ひっそりと群生

ひっそりと持ってるCDの情報やゲームの感想上げたり。購入物の記録など。気ままに。飽きっぽいので途中で止まったらご愛嬌。

【屋上の百合霊さん】感想

【百合18禁】



2012年03月30日発売
Liar-soft』※リンク先公式HP(18禁)
屋上の百合霊さん】(PC)(18禁) ※リンク先wiki
以下ネタバレ含めての感想です。








10作に一個は名作と呼ばれている作品を挟んでプレイしないと心が死ぬと学びました。
というわけで、この感想がいつ投稿されるかは分かりませんが、2022年の40作目は「屋上の百合霊さん」に。


プレイ時間は約14時間くらい。
7でも起動可能、ディスクレス起動可。
フルボイス化、挿入歌、描き下ろしイベントCGが追加されたリメイク版がありますので、今はそちらが良いかも。


ライアー作品は「腐り姫」に続き二作目。
相も変わらず商業ではあまり見かけない雰囲気の作品をお出ししてくれるライアー。
30周年記念に百合ゲーを出す所とかもうエロゲメーカーの中では極地も極地だと思います。


シナリオは睦月さんを中心にサブで桜井さん希さん海原さん禾さん。
安定のライアー陣営。
ただ、今作は企画原案ののいさんの作風が一番反映されている気はしました。
他のライターの方の世界観とはまた違っていて。
シナリオと企画原案が分かれていて、企画原案の方が色濃く出るのは結構珍しい気がするので、その辺りの化学反応が面白かったです。


物語に関しては本作はもう、なんというか光、圧倒的光の作品。
オール百合カプ!群像劇!仲人!友情!人情!そういうのがまるごと詰まった作品でした。
登場人物皆が優しくて暖かくて可愛くて良い子ばかりで。
皆が基本「誰かの為に」と行動する姿は見ていて本当に心が満たされ微笑ましく。
自分がプレイした百合ゲーでけっこうな頻度で見かけた「女同士のドロドロ展開」も一切無し!
微かな嫉妬は確かにあってもそれは決して恋愛の嫉妬にはならずメインキャラが「誰かを傷つける」「誰かを貶める」などという展開は全然無く、最後には爽やかに自分との感情に納得し決着を付けるので嫌な気持ちになるシーンが全くありませんでした。
メインの登場人物達は本当に優しさに溢れた良い子ばかりで、しかも「誰かの為に」と行動出来る子ばかりだからこそ皆基本的に聡くて。
作中で「アホキャラ」や「バカキャラ」は居ますが、それが「愚かさ」には繋がっておらず、明るく元気で嫌味の無いアホorバカという立ち位置にしっかりと収まっており。
全員見ていて醜悪さや愚かさで苛立つ事は一切ありませんでした。
カプは7組とかなり多いのですが、全員しっかりと掘り下げられ、誰一人取り零す事無く全員にしっかりとした個性があり全員に愛着が湧くように描かれ。
幽霊(百合霊)からの願い事で始めた仲人の手伝い。
手伝いの中で数々の人に出会い徐々に主人公の過去からの人間関係のトラウマが氷解して行き。
ラストは出会い背中を押した人達から今度は自分が背中を押される側に回り。
「救い救われる」「相互救済」の物語が大好きな自分には王道ではありますがこの流れが本当に響き。
7組全員の物語が起承転結綺麗に纏め上げられた構成は美しいの一言。
優しい世界の住人達が優しく繋がり優しく隣り合う世界、まさにユリトピアでユートピア
始終暖かな世界で描かれる百合恋愛物語に頬が緩みながらプレイする事が出来ました。


