ひっそりと群生

ひっそりと持ってるCDの情報やゲームの感想上げたり。購入物の記録など。気ままに。飽きっぽいので途中で止まったらご愛嬌。

【ef - the first tale.】感想

【男性向け18禁】



なんとなくminoriのノベルゲーム作品を最初からプレイしたくなったので購入part7。



2006年12月22日発売
minori(解散)』※リンク先公式HP(18禁)
ef - the first tale.】(PC)(18禁) ※リンク先wiki
以下ネタバレ含めての感想です。








システム面は7でもインストール可。
インストール時コード認証有り、ディスクレス起動可。
プレイ時間は約5時間15分くらい。
最後ムービーに進まないバグがあるらしく修正ファイル有り。
公式の修正ファイルがDL不可の為、DL版をプレイ。


ef - First Fan Disc』(※リンク先感想)をプレイしたので本編を開始。
本作は一組の男女の語り部を軸に四組の男女が織り成す群像劇になります。
「the first tale.」では前編の一章と二章が収録。
後編未プレイの為、前編のみプレイでの感想になりますが、本作は何よりも美術方面に圧巻される作品でした。
一行単位で変わる表情、ポーズや立ち位置を変えるキャラ、変わる視点。
塗りの丁寧さに背景の美しさ、どれを取っても2006年とは思えないほどのオーパーツレベル。
前作「はるのあしおと」から圧倒的な演出力を見せていましたが、絵での魅力が更に洗練され、これ以上無い程の進化を遂げていました。
冗談抜きで美術スタッフの安否を心配するレベル。
正直、絵で表現出来る演出はもうノベルゲームではこれが限界値だと思います。
戦闘が入るとまた演出は変わって来ますが、会話劇系ではこれが最上値かと。
更にはEDで入る新海さんのムービーにより、プレイ中は視覚効果で鳥肌が立ちっぱなし。
ムービー自体は見た事があったのですが、ゲーム中に入ると没入感が違いました。
…というか、ムービーはずっとOPだと思っていたのですが、EDだったのですね。
そういう新たな発見もあったり。
この演出と新海さんの美麗なムービーを見るだけでプレイする価値があります。
ノベルゲームの歴史に演出で確実に名を載せる程の演出力でした。
背景には過去のminori作品に出てきたようなキャラが数人居て(「Wind」の勤と霞など)ファンサービスという意味でも楽しかったです。


ただ、演出は100点を超えて数値化不可になる程のパワーを持っているのですが、問題は物語というか…
まだ前編であり謎の提示の段階で、おそらく話の中心になるであろう優子さん辺りがミステリアスに振る舞っている最中の為、全体での判断は出来ない状態なので一章、二章のみでの感想になるのですが、美術によって醸し出される空気感はとても素晴らしいとは思いつつも、話として単体で見ると普通な印象。
美術や音関係での演出が8ならキャラ:1、話:1、くらい。
本当にそれくらい演出でグイグイ引っ張って行っていたというか…
話はとりあえず普通なのですが、問題は一章、二章のヒロインであるみやこと景がヒロインとして魅力を感じなかった点にあると思います。
個人的に前編ヒロインの二人があまりにも好みに合わず。
更には一章の主人公の紘は普通としても二章の主人公の京介も好みに合わず。
メイン4人の内、3人が合わないという状態だったので、かなり厳しかったです。
別に性格や見た目が好みで無かったとしても、魅力的に感じるヒロインは居て。
はるのあしおと」の時はヒロインの智夏が見た目も言動も、更には声もあまり合わず、合わない要素が多い中ででも性格…というか気質や芯に持つ物がとても良く、話が大変良かった為、「好みでは無いけれど魅力的だとは思う」というヒロインになって居たのですが、今作はヒロイン2人に全くその要素を見い出せませんでした。
七尾奈留さんと2C=がろあさんのキャラデザが良く、見た目が良かった、本当にそれだけ。
作中で一応悩みのようなものも語られますが、キャラに感情移入出来るほどに魅力的な性格だと思えなかった為、悩みの話になっても自分の中で始終滑って行きましたし、境遇なども後編で重要になる為に秘匿されているからかあまり深く語られずにフワッフワとしか描かれず、どうにか取り巻く空気感で突き進んでいた感じ。
ヒロイン二人の性格も「(フィクション的に見て味がある)イイ性格」などでも無く、言動が自己中心的だったりキツかったり、あまりにも酷く、単に「性格の悪いヒロイン」に見えていたので美少女ゲームとして読んでいて恋愛要素が全く楽しめませんでした。
自分は固定ヒロイン大好きで、よほどでない限り固定カプ話が大好きなのですが、今作のヒロイン二人はちょっとどうしても性格が合わず、固定カプ物として楽しめず。
なので、美術は採点不可レベルでの素晴らしさでありながら、ヒロインが合わず、その延長線上で物語が楽しめなかった…というのが前編での感想になります。
どうやら後編では景の双子の妹の千尋と、ミズキがヒロインらしいのですが、前編を見ているとミズキの方がヒロイン二人よりも性格が好みで。
更に謎の女性である優子の方が好みの為、正直前編よりも後編の方が楽しめそうだなと。
ヒロインの好みというのは美少女ゲームである以上どうしても重要な要素になるので、好みではないヒロインが前編に固まっていたのが導入としては残念でした。
勿論、二人ヒロインに魅力を感じる方もいらっしゃると思うので、そういう方には前編は楽しめると思います。


