行こうと思います。



※ゲームの攻略で検索される方がいらっしゃるみたいなので参考にさせて頂いた攻略サイト様を失礼します。
参考攻略サイト様:愚者の館(アーカイブ) 様
http://sagaoz.net/foolmaker/
 SNOW ページ
http://sagaoz.net/foolmaker/game/s/snow.html