ただ、同時に今作は女の子同士のワイワイガヤガヤや百合入門作品、群像劇物語としては非常に出来が良いのですが、百合過激派や同性愛作品での一定のこだわりがもう既に出来てしまっている人には合わないかも…と感じる箇所がいくつかあり。
まず最初に「レズじゃないわ百合と呼んで」みたいなシーンが挿入されます。
自分とは違う界隈なのですが「百合の間に挟まる男」を撲滅させた某百合過激派界隈を知っていると、その界隈は「百合はレズだが???」という強い主張を持っていて。
そういう強いこだわりがある人にとっては序盤の「レズじゃなく百合」の台詞に「ここはなー」という部分が強く出そうだなと思ったり。
まぁ、作品の方向性が「ガッチガチの百合」というよりも「ほんわか百合」世界なので、レズよりも百合と言いたい事、ニュアンスは伝わるので、過激派でもその辺りを納得出来る人じゃないと気になるポイントが多そうだなと思いました。
あとは、百合もBLにも同性愛作品にて個人的なこだわりとして「好きになった人がたまたま同性だった」という展開が好きなので、始終作品内で「女の子同士なのに」という言葉が挿入された部分に関しては個人的に唸りポイントでした。
かなり頻繁に「女の子同士なのに」という価値観が出るの、わりとこの辺り2010年代だなーというか。
勿論「女の子同士なのに…」的展開が好きな人もいらっしゃるのでその辺りの描写が好きな人には刺さるのかもしれません。
ただ、昨今…2020年代の作品は「同性同士なのに」みたいな表現をしなくなったなーと思っているのと、自分はフィクションではナチュラルに同性を受け入れている…というかあまり他人の恋愛に踏み込まないような感覚、同性だと知っても「ふーん、お幸せに」くらいの感覚が好きで、2020年代のフィクションの描き方が好きなので、本作での「女の子同士に何度も驚く」ような描写があまり好みでは無かったです。
というか主人公はユリトピアの為とはいえ、学校内での百合ップルを何組も見ていて自分の周りでは最早少数ではなく大多数と化しているのに「女の子同士で!!?」と結構後まで驚くの、「もう驚く事では無いのでは…」とは思っていたんですよね。
直接的に否定はしなかったので、そこは良かったのですが、序盤数回驚くのは良いとしても後半では「ふーん、そっか」くらいになってたら良かったなーとは思っています。
「恋愛と友情の境界線」みたいなのもまた顕著で、自分は同性愛作品では「友情と恋愛の間があんまりない」というような関係性を好むので、本作では「ここからが友情!ここからが恋愛!」というような描き方が多く、その辺りは同性愛恋愛作品としてノリ切れなかった部分もあります。
むしろガッツリ恋愛しているカプ同士よりも友情関係でカプじゃないキャラ同士がワチャワチャしてるシーンの描き方の方が好みだなーと思ったので、そこもまた難しい…
なんにせよ、過激派や同性愛作品に既に好みの地盤が出来ていて、何らかの確固たるこだわりがあるタイプの人には「…ん???」となるポイントが付き纏うと思いました。
ただ、この点に関してはこの辺りの部分で本作の全要素が気になる程にこだわりが強い人はもう多分何をやっても他者の作品ではそうなるので、自分で作った方が建設的だとも思っています。
自分の萌えは自分で作る、これ大事。


気になる部分を少し上げましたが、精神的ドロドロは全く無く、エロも男性向け的エロというよりは耽美的で、皆良い人で優しい世界で、物語も綺麗に纏まっていて。
百合入門や、優しい世界が好きな人、光の作品が好きな人、起承転結綺麗な物語が好きな人には間違いなく上級の作品でした。
プレイ中はフワフワホワホワ出来、最後には百合霊達と約束された当然の別れが来て、分かっては居ましたが少しウルッと来て。
別れがあっても、出会った人達との関係は本物で、これからも彼女達の優しい世界は続いて行く…
そんな圧倒的光で大団円のエンディングを見る事が出来ました。