音楽は天門さん。
中心に教会があったり、街の風景が西洋風の為、荘厳な曲だったり、前半は冬の空気がある為、透明感のある曲が多かったです。
「Imagination」が始まりがどことなく不思議な要素を含みつつ、曲が進むと柔らかい中で包み込むような空気になって行くBGMで好きでした。
歌は原田ひとみさんの「悠久の翼」がムービーとテンポがピッタリと合致していて、ムービーを見ていて大変気持ちが良かったです。
壮大で、何かが始まるような。
次回への引きが凄く、このEDはズルいです。
声は章主人公はボイス無しですが、章が変わりサブキャラになると声が付きます。
火村と紘と京介は…超絶有名な方でビックリ。
特に紘役の方は、エロゲに出てた事に驚きました。
なんとなく出てるイメージが無かったので…
色々と調べても本作くらいなので、本作で珍しく出演されているのだなと。
みやこ役の赤沢さんは、えっと、流石でございます。
みやこの性格は苦手ですが、そういうみやこのどこか癪に障る部分をお上手に演じられていました。
今年プレイで結構お聞きしましたが、ベテランという感じ、メインヒロインの風格があります。
景役の桜井さんは、うーん…どうも合わず。
ef - First Fan Disc」で「はるのあしおと」の頃よりかは上達されていらっしゃいましたが、やっぱりどこか「ら」行の滑舌が怪しく感じます。
はるのあしおと」の頃から続き、キツイ性格のキャラですが、滑舌が危うい中でキツイ台詞が多いので聞いててどうもヒヤヒヤしました。
ミズキ役の安玖深さんはTHE・妹系の覇者。
今の所、妹キャラでは無さそうですが、後輩元気っ子の演技は流石。
ヒロイン二人のクセが強かった為、ミズキが見ていて一番安心しました。
優子役の山田さんは色々調べてもあまり出演が無く。
聞いてて語り部としてかなり良い語りをされていらっしゃるので、安定感が凄かったです。
声質も落ち着いていて品があって、どことなくミステリアスな空気もあって。
良い演技をされる方でした、後編もありますがまた別の出演作でもお聞きしたいです。


エロは話重視の系統なので回数は少なく、ヒロイン各2回くらい。
変に雰囲気を壊さず、必要な分という感じで良かったです。
ヒロインに愛着が沸かなかったので無心で読んでしまいましたが、雰囲気は綺麗でした。



プレイ順は
一章→二章
攻略順固定



『一章』
ヒロインの、みやこが、驚くくらい、合わない!!!
自信満々、我儘、傍若無人系ヒロイン、嫌いじゃないんです、嫌いじゃないんですがどうしてこんなに合わなかったのか…
おそらくみやこが迷惑をかけまくるヒロインだからかなと。
初っ端の主人公の自転車をパクる行動もですが、学校でも自分の都合だけで生きていて。
迷惑をかけ、更に二章では景が主人公の事をまだ想ってるのを知ってる上で景の前でバンバン主人公の名前を上げるので「マジかよ…」となり。
とにかくデリカシーが無い、人の気持ちを考えない、その上で「私は可愛いから許されてる」ムーブをかますので良い所が全く見えなくて。
傍若無人系ヒロインは好きですが、多分、傍若無人系ヒロインでも一つの芯が通っている部分があるからこそ好ましく感じるのに対し、みやこはそういう芯が全く無く。
ただフワッフワ我儘に生きているという。
しかも、そういう性格形成も家庭環境があったように見受けられますが、過去回想も無く、話の一箇所で本人の口から淡々と語られるだけなのでプレイヤーからしたら感情移入出来ず「へー」くらいな感じ。
感情移入出来ないキャラが我儘だけを続けてもそれはキャラ印象マイナスにしかならず、そういう傍若無人ヒロインを上手く描けて居なかったなと。
そういう中で主人公はみやこに何故か惹かれるので、「この女のどこが良いんだ?」状態に。
BADになると選択肢をミスってるのもありますが傍から見ると唐突に関係を断って来たり、主人公を無視し始める傍若無人さも見せ付けられますし。
というか一章の話を俯瞰して見ると、「女の子が男の子に片想いしている幼馴染の男女の間に割り込んで、男の子の方を掻っ攫って行く女の話」にも見えて。
片想いの気持ちを伝えずに長年もだもだしてるのも悪いとは思いつつも、幼馴染王道物語に割り込む女になるんですよね、みやこ。
そういう言動や物語的立ち位置もあり、みやこが顔が可愛いだけの性格最悪な女にしか見えなかったので、二人の恋愛に全く気乗りしませんでした。
一章ではそんなみやこと主人公の幼馴染で年下の少女、景との三角関係が描かれるのですが、三角関係相手の景もまた性格がキツく。
自分は主人公になんの落ち度も無いのにキツい事言って来るヒロインが苦手で…
景は自分の常識で勝手に主人公に怒鳴って来るので聞いててずっと耳が痛く(物理)キンキンしました。
というか、本作はヒロインが完全に固定化されている章構成の固定ヒロイン物になるのですが、こういうタイプで三角関係を描いたとして盛り上がるのか?というのが正直な所で。
だって、こんなの、みやこが勝ちヒロインなのが確定じゃないですか。
三角関係物ってダブルヒロインが居て、両ヒロインが同じくらい魅力的で対等さがあるからこそ盛り上がるのに、既に勝ち確定ヒロインが居る三角関係ってどうなのよ?となってしまい。
話を見ていても始終「まぁ、でも、みやこになびくんでしょ?」と見てしまっていた所はありました。
主人公の紘が学校を辞め漫画家一筋で行き、みやこが先を見据え、ちゃんと学校に通うのを決め、しっかりと道を選ぶ姿は良かったのですが…このご時世的に学校辞めるのは大丈夫なのか?という老人心もあり。
背景や音楽から溢れ出る澄んだ冬~春先の空気が綺麗で飽きる事無く読み進む事は出来ましたが、主人公とヒロインの関係や結末などイマイチ乗り切れず、プレイヤー的に置いていかれたなーとも思っています。