絵はPegさんでとても良い!本当に良い!!
このイラストで作品を引っ張って行っていたと言っても過言では無いでしょう。
本作のみのご参加らしいのですが、「百合!!」に合いすぎていました。
立ち絵枚数がとにかく豊富で、1シーンにしか使わない立ち絵が満載。
結奈のエプロンを付ける立ち絵に良さを感じ、陽香のドレス姿とか一日しか無いのにポーズ差分があったり、月代の1シーンしか無い鼻血シーンでしっかり反映されていたり。
あまりにも細かくて一つ一つの動きが見逃せませんでした。
表情、動き、何もかもパーフェクトで一枚絵もここぞ!という場面で入り、ノベルゲームとして文句無し。
一点本当に残念なのはPegさんが行方不明っぽい所ですね…
SNSもお見かけしないのとPixivの更新も途絶えていて、同人活動での動きを知れない状態っぽいです。
商業だと参加される可能性がありますが…リメイクからも時間が経っているとはいえ、このSNS社会で素晴らしい絵を追えないというのは辛いなぁと思いました。
背景も、校舎内と通学路の道の背景の描き方が素人目に見ても明らかに違う所だけは少し気になりましたが全体的に…特に学校の背景などは「百合霊」世界にとてもドンピシャ。
「塗りや光影などが素晴らしく美しい!」というようなタイプでは無いのですが、場面によって布団が敷かれたり机に物が乗ったりなどシーンに合った差分が用意されていて素朴な絵柄が世界観に合っており大変良かったです。



エロはモザイク描写一切無し、見せない構図で全て描かれ貝合せすら無いという健全さ。
全年齢の青年漫画のエロのほうが直接的にエロいシーン満載でしょ…となるレベル。
おそらく男性向けという意味では「使えない」方だと思いますが、こういうエロが好き!!という熱い気持ち、分かります。
見せない構図とか…良いですよね……
耽美的というか情緒的というか、描写の豊かで品があるエロ小説を呼んでいるような、そんなエロ。
そういう意味でも百合入門編として突っ掛かりやすいと思います。
ライアーは「見せない構図」に拘りがあるっぽいですが、こういうメーカーが一つでも居て欲しいので、個人的にはライアーがファン層からしっかりと人気を確立しているのが嬉しいです。


音関係もまたライアークオリティ。
OPEDは安定のブルヨグでどちらも聞いた事はありました。
聞いただけだとOPかなーと思っていましたがゲームと合わせてEDを聞くとどちらもかなり甲乙つけ難い感じ。
個人的な好みや単品だと「Girl's spirit -オトメノキモチ-」のポップさが好きで、ゲーム補正が入ると「a new day.」の歌詞に良さを感じました、ただ、「AA愛!」はリメイクだと挿入歌であるみたいですが、オリジナル版だと特典CDにしか入っていないのは残念。
あの舞台で「AA愛!」が演奏されるリメイク版は絶対に素晴らしいと思います。
BGMだと「いとしコトバいとしココロ」が特に好きです。
BGMの中に数曲女性コーラスが入っているのが百合力を上げていました。
SEの使い方も上手く、衣擦れの音や料理音、紙を捲る音などが印象的。
特に結奈と比奈が一緒にジャガイモの皮むきをしているシーンで静かに皮を剥く音だけが響いているあの空気は本当にたまりませんでした。
声はオリジナル版ではパートボイスですが、もう、満点。
流石のライアー劇団。
ナチュラルな演技がめちゃくちゃ上手い人ばかりで配役が素晴らしい。
女性同士のナチュラル会話が上手すぎて目の前で女の子同士が普通に会話しているようでした。
一人二役が多い本作ですが、実力派を投入し演じ分け上手い方ばかりで聞いてて違和感は全く無かったです。
結奈役のかわしまさんは流石、THE・ライアーの女性主人公という貫禄。
クールに見えて根は人情派で優しく気配りが出来る。
パーフェクト系主人公なのですが、その主人公にドハマリでした。
あまりにもパーフェクト過ぎて嫌味に見えそうですが、まりのさんのお声で上手く中和されていた所があると思います。
比奈と羽美役の金田さんは比奈の無口マイペース系でいつもとは違った可愛く静かな演技をキッチリとこなした上で羽美の「いつものキンタさん!!」という演技も魅せて下さり大満足。
阿野と愛来役の富樫さんはしっかりとお聞きするのは初ですが、高い声と低い声のギャップが素晴らしい。
阿野の天真爛漫だけど実は恥ずかしがり屋な演技も、愛来のキリッとした武士のような演技もどっちも良いのですが、愛来の低く凛々しく格好良い声に撃ち抜かれました。
サチ役の高井戸さんは件役無しですが、サチの品があって落ち着いた声色が本当に好きで好きで。
今作で一番声質が好きかも…と思った方でした、品がある声に弱い。
サチさんの見た目と言動にあまりにも声が合っていて…この顔からこの声が出る!!ととても納得出来るお声でした。
恵と月代役の草柳さんもまたベテランの風格。
恵の明るく元気で人を巻き込むけど実は色々と繊細な部分の演技や、月代の見た目は子供だけど中身はしっかりとした大人で広く深く見つめている懐の広い演技は流石、月代の大人らしさ溢れる演技が好きでした。
聖苗と茉莉役の桜川さんもギャップが凄かったです。
小さ可愛い系と快活系の演じ分けが上手い、そしてなによりも後半の聖苗の怒りの演技で震え上がりました。
ガナリがあまりにも良すぎて…今後桜川さんのガナリがめちゃくちゃに聴きたいのでガナリ上手い声優に名を連ねておきます。
美紀役の水純さんも件役は無いのですが、「聖女」らしくたおやかな、でも実はそんなに「聖女」じゃなく人間らしい感情で動いている土臭さがどこかにあるような演技を魅せてくれました。
優しく暖かく、でもどこか人間臭い引け目がある、そんな「聖女」で良かったです。
沙紗と桐役の榛名さんは思いっきり「格好良い声ー!!」というタイプ。
どちらにも違うベクトルのカッコ良さがあり、そして可愛らしさがあり。
演技は全く違うのに慌てふためくような時の演技がどちらも良く、器用な方だなーとお聴きしていました。
音七と美夕役の野月さんもまたTHE・ライアー声優さんという安定感。
ユルユルしつつも鋭い音七と責任感溢れた美夕のギャップと演じ分けの上手さが素晴らしい。
個人的には音七のやる気のない話し方がとてもツボでした。
陽香役のRitaさんは明るくおバカで猪突猛進で、でもだからこそ見ていて清々しさと楽しさがあって。
挿入歌がある上でRitaさんが抜擢されるとか約束された大勝利なのにハスキーボイスに似合う元気キャラ、更にはオレっ娘という設定盛りすぎじゃね?状態。
Ritaさんのオレっ娘が聞けただけでも本当に大満足でした、有難うございます。
正直、「フルボイスになる」というだけでリメイク版を買う価値があります。
当時のライアーらしいパートボイスでしたが、「これはリメイク版も欲しい!!」と声を聞いてて思いました。
それくらい、声優と演技がとても強かったです、耳が幸せでした。