『第二章』
ヒロインの、景が、驚くくらい、合わない!!!
理不尽にキツく当たったり、理不尽暴力系ヒロイン苦手なんですよ…
常に言い方がキツイですし、ヒロインとの会話が楽しく無くて。
更には二章主人公の京介も学生非童貞系主人公にありがちなイキリがあって苦手で。
「俺は女の子沢山知ってるんだぜ」みたいなムーブを常に感じて主人公とヒロイン、両者共にキツイという。
まぁ、今まで努力せず上手くいけて、勉強も女性関係もそつなく何でも軽く出来、映画撮影だけ本気で生きてきた男が一人の少女に執着するという流れや、一章での負けヒロインだった景が二章で癒やされるという展開自体は好きです、展開は好きですがいかんせんキャラが合わず。
京介が映画撮影に執着するようになった理由の母親も、重要そうに見えてボヤッとしか語られず。
本作はボヤッとしか語られない過去が多いのが感情移入しにくいとも思います。
勿論それが魅力的になる作品もありますが、「もう少し踏み込んでくれないとちょっと感情移入出来ない…」というラインの抽象的な描き方なので、絶妙に置いてけぼりを食らうという。
本作はおそらく目指しているのが映画の空気なのでそうなるのも分かりますが、映画での「描かないからこその距離間で視聴者が得られる楽しさ」と微妙にズレが発生している気がします。
これの問題は一本で完結する映画と違い、「色々と張り巡らせていて秘匿されている前編だから」だとも思いますが、どうもその距離間が掴めませんでした。
ただ、京介の「今まで映画撮影だけに本気だったけれど、本当は演じる役者にも本気で向き合わないといけなかった」という流れは好きです。
今までヘラヘラ生きてきたような男が、必死になる姿は良かったです。
そうやって無自覚でも京介はかなり本気になっている中で景は抱かれようとした時にすら紘の事を思い出し拒むので、みやことは別ベクトルで景に対しても「性格悪いなぁ…」と思ったり。
引きずるのは分からんでもないけど、これはこれで京介に対して失礼というか。
景も景でどこか失礼なんですよね…ヒロイン二人共違う方向性の失礼さがあって、見てて主人公達がいたたまれませんでした。
最終的には「紘を好きなままで良い」と京介に言われ結ばれますが、「紘の事で失恋した景」に初めて本気で惚れ込んだ京介はヘラヘラしていても本人の恋愛での気質は難儀な奴だなぁと思いました。



最終的に一章、二章は「ヒロインが合わなかった」に帰結する気がします。
好きな人も居るとは思いますが、美少女ゲームとしてみた時にみやこと景、合わない人が多そうだなとも思ったり。
何故このクセが強いヒロインを序盤に持ってきたのか、序盤ヒロインをクセが強くしたのかが気になります。
後編である「the latter tale.」が前編に加えて更に評価が上がるようなのですが、前編のヒロインに合わず挫折した人も居るのでは?と思うほどにクセが強かったです。
全体の話が気になるので後編もプレイしますが、後編ではヒロインの好みが合うと嬉しいです。


まだ三章、四章と残っているのと、優子の件で謎が多く。
分割作である以上、前編はどうしても謎を張り巡らせるターンだと思われるので、後編で前編の要素がどう回収されて行くのか、新しいヒロインとどういう関係が築かれるのか、優子はどういう存在なのか。
その辺りを楽しんで行きたいと思います。



※ゲームの攻略で検索される方がいらっしゃるみたいなので参考にさせて頂いた攻略サイト様を失礼します。
 参考攻略サイト様:Gamer's Square 様
http://gamerssquare.fc2web.com/index.htm
 ef - the first tale. ページ
http://gamerssquare.fc2web.com/efthefirsttale.htm