以下、各カプの感想
カプの表記は「告白したor最初に想いに気付いた側×告白された側」で基本的に書いてます。



『狛野 比奈×遠見 結奈』
いやー、正直、最後の方まで阿野とどっちがカプになるか分からなかったので「どっちだ!!」とワクワクしていましたね。
最後には幼馴染カプに落ち着いて幼馴染大好きな自分としては大満足でした。
比奈の「いつの間にか結奈ねぇが好きになってた」というその「いつの間にか」感が幼馴染スキーにとって「これよこれ!!」状態。
比奈があまり女性同士にこだわってないのも「性別にこだわり無い、気にしないカプ」スキーに刺さって刺さって。
あんな感じで表情の読めない顔しながらも告白後は「実はめちゃくちゃ気になってた」という比奈の心理描写が良すぎです。
結奈も中学時に料理部で色々あったけど、比奈が居たから、比奈が自分のご飯を食べてくれてたから料理を嫌いにならずにすんだという「相手からめちゃくちゃに救われてた」という状況が良いですよね、比奈がその過去を知らないままに「当たり前の日常を繰り返していた事が救いになっていた」というのが本当に、本当に。
幼馴染のこういう所、ズルいっすわ…最高でした。
ただ、やっぱり、固定カプで安定感のあるゲームではあり、固定カプ厨としてはそれはもう嬉しい状況なのですが、「ゲーム」という媒体な以上、阿野も攻略したかったというのが本音ではあります。
阿野もまた素敵で良い子だったからさ、やっぱり「ゲーム」となると分岐も見たいのが性ですね。
比奈×結奈がベスト!正史!でありつつも「if」も見たいなーという魅力が本作にはありました。
あとは結奈個人の話になりますが、結奈があまりにも出来過ぎなのでその辺りには「主人公あまりにも完璧超人系でちょっとなー」「なんでここまで完璧超人なんだろう?」という気持ちもありますが、元々時間配分や決まっている仕事が得意な上で、中学時代の「自分だけが突っ走り周りも自分と同じペースで動かし周りから煙たがられていた事を聞いてしまう」という過去持ちなので、細かい事が元々得意な上で、他人を不快にさせないよう人の顔色を伺う性分になってしまったと考えると、仕事が出来る+人の事を見るで完璧にもなるよなーという納得感もあります。
まぁ、でも自分は根が宜しくないので、中学時代の料理部員達の「突っ走り過ぎ」という考えもまた分かるというか…作中では周りが良い子なので素直に受け取られますが、結奈の「出来過ぎる上で手伝って来る」という行動に不快感を感じる人間が居るのも分かります。
今作では周りが皆良い人で邪な人間が居なかった所もまた結奈は恵まれているなと思ったり。
そういう「人との良い出会い」という意味でもまた完全に光に突き抜けていて眩かったです。


『永谷 恵×榎木 サチ』
熟年夫婦(婦婦?)!言う事無し!貴女達の間には誰一人入れません!!そんな二人。
抱き合う立ち絵が最高過ぎでしょう。
彼女達の「初体験をしたい」という願いから始まる本作ですが、その願いを叶えたからこそラストの人間関係が出来上がっているというのが良いですねー
最初の願いは純粋は純粋ではありつつも結構個人主義的な要素が入りながらも最後にはそれが良い方向に進んでいるというのは好きです。
とても綺麗なお別れでEDを迎えましたが、あの学校の霊力がめちゃくちゃに高そうなのでいつかフラッと…それこそお盆の時期に帰って来そうだなーと思ってます。
案外再会が近いと嬉しいです。


『牧 聖苗×相原 美紀』
聖苗は序盤から「力が強い」という情報がありましたが後半の例の美紀の人の良さが他人からバカにされガチギレするシーンでガチパワータイプだったのでテンションが上がりました。
小さいけれどパワータイプ女子、好きです。
美紀の「断る事と引き受ける事を秤にかけた結果、引き受ける方が他人が嫌な気持ちにならず引き受けてしまう」という良い人では確かにあるけれどある種の臆病さというか、自己決定権の少なさというか弱さというか…そういうのが垣間見えて「分かる」と感じてしまうとともに彼女の人間関係を見るときっと良い人ばかりでは無く「コイツは何でも言う事を聞いて使えるから」という感覚で傍に居る人も居るんだろうなーと思うと胃が痛くなりました。
本作は光の作品ではありますが、その中での闇の要素を一気に担っていたと思います。
だからこそ物理的に強く、そして美紀の事を誰よりも想っている聖苗が傍に居る事に強い安心感を覚えるというか。
騎士×聖女のコンビが最高だったのと、今後はもう美紀はなんでも引き受ける事はせず、しっかりと手伝う範囲を選ぶ事が出来るんだろうなーと思うと聖苗との出会いに胸が暖かくなります。
唯一学校が離れてしまうカプですが、学校外で仲良くデートなどしていて居て欲しいです。


『双野 沙紗×一木 羽美』
この中で誰が誰を好きなのか!というミステリー的ワクワクと、一人恋愛とは違う位置に行った子との友情のあり方というコンセプトがかなり好きでした。
恋愛では確かにあぶれた音七、そんな音七を気遣って空回りする二人。
こういう関係図になった時には結構あぶれた側が疎外感を覚えて暗い展開になったりするのですが、音七が超マイペースで個人主義の為、全く気にせず。
むしろ二人が「音七とずっと一緒に居なきゃ!!」となり音七のパーソナルスペースに入り過ぎて苛立たせて説教を受けるという流れが光の展開で「百合霊さん」らしく、見ていて気持ちが良かったです。
変にジメジメネチネチせず、カラッと怒られてカラッと仲直りして、カラッとした関係に収まって。
良い友人関係だなーと本当に思います、二人には変に近寄りすぎる事無く音七をずっと大事にして欲しいです。


『剣峰 桐×園生 月代』
身長が高くクールに見えるけれど可愛い物好きで中身はまだまだ子供の少女と、見た目は幼くても中身はしっかりと大人で視野が広い女性のカプ。
この特徴だけでも最高です、好きです。
桐の見た目と中身のギャップも良いのですが、月代の芯がどこまでも大人な見た目とのギャップがたまりません。
厳しい所は確かにあるけれど融通が効かないわけじゃない、そんな理想の先生。
素直に「月代が自分の先生だったら良かったな」と思える先生でした。
教師と生徒で壁が一番厚そうですが、卒業後に一緒に暮らすとかしてたらとても嬉しいです!!


『古場 陽香×有遊 愛来
ロックな猪突猛進バカっ子×真面目系風紀委員…とみせかけてどっちもかなり実はロックというのが見ていて面白いカプ。
というか下手したら愛来の方がかなりロックなんですよね、真面目に風紀委員やるけどよく見ると結構なズレがあり面白く。
しかも、「これは良い」と思った物に対してはかなり寛容で風紀委員やりながらも見過ごしたり…
真面目だけどそれ以上に「よい!好ましい!そのまま進め!!」みたいな武士道、将軍様のような精神があるタイプで完全に予想外のギャップを感じたのは愛来でした。
「ワシが好ましいと感じたのだから良いぞ!ガハハ」なタイプ…ある意味で大雑把…最高でした。
陽香に対してもかなり初期から「好ましい」と感じていて分かりやすい愛を分かりやすいからこそ受け入れているという。
陽香もまた「愛来の事女とか気にして無かったわ!」という感じで好きですし…自分の中の「愛」以外全く気にしてない所が最高に好き。
「私は貴女好きになった、それで良い」みたいな精神の二人で恋愛観では一番大好きなカプでした。
今後も二人共、二人の事を互いに知って行きながら自分の中の「好ましい」をブレる事無く貫きロックで居て欲しいです。


『網島 茉莉×稲本 美夕』
こちらも熟年も熟年、あまりにも熟年過ぎてどちらの名前を前に置けば良いのか分からない程。
付き合って熟してしまっているからこそ、今の関係が崩れない為に外や学校などで付き合っている事を見せないように雁字搦めになる…そんな愛してるからこそ守らないといけないけど、愛してるからこそイチャイチャしたいジレンマを感じるカプで、付き合う前のモダモダは無くてもイチャイチャ出来ないモダモダを感じる事が出来ました。
あんまりにも完成されている二人なので特に言うことは…となってしまうのが難しいのですが、他のカプに助言する良い感じのお助けになってたと思います。
どのカプよりも年季がある…安定感もある、だからこそ大学では一緒に暮らして思う存分イチャイチャして欲しい!!
そんな風に華やかな大学生活を期待するカプでした。


『阿野 藤、三山 音七』
カプには入っていないのですが、良い友人キャラだったので項目を。
阿野のあっけらかんと見えて怖いもの無しに見えて…でも実は良い意味での注目されるのが苦手で。
忘れ物とか悪い意味での注目は気にしないけれど、「良い人!」みたいな感じの注目が苦手で赤面してしまうとか…最高に可愛いですよね、阿野。
プレイヤー視点では結構丸わかりなのですが、アナザーなどを見ても適当に見えながらもかなり気を使ってくれて。
阿野が攻略対象外なのマジで不具合では???と思ってます。
安心安定の固定カプゲーな所が最高なところではありますが…阿野もまた素敵なので今後良いお相手が居たらなーと。
ただ、本人曰く彼女の恋愛観は男性(ヘテロ)なので「百合霊」というコンセプトからは離れますが、学校外とかで良いお付き合いをしていたら嬉しかったり。
もしくはそういう恋愛観が覆るほどの百合の波動が来たり…カプに落ち着いてないキャラにはある意味での無限の可能性があるので、色々と想像してしまいます。
恋愛でなくても良いヲタ仲間と楽しく盛り上がって欲しいキャラでした。
音七は自分の世界第一、睡眠大好きの超マイペースっ子でありながらもめちゃくちゃに聡いキャラ。
個人的にこういう恋愛に絡まないけど色々分かってるマイペースキャラ大好きなので、キャラとしては音七が一番好きでした。
何よりも睡眠第一!の姿勢を崩さず、ぶっちゃけ「相手の恋愛とかどうでもいい」と思ってるのが良いですね。
でも平穏は好きでゴタゴタは嫌いだから「自分の周りが険悪になるのは嫌なので良い方向に行けよ」的な気持ちで助言しちゃうタイプ。
自分の為~というスタンスでありながらも元々ある人情が見え隠れしてしまう所が好きです。
彼女も恋愛に絡まない子ですが…地味にファンが居そう。
自分の世界にこもって眠り第一に生きていますが、この先研究者などの方面で大成しそうだなと思いました。



カレンダー上で日にちが確認出来、カレンダーから日付を選択しイベントを見ていくという構成がクリアすると結奈が過去の百合霊達との想い出に浸っている…そんな風に見る事が出来、作りが良いなーと思いました。
結奈のメインルートの他にカップルを見るだけで無く、クリア後には「他キャラがこの時に何を思っていたか」というアナザーまであり、見たい部分はほぼ全部見る事が出来。
視点が変わる時にはちゃんとアイキャッチが入り分かりやすく、一つの話につき5~15分で終わるので空き時間にサクサク進めるというまさに痒い所に手が届く作り。
何から何まで作りが良く、欠点は強いて言うなら「ゲームウィンドウから離れた時に音が止まる」事くらい。
ただ、これは「腐り姫」もだったのでライアーの使ってるツールの問題でプレイはほぼ快適でした。
あとは話の中で「中島先生という先生を探す」というシーンで「今日は中島先生は学校に居ない」という話になったのに次のシーンで「中島先生居なかったよ~」「ごめんなさいお休みだったみたい」となっていた部分があり、若干齟齬があったような所はありますが…気になったのはその辺りくらい。
他はもう、見たいものを見れて綺麗に全てが纏まる、群像劇として非常に質の高い作品でした。
こういう群像劇カプ作品、大好きなんですが自分はなんだかんだ男女カプが好きな中であまりこういう作品に出会わないんですよね。
需要が無いのかもですが、男女カプでも見たいなーと思ったりしました…最早自分で作るしか無いのかもしれない…
構成や流れなどが本当に好きで好きで。
百合ゲー、固定カプゲーとしても楽しめましたし王道的物語としても純粋な気持ちで真っ直ぐ心に突き刺さるお話でした。
とても良い作品をプレイ出来ました、ライアーには今後もこのまま、他社では見かけない独自路線で行って頂きたいです。



※ゲームの攻略で検索される方がいらっしゃるみたいなので参考にさせて頂いた攻略サイト様を失礼します。
参考攻略サイト様:DESERT RAIN 様
http://desertrain.sakura.ne.jp/fr_index.html
 屋上の百合霊さん ページ
http://desertrain.sakura.ne.jp/kouryaku/2012/liar_okujouno/index